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中学デビュー、失敗!!

進学した中学校は典型的な田舎の公立中学校。
人口7万人の小さな田舎町には中高一貫の私立などないし
私の知る限りでは中学受験をした人はいない。

小学校からの持ち上がり状態で中学入学する。
受験を経験しないということは
特定の地域にいる世帯の子供が同じ学校に通うということ。

何もスクリーニングされていない状態で
中学校に入学するから非常に多様性溢れる環境。

勉強が得意、運動が得意、芸術が得意、少し不良、体力自慢の生徒・・・

クラスには一桁×一桁の掛け算が出来ない子や
aとbの区別がつかない子がそこそこの割合でいたりする。
世の中のお嬢様やエリートには決して理解できない環境だと思う。

個性が全く異なる種々多様な生徒が
同じ場所に、同時に集結するというアベンジャーズのような環境。

その環境でイジメられないためには
スクールカースト上位に居続ける必要がある。

スクールカーストとは
インドのカースト制度のように文化として
根付いているものではなく差別的な意味で使われているもので
1軍、2軍、3軍と階層に分けられている。

1軍:自己主張ができる子やリーダーや悪目立ちするやんちゃなタイプ

2軍:いわゆる取り巻きであり、1軍の傾向によって良くも悪くもなる存在

3軍:いじめられていた経験があったり
人気者やリーダーシップがある人に苦手意識を持っている人

大体、スクールカーストは学校生活の中でしか通用しないし
スクールカースト上位の人がその後の将来も安泰でもない。

アップル創業者のスティーブ・ジョブズは
スクールカースト下位であったことを公表しているが
今や世界中で彼の名を知らないという人はいないほどの
成功を納めていることは周知の事実。

中学生時代は学校と部活と家が全てで
それ以外の世界があるなどと考えられなかった。
子どもだったから、仕方ない。

カーストの3軍がいじめのターゲットにされてしまう可能性がある。
でも、その心配はなさそうだと思った。
新しいクラスになったとき、まずは、仲が良い悪いに関わらず
以前同じクラスにいた子だから、、という理由で
始めは一緒に行動する事がある。

だから、ラッキーと密かに思った。
所謂1軍といわれる子たちと一緒のクラスになれたのだから。

一学期の始めから、私は優越感でいっぱいだった。
休み時間に大声ではしゃぐ子たちと一緒にいれば
自分も賑やかで目立つ子に分類される。

喋らなくて大人しくて目立たない子から卒業できるんだ!

・・・と思っていたのは最初の1か月だけだった・・・

今まで大人しかった私が急に目立つようになると

「なんだ?あいつ、最近、おだってねぇ?」
(おだっている、というのは方言で、調子に乗っているという意味)
「あれって、中学デビューのつもり?だっせー」

そんな陰口を叩かれるようになった。

「中学デビュー?そんなんじゃないし!
私はもともと、騒がしいし賑やかな性格だったの。
ずっと隠していただけなんだよね!!」

そう言って陰口悪口を吹っ飛ばして
うるせー!黙れ!!と机をぶん投げてやれば良かったのかな?

でも、その頃の私はそんなこと出来なかった。
45歳になったこのメンタルでやり直せていたら、ある意味天下無双だけど。

出来ない私は、元に戻ったように大人しくなった。
そうしたら、陰口悪口はエスカレート。

休み時間になると、他のクラスの子たちが
私のいる教室の前と後ろの出入り口に集まり
誰かと顔を見合わせては私の方を見て、コソコソ話しをする。

殴られたり、ジャージや上履きを隠されたり
トイレの個室で上から水をかけられたり、、、
ドラマのようなイジメはさすがに無かったけれど。

それでも、無視や悪口は堪えたなぁ。

私が上手く中学デビュー出来ない
ダサい子だったので仕方ない!!笑笑笑、笑うしかない!!

一学期が終わる頃には、3軍以下になってしまいましたとさ。。。

私の中学デビューは失敗に終わったのだ!!!

ある日、どうしても学校に行きたくなくて
でもやっと登校した学校の昇降口で足が止まって
教室に入れなくてしばらくそこに居たときのこと。

「おはよう。大丈夫?教室行こうよ」

隣のクラスの6年生のとき同じクラスだった高橋くんが声をかけてくれた。
優しい言葉をかけて貰えたのが嬉しくて思わず泣きそうになった。
高橋くんのお陰で、教室に入ることが出来たんだ。

高橋くんはあの彼によく似ていたんだなぁ
そんなことを思い出して、今、胸がジーンと来てしまった。。。




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