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雨上がりのスパンコール

『ママ!!みて!!
木にスパンコールがついてるよ!!』


外に出た途端、
大きな声で呼ばれたと思ったら、


息継ぎもしないで
興奮気味に叫んでいる長男は
駐輪場の隣に生えている
スギの木を指さしていた。


昨日の大雨のせいで
道路も色が濃くなっているし
木には小さな雫が
たくさんぶら下がっていた。


昨日とは打って変わって
空には雲ひとつなくて
絵具をこぼしたような水色をしていて


隠れる場所がない太陽は
キラキラ暑い光を振りまいていて
眩しくて目を細めてしまった。


長男は、
木にぶらさがった雫が
太陽の光が照らされているのをみて
『スパンコールみたい』と言った。


木にスパンコールがついてる!
みて、こっちにもあるよ!
でも、このスパンコールは光ってない。
あれ?この葉っぱには
スパンコールがないよ。


駆け足で進みながら、
緑色を見つけると
ひとつひとつスパンコールを確認した。


言われてみたら
本当にスパンコールみたいだった。


小さな小さな雫が
太陽に照らさて
スパンコールで飾られたように
キラキラ見える。


子どもの感性って素晴らしい。
と思いながら
嬉しそうな長男を見た。


彼のおでこにも
キラキラ輝くカチューシャが光る。



目にかかるくらい伸びた前髪が邪魔で
スパンコールがついたような
黒くて細いカチューシャをつけている。


この子は、キラキラしたものが
昔から好きだったな。


髪を伸ばしたいけれど
前髪が邪魔だから
カチューシャを買って!と言われ


探しに行ったお店で選んだのは
キラキラ光る黒いカチューシャだった。


ママの爪についている
キラキラ光るマニキュアも好きで
『ぼくも塗って!』とねだられる。


旅行に出かけたときは
キラキラ光る天然石のかけらが詰まった
小さな袋を見つけて、
こっそりパパに買ってもらっていた。
(家に帰ってから、小さな箱に移して
“宝物”と大切に保管してある)


キラキラの何が、
彼の心を掴むのか。

女の子が好みそうなものばかり好きで
キラキラの指輪や
スパンコールがぎっしりついたTシャツも
嬉しそうに身につけている。


どれも買うときは“女の子コーナ”だから
隣を見ると、リボンとかレースとかも
並んでいるのだけど


それをちらっと横目で見ながらも
彼の目には
キラキラしか映っていないみたい。


子どもにとっては
“女の子向け”も“男の子向け”も
関係ないんだろうね。


でも、
カチューシャをつけて学校に行ったら
『女の子みたい!と言われた』と聞いたら、


やっぱり世の中全体が
『男』『女』の意識が
まだまだ強いんだなと感じてしまった。



(ちょっとへこんでいた長男に
サッカー選手もカチューシャしてるんだよ?と写真を見せたら、
俺カッコいいじゃん!と
すぐに元気になったところを見ると、
やっぱり子どもだな、と思う。)


〇〇だから、で
好きな事を好きと言えなくなるのは
悲しいことだから
どうかこの世界がもっと
『それぞれの好き』で溢れますように。


彼は、いつまで
キラキラが好きなのかな。


この子が大きくなった姿をみるのが
今から楽しみで仕方がない。





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