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個性ってなきゃダメなの?

実家の八畳間が二つ続いた和室の天井近くに賞状が飾られていた。

弟の絵画コンクール特選と妹の読書感想文の佳作の間に
私のなわとび大会11位の賞状。

お父さんが賞状を見上げながら言った。
「なぎは何の特徴も無い子だったな」
胸が痛んだ。

運動も芸術も不得意。
自己主張も出来ない、リーダーシップも取れない
悪目立ちするやんちゃなタイプでもない。

本当だ、私を象徴するものが何一つ無い。

唯一、得意かもしれない勉強。
成績は中の上(学年200人位で20番目をうろちょろしている)で
良いとも悪いとも言えない。

中学校になれば塾に通う子も増えて来たけれど
私は通信教育の進研ゼミで勉強していた。
塾に通うとなると、私服が必要になる。

一度服が欲しいと母親に言ったら、制服を着て行けばいい、と言われた。
2000年代初期の女子高生ブームだったら
制服で武装して女子高生最強と堂々としていられるけれど。。。
あの時代は制服なんてダサい
出来れば私服で学校行きたいよね、そんな時代。
服を買って貰えなかったから、自宅で出来る通信教育を選んだ。

通信教育は私に合っていたみたい。
それに得意なことが何一つ無い私は勉強するしかなかった。
良い成績を取れば、お父さんに認めてもらえると信じたから。

ふっと、ため息が出た。
私を象徴するもの、個性とはなんだろう?
誰にだって唯一無二の個性がある。
そうならなきゃいけない気がしていた。

私の個性って一体何だろう?
そもそも個性ってなきゃいけないもの?

何も無い私は人の影に隠れた。
隠れたというか、何もないから隠れてしまう。

個性が無い、それはずっと大きなコンプレックスのひとつだった。







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