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ファンファーレ・オルケストseason1

 令和3年(2022)6月26日にFacebook Messengerで「ファンファーレバンドやるからでてね」との連絡が届き、僕の「ファンファーレ・オルケストseason1」は始動しました。
 さて、ファンファーレ・オルケストという編成を知ったのは何時だろうと考えても、その初めをはっきりと思い出すことはできません。手元にある「最新吹奏楽講座」*1を見ると、フランスの吹奏楽事情に関する紹介の中に「ファンファール」という編成標準表*2が示されているのを見たのが最初だろうと思います。この本の購入がいつなのかは判然としませんが、おそらく昭和50年(1975)前後に金管バンドにサキソフォンが入った編成があるのだとぼんやり認識したのだと思われます。ちなみに、金管バンドという編成を知ったのは、中学校音楽室に新しくステレオが設置されたのを記念して、部活動中にブラスバンドのレコード鑑賞をした昭和46年(1971)頃です。
 存在を知っていても触れたことのない、おそらく北海道では響いたことのない編成へのチャレンジが7月24日に始動しました。

ファンファーレ・オルケストとは

 平成4年(1992)に金管バンドの指導にあたることになり、ヤマハ・アカデミアミュージック・共同出版・ミュージックエイトの楽譜を選曲する時代が続いていました。それが平成7年(1995)頃になりデ・ハスケ社(オランダ)の日本語カタログ冊子(テーヌ商会)が出回るようになりました。その冊子の中で吹奏楽・ブラスバンド・ファンファーレバンドの3形態で出版されている曲があることを知りました。
 その後、インターネットの発展により様々な情報に触れる機会が激増し、最近になって洗足音楽大学が授業でファンファーレオルケストを実施していることや、大学でそれを経験した方々がファンファーレオルケストの演奏会を開催していること、そしてそれらがYouTubeで公開されていること、何よりも洗足音大の活動に触発されたのか、いくつかの団体が活動を開始していることを知りました。
 参加案内が届いた6月26日までに実際の演奏を目にしたことはありませんし、自分がそれに関わるということを全く想定してはいませんでした。そのような中での「やるからでてね」です。まずは楽譜や編成などについて調べてみると、ファンファーレオルケストをブリティッシュ・スタイル・ブラスバンドの編成にサキソフォーンが加わった編成だと誤解していたことを知りました。何よりもファンファーレオルケスト編成ではB♭コルネットよりもトランペットが使われることが多く、またフリューゲルホーンが少なくても3パートに分かれていてそれぞれに複数の演奏者が必要とされていたのです。
また、「新版 吹奏楽講座」*3の記述では、「ベルギー、オランダ、スイスなどでも普及している」とありますが、現在の状況をみるとファンファーレオルケストは「ベルギーやオランダを中心に発展」*4している吹奏楽の形態の一つだとわかりました。ベルギーやオランダ等での楽譜の出版や購入のための情報がインターネットの発展によりとても身近になり、編成の標準化も以前よりも進んでいます。

その編成と楽譜

 ブラスバンドには標準編成があり、曲による管楽器編成の違いはありませんが、ファンファーレオルケストの編成は、曲により、特に中低音金管楽器の編成は微妙に異なっています。また、低音楽器の楽譜は、高音部記号のinB♭、低音部記号のinB♭、高音部記号のin E♭、低音部記号のinE♭、低音部記号のinCと多様です。この楽譜の多様性は、ファンファーレオルケストに取り組む上での事前確認と準備が必要になるポイントです。
 ちなみに、昭和40年頃日本で出版されていた楽譜には、高音部記号inB♭や低音部記号inB♭の楽譜が同封されていたこともあるのですが、現在日本で通常販売されている吹奏楽の楽譜での低音楽器は、全て低音部記号inCの楽譜のみとなっています。なお、ヨーロッパの出版社等の楽譜は、今も高音部記号inB♭の楽譜が用意されていたりオプション注文できたりするものがあります。

音を出してみる

 7月24日に旭川市市民活動交流センターCocode*5を会場に第1回リハーサルが開催されました。用意された楽譜はベルギーとオランダの出版社の5曲です。

 「リプライズ」「十字架と王冠」「愛する人に」は、ファンファーレ・オルケストのオリジナル作品と思われます。「ラ・プリエール」はベルギー吹奏楽の父といわれるジルソン作品の編曲、「レユニオン・アンド・フィナーレ」は映画音楽です。
 全パートが揃う合奏の機会は、かないませんでしたが、吹奏楽での金管パートとサックスパートにフリューゲルホーンパートそしてユーフォニアム・バリトン・E♭バスが加わるという編成は、今まで経験したことのないブレンドされた響きがします。

コンサートを開催する

 ほぼひと月に1回のペースで6回の練習が旭川市内で行われました。遠くは帯広・名寄・札幌・遠軽から、そして飛行機に乗って旭川に集うメンバーも加え、12月4日には東川町地域交流センターゆめりんでコンサートを開催しました。
 当日のメンバーは、サックス5人、フリューゲル5人、ホルン4ひ、トランペット1人、トロンボーン3人、バリトン1人、ユーフォニアム1人、バス3人の計23人です。北海道初となるファンファーレオルケストのチャレンジは、一区切りとなります。
 Season2のコンサートを6月11日に開催する計画が進行中です。今まで経験の無い編成での新たな響きを探し求める試みは続きます。
いつかベルギー・オランダ等*6でファンファーレオルケストが管楽器活動の三形態*7の一つ(吹奏楽・ファンファーレオルケスト・ブラスバンド)として認知され活発に活動されているように、この編成が日常風景の一つとなることを夢みます。
 
 

  • *1  最新 吹奏楽講座 第7巻 吹奏楽の編成と歴史 音楽之友社 昭和45年 第1刷(650円)

  • *2  最新 吹奏楽講座 第7巻 吹奏楽の編成と歴史 P.29

  • ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団第6代楽長ピエール・デュポン(1888-1969)の案

  • *3  新版 吹奏楽講座 第7巻 吹奏楽の編成と歴史 音楽之友社 昭和58年 第1刷(3500円) p.35

  • *4  wikipedia「ファンファーレ・バンド」

    「ファンファーレオルケストの起源が知りたくて」

  • *7 HaFaBra(ハ・ファ・ブラ)と称する。Harmonie吹奏楽FanfareファンファーレオルケストBrassBandブラスバンド

writer 平出 寿 Hiraide Hisashi


Reprise(Yves Wuyts 1981 - )

La Priere(Paul Gilson 1865 - 1942)

Reunion and Finale from 'Gettysburg(Randy Edelman
1947 - )

Cross & The Crown(Bert Appermont 1973 -)

To the ones we love(Thom Zigterman 1972 -)


season1演奏会 2023年12月4日(日) 東川町地域交流センターゆめりん 
season2演奏会 2023年6月11日(日) 東川町農村環境改善センターホール
season3演奏会 2023年12月11日(日) 東川町農村環境改善センターホール
season4演奏会 2023年5月19日(日) 予定

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