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歌をうたうこと

小さい頃から、歌うことが好きだった。多分、絵を描くことよりも。
食べることより…は、食べることの方が好きだったか。

私のカラオケデビューは、小学生の頃、実家のお風呂場だった。湯船に浸かりながら、まるでエコーのように響く歌声に酔いしれながら、毎日毎日歌っていた。うるさいと言われるまで。
多分、下手だったんだろう。お風呂場で歌えなくなったので、次の舞台は田んぼのあぜ道になった。犬の散歩をしながら、誰もいない時はそこが歌の舞台だった。人生初の野外コンサートだ。エコーはないけど、外で歌う開放感といったら!多分、誰にも聞かれていないと思うけど、かなり気持ち良かった。その数年後、ようやく本当のカラオケ屋に行くことになる。
仕事仲間とのカラオケは歌うというより、バカ騒ぎだった。皆で合いの手を入れて、一緒に歌うのが最高に楽しかった。出産後はしばらくカラオケから遠ざかるけど、私のカラオケ屋は車の中になった。運転=カラオケと言ってもいいくらい歌っていた。対向車に見られないように、手で口を隠すこともあったけど、(どうせ知らない人だからいいや)と隠さない時もあった。この移動カラオケ屋(車の中)は、その後も歌の練習場になった。
そして、やっと子供も手がかからなくなり、再びカラオケ屋に行けるようになった。少しだけど、やっと自分が思い描くような歌い方、人目を気にせず自由に伸び伸びと歌えるようになった。あれだけ散々歌ってきたが、それまでは少しの照れがあって、淡々と歌っていたのだ。やっと殻が割れ、心から気持ち良く歌えるようになった。上手いか下手かは置いといて。

これからも歌い続けるだろう。カラオケに行けなくなっても、きっとどこかで歌っている。なんと言っても三度の飯の…次に好きなことなのだから。


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