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10月の雨、そして「ぐりとぐら」

10月に入った途端、雨の日が増えた気がする。

今日も朝から、しとしとと雨が降っている。

こんな日は、なんとなく気分もどんよりしがちだけど、私は、雨の日も嫌いじゃない。

むしろ、ちょっと好きだったりする。

雨の音を聞きながら、部屋でゆっくり読書をするのもいいし、窓際でぼーっと雨粒を眺めるのもいい。

雨の日は、なんだか心が落ち着く。

それに、雨上がりの空気って、すごく清々しくて気持ちいい。

でも、今日みたいに、朝から雨が降っていると、ちょっと困ることもある。

それは…そう、傘を忘れちゃうこと!

今朝も、家を出る時に、傘を持っていくのをすっかり忘れてしまって、学校に着く頃には、全身びしょ濡れになってしまった。

「あーあ、またやっちゃった…」

私は、濡れた髪の毛をタオルで拭きながら、ため息をついた。

教室に入ると、クラスメイトのユキちゃんが、心配そうに声をかけてくれた。

「カザネ、大丈夫?風邪引いちゃうよ!」

「うん、大丈夫。ありがとう、ユキちゃん。」

私は、笑顔で答えた。

ユキちゃんは、いつも私のことを気にかけてくれる、優しい女の子だ。

困ったことがあると、いつも助けてくれる。

本当に、ありがたいなぁ。

「そういえば、カザネって、よく傘忘れちゃうよね。」

ユキちゃんが、クスクスと笑いながら言った。

「えへへ…そうなんだよね。私、忘れ物が多いんだ…。」

私は、照れくさそうに頭を掻いた。

「でも、カザネが傘を忘れると、いつも面白いことが起きるから、ちょっと楽しみなんだよね!」

ユキちゃんは、いたずらっぽく笑った。

「え、面白いこと…?」

私は、首を傾げた。

「そうだよ!この前なんて、傘を忘れて、雨宿りしてたら、迷子の子猫に出会ったでしょ?

カザネが、その子猫を家に連れて帰ったら、なんと、次の日に飼い主が見つかって、お礼に、ケーキをもらったんだよね!」

ユキちゃんは、目を輝かせながら話した。

「あ、そういえば、そんなこともあったね…。」

私は、懐かしそうに思い出した。

「ね、面白い出来事でしょ?」

ユキちゃんは、ニコニコと笑った。

「うん、確かに…。」

私は、思わず笑ってしまった。

そう言われてみれば、私が傘を忘れると、いつも何かしら面白いことが起きる気がする。

もしかして、私って、雨女なのかな…?

「カザネって、もしかして、雨女…?」

ユキちゃんが、私の心を読んだかのように言った。

「え、なんでわかったの…?」

私は、びっくりして、ユキちゃんを見つめた。

「だって、カザネが傘を忘れると、必ず雨が降るんだもん!」

ユキちゃんは、ニヤリと笑った。

「そ、そうかな…?」

私は、ちょっと自信なさそうに答えた。

でも、確かに、ユキちゃんの言うとおりかもしれない…。

私が傘を忘れると、雨が降る。

そして、なぜか、面白いことが起きる。

もしかして、私って、本当に雨女…?

「ねぇ、ユキちゃん。雨女って、どんなイメージ?」

私は、ユキちゃんに聞いてみた。

「うーん…雨女かぁ…。

なんか、ちょっとミステリアスで、不思議な力を持った女の子って感じかな…。」

ユキちゃんは、少し考えてから答えた。

「ミステリアスで、不思議な力…?」

私は、ユキちゃんの言葉を繰り返した。

「そうだよ!例えば…雨が降ると、嬉しそうに歌い出すとか…。」

ユキちゃんは、楽しそうに言った。

「雨が降ると、嬉しそうに歌い出す…?」

私は、目を丸くした。

「うん!あと、雨粒を操って、虹を作ったり…。」

ユキちゃんは、さらに想像を膨らませた。

「雨粒を操って、虹を作る…?」

私は、ますます目を丸くした。

ユキちゃんの想像力は、本当に豊かだなぁ。

でも、雨が降ると、嬉しそうに歌い出す女の子って、ちょっと怖い…かも…。

「あ、そうだ!カザネ、絵本『ぐりとぐら』知ってる?」

ユキちゃんが、突然、話を変えた。

「うん、知ってるよ!小さい頃、よく読んでもらったなぁ。」

私は、懐かしい気持ちになった。

「『ぐりとぐら』って、雨の日に、大きなカステラを作るお話だよね!」

ユキちゃんは、目を輝かせながら言った。

「そうそう!あの大きなカステラ、すごく美味しそうだったなぁ…。」

私は、思わずお腹が鳴ってしまった。

「ね!カザネも、雨の日に、何か作ってみたらどうかな?」

ユキちゃんは、提案してくれた。

「え、何か作る…?」

私は、少し戸惑った。

「そうだよ!例えば…クッキーとか、ケーキとか…。」

ユキちゃんは、楽しそうに言った。

「クッキーかぁ…。」

私は、少し考えてみた。

そういえば、最近、お菓子作りをしていないなぁ。

雨の日に、お菓子作りをするのも、いいかもしれない。

「うん!ユキちゃん、ありがとう!今度、雨の日に、クッキー作ってみるね!」

私は、笑顔で答えた。

「うん!楽しみにしてるね!」

ユキちゃんは、嬉しそうに言った。

放課後、私は、ユキちゃんと一緒に、スーパーでお菓子作りの材料を買って帰った。

今度、雨が降ったら、クッキー作りに挑戦してみようっと!

雨の日も、悪くないかも…。


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