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another story-ほんとのところ㉙

ピカソの絵画は人物が歪んで描かれていると思う。
どうしてだろう?

両手を自分の目に近づけてみる。
わぁ、自分の手が歪んで見えてきた!

自分の大切なモノや人は近くに置いておきたい。
でもね、いくら大切だからと近づき過ぎると歪んで見えてしまう。

大切なモノや人だからこそ
歪まないように適度な距離を保つのが必要。
ピカソの絵が私に教えてくれたことかな。

3月ももうすぐ終わり。
そろそろ桜も咲く頃だね、とみんなが口にするようになっても
私の体調は良くならないどころか、悪化の一途を辿っていた。

横になっても、起き上がっても、体が苦しい。
痛いのではなくて、何をしていてもひたすら苦しい。

病院で検査をしても、これといった病名が無い。
血液検査をして「炎症が起きていますね
最近、何かストレスになるようなことはありましたか?
少し体を休める時間を作ってくださいね」と言われる。

ストレスの原因は仕事とようちゃんの事だと分かっている。

この春、私は大きな決断をした。
働いて10年目になる会社を3月いっぱいで退職すること。

勤めていた会社は私が高校生のとき愛読していた音楽雑誌の出版社だった。
ネットも無かったあの当時は情報を入手するのはテレビや雑誌からで
月に一度発売されるその雑誌を擦り切れるまで読んだ。
編集という仕事に憧れた昔の記憶が蘇る。
応募したら運よく採用された。

仕事内容はとても楽しかった。
普通にしていたら経験できないようなことも沢山させてもらえた。

でも、同族経営の会社は結構しんどい。
何がしんどいかって?
同族経営あるある、詳しく書くのは控える・・・

遠い所から見ている憧れだったのに
近づいたら、段々その裏が見えてきて癪に障るようになった。
無視すればいいのにそれもできない・・・

良いところだけでなく
悪いところも全部ひっくるめて受け止めて好きになる。
私にはそれだけの覚悟が無かったということだ。

やはり、どんなに憧れだったとしても
あまり近づき過ぎない方がいいのかもしれない。
それはモノでも人でも・・・

ストレスの原因になっているものをひとつ手放した。
10年勤めた、やり切った感があったから未練は無かった。

自分の身の回りのモノを整理して、手放すべきモノを手放して
最後に残ったモノを大切にしよう。

それでも、ようちゃんという答えが残ったのなら
それのときはそのときだ。

ようちゃんが歪んで見えないように
お互いにとって心地良い距離感を見つける。
それでいいのかもしれない。





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