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バリバリの外資で働いていた私が、日本の中小企業の未来を助ける事業をしようと思った理由

株式会社En-Broker(エンブローカー)社長の髙久 渚(たかく なぎさ)です。

弊社は広告流通のしくみを変えることで中小企業のマーケティングを強化することを目指しているスタートアップで、中小企業のプロモーション担当者が広告メディアの検索・比較・プラン収集・発注をワンストップで行うことができるメディアマッチングプラットフォーム「MediAge(メディエイジ)」を本日リリースしました。

▼プレスリリース


私はアクセンチュア・デロイト(コンサルタント)→SAPジャパン(セールス)→起業、という外資系を渡り歩いたキャリアなのですが、よく「どうして起業したの?」「どうして広告なの?」「どうして中小企業なの?」という質問を受けるので、この機会に想いをまとめておこうと思います。


最初に、私の生い立ちの話をさせてください。

私は大学卒業後、いわゆる"バリバリ"の外資で働いていました。ただ、実家は創業90年の中小企業。3代目である父は常にユーモアを絶やさず、仕事の苦労を家庭に持ち込まない人だったこともあり、家業の話をあまり聞いたことがなかったのですが、5年前に父が病気で入院した時に初めて、先代までの時代にはなかった苦労に多々直面してきたことを知りました。

営業人材が雇いづらくなり、雇ったとしてもすぐに辞めてしまう状況が続いたこと。
営業部のモチベーションを上げたり、がむしゃらな人海戦術ではなく効率を上げていく手段として広告をうまく取り入れたいと思ったが、代理店ではたらい回しにされている感が強く、良い営業を受けることができなかったこと。
結局新しい取り組みは何もできず、自分の営業力や長い取引先に頼ることでその場その場をしのぎ無理をしていた時期があったこと。
そうして今も会社はちゃんと回ってはいるが、「新しいことに挑戦する」「可能性を追求する」ための一歩がこんなに大変なのかというモヤモヤを抱え続けていること。

いちばん苦しかったのはリーマンショック後の数年間、ちょうど私が新卒の就活を終えた時期だったことも知り、当時父が言っていた「可能性を無限に選べる大企業に行ってほしい」という言葉に込められた想いを知りました。
だからこそ、今までの自分のキャリアから得た経験や出会いを糧に、父の話していたモヤモヤを日本の中小企業からなくしたいと思いました。


その後色々調べたところ、中小企業は業界全体でマーケティングに大きな課題を抱えていることを知りました。

日本には中小企業が約360万社あります。全国の企業数の99.7%、雇用の70%(東京と大阪を除くと80%)を担っており、地域毎の多様かつ魅力的なカルチャーで成り立つ日本社会を支えている存在です。

しかし、中小企業庁が白書・統計情報の項目で公表している『倒産の状況』によると、毎年倒産する企業の99.9%が中小企業であり、最も多い倒産の原因は「販売不振」、割合にして2018-2022年の過去5年平均で72%をも占めている現状があります。

「良い商品なのに売れない」という声をよく聞きませんか?
売れない理由はさまざま考えられますが、私は以下の2点の変化に対応できていないことに原因は集約されると考えています。(商品が"良い"ことがもちろん大前提です!)

①消費者ニーズの変化:
モノが溢れ市場が成熟し、品質の良さだけでは競合と差別化ができなくなった
②労働力の減少:
労働人口減少に伴い営業人材の確保が難しくなった(2025年には3人に1人が65歳以上になります)

①への対応は、「だれに」「なにを」「どうやって」伝えるかを定め、マーケティング戦略・媒体計画に落とし込み実行することです。

②に対しては、「営業が見込み顧客に対応する業務を効率化すること」と「営業が動かなくても見込み顧客を生み出せるようにすること」の2つの視点での施策が必要です。
※昨今ではDXブームもあり、前者の取り組みのみに注力している企業が多い印象です。私も前職では、成長が鈍化している事業部に対するMAの導入による見込み顧客獲得・育成のしくみづくりやCRM活用による既存顧客からのアップセル・クロスセル案件創出など、主に前者の視点での支援を行っていました。
しかし、MAに流入させる見込み顧客をつくっていく、つまり自社の商品・サービスを知らない潜在顧客にどうアプローチするのか?という後者の取り組みも行わないと見込み顧客の数が先細りしてしまうため、根本解決が難しいケースを多数見てきました。

こうした施策を、時代の変化に合わせ変化するマーケティング・広告手法の情報をキャッチしながら実行していくこと。
ここに大企業と中小企業で大きな差が生まれています。その原因は、中小企業特有の「三ない」にあります。

<中小企業マーケティング領域における「三ない」>
1. マーケティング・広告担当者がいない
   そもそも部署自体が存在せず、都度都度誰かが兼業で対応している
2.広告およびメディアに関する知識がない
  専業で担当する人がいないと、当然会社に知識も溜まりづらい
3.優秀な代理店の担当者がつかない
  代理店は年間発注金額に応じて広告主への担当者アサインを判断するため、中小企業はそもそも担当者がつかないか、ついても提案の質が高いとはいえない場合も多い

こうした状況から、「課題はあるのに結局何もできていない」「たまたま代理店に営業された広告媒体に出稿してしまったけど、効果にも次の施策にもつながらない」といった悩みが生まれているのです。

クレジットカード決済が可能な運用型広告(リスティング広告など)は誰でも出稿可能かつ、運用代行に特化した代理店や個人マーケターなど支援者の数も多いのですが、一定量の予算規模が無いとどうしても大手企業にSOV(Share Of Voice)や露出量/期間(1日の設定予算上限を消化すると掲出されなくなるため)で負けてしまい、効果を出し続けることは困難です。
その半面、例えば「ガイアの夜明け」や「相席食堂」のようなテレビ番組であったり、ラジオ番組や様々な新聞紙や出版誌などのメディアへの掲載の仕方が分からないケースが多発しています。

また運良く問い合わせ出来てプランをもらったとしても、一定規模の金額感にもかかわらず類似メディアとの横比較もできないと検討ハードルが高く、なかなか出稿に踏み切れないという中小企業側のモヤモヤの存在も知りました。

2021年にはスマホ普及率が9割を超え、物理的には誰もが格差なく情報にアクセスできるようになったにも関わらず。そこにメディアはあるのに使えない、そこに良い商品があるのに知られない。それを解決することはできないかと考えるようになりました。

「MediAge」は、これらの課題を解決するために開発し、"メディアプランニングの民主化"を実現することを目的としたWebサービスです。

「MediAge」では、自社で行いたいプロモーションの概要を与件として登録するだけで、ジャンルを問わずテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、OOH、Webといったメディアから目的や課題に応じて提案が自動で集まってきます。
それを価格や実績事例ベースで横比較する事が可能なため、広告に不慣れな担当者でも最適なメディアプランを選ぶことができます。

▼「MediAge」サービス紹介動画




なお、こうしたプロダクトとなったのは、メディア側の営業にも大きな課題があることを知ったからです。

2015年以降、GoogleやFacebookをはじめとする外資プラットフォーマーが一気に台頭したことにより、広告代理店が広告主にする提案は一定の分かりやすい(=皆が使ってるプラットフォームなのでこんなにリーチ力がありますよ!)広告メディアに偏っています。

これにより多くのメディアの営業は代理店に頼らず直接広告主を開拓する必要が生じたのですが、人員には限りがあるので開拓できる広告主の数・地域には限りがあったり、広告主側が与件の要件定義やメディアプランを評価するノウハウに乏しい場合は受注までの労力が増えてしまったりと、営業コストが利益を圧迫する構造ができあがっているのです。

こうした背景を知り、MediAgeは、広告主の「情報収集コスト」の高さとセルサイドの「営業コスト」の高さの双方を同時に解決し、今までになかった出会い・新しい可能性を創出するプロダクトとして生まれることとなりました。



プロダクトリリースと併せ、頼もしいメンバーも正式ジョインしました。
日本の中小企業、広告市場の構造上の課題を解決していくため、事業のスピード感を上げ、全力で取り組んでいきます。

▼今後の発信は主にTwitterで行うので、ぜひフォローいただけると嬉しいです。



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