小説講座まとめ 6

 サマンサ編集長様が行っている講座、6回目のまとめです。

 実はこれで最終回です。こういう話をしたような、していなかったような。もはや今更感がすごいですが念のためお伝えしますと、もともと講座は6回の予定でした。課題をやり、講座を受けて、また次の課題へ、という流れで進んでおりました。
 なので一応これにて、毎回の講座のまとめは最後です。

 今回は新しい原稿(まとめ3のプロットづくりから登場しているので、もはや新しくはないかもしれない)がなんとか最後までたどり着いたので、そちらを元に出てきたポイントを書いていきます。


主人公の欠点を絞る

 ストーリーという観点で考えた時、主人公の欠点はひとつに絞った方が良い
 現実では人間の欠点は盛りだくさんですし、いくつも欠点を抱える主人公も、そういう物語を書ける方もいらっしゃると思います。なのでこれは絶対というわけではないですが、欠点がいくつもあると仮定すると

・ラストに向かって収集する際、物語の論点がブレてしまう
・一つ欠点が解決して物語が終わっても「まだ他の欠点があるじゃん」と思ってしまう

 この欠点もあの欠点も解決しなきゃ、となると物語の論点がブレたり、ストーリーがごちゃごちゃしたり、こう思って読んでいたけど本当はこういう話だった? と読者の混乱を招いたりします。
 また一つだけ欠点を解決して主人公が変化を迎えても、あの欠点は……? と読者が思ってしまう。

 ここまで読んで、主人公の問題が複数あるパターンもあるのでは、と思った方もいらっしゃるかもしれません。過去のまとめでも「問題の連動」を書きました。(というか、私は一瞬それが頭をよぎったのでメモとして書いておこうと思います)

 あれは
 一つの欠点が様々な問題を引き起こしている
 状態かなと思います。例えば、思いやりがない、という欠点があったら、家では親と口喧嘩が絶えない、クラスでは孤立している、部活はチームメイトと気まずくなってやめてる、とか。欠点が沢山あるわけではない。

欠点と問題

必要なシーンのピックアップ

 物登場人物たちの生活を朝から晩まで365日書くことはきっとないと思います。
 シーンとして書くところ・地の文で書くところ(・書かないところ)
とあるわけですが、物語が進む中で、どの部分をワンシーンとして取り上げるか、どの部分を地の文としてナレーションするか。

 例えば「AとBが出会って付き合うまで」という物語を書くとして、出会うまでにそれぞれが行動を起こすきっかけがあるかも、何度もメッセージのやり取りをするかも、何度か友達と一緒に会うかも、何度か二人きりで遊びに行くかも。
 その中で、どの部分をシーンとして書こうかと迷った時に
・印象的なところ
・感情が動くところ
 を基準とすると良い。主人公にとって、物語(テーマ)とって、重要となる部分はどこかな、と考える。

時系列を分かりやすく

 できるだけ時間を前後させない
 目的があってするなら良いが、読者からすると分かりにくくなるのでできるだけ時間の流れに沿って書く。

 ただ時間を遡ることはあると思います。次のシーンに移ってから前のシーンに触れたり、時間を飛ばしてから少し戻ってある出来事を書いたり。その際はタイミングと内容に注意。

・なるべく早めに遡った部分を入れる
・遡った部分を分かりやすく書く

 
遡るタイミングは早めに。シーンが変わってから前のシーンに触れるなら、そのシーンの冒頭に入れる。指示語が効くうちに。
 遡った部分は、遡ったことが分かるように、またその内容も分かりやすく書く。内容が説明なら一行程度で。
 
 指示語が効くうちに、と、一行程度、は目安として参考に。
 私は今回、あるシーンが始まった十行目くらいで、前のシーンの終わりに遡り、そのシーンに至るまでの過程を長々と書いていました。

 シーン①→シーン②→シーン③→
 とあったとして、シーン②が始まってしばらくしてから「→」の部分の説明を書いていた、ということです(分かりますかね……?)
 そして指示語で「あの日」とか「あの時」を使っていました。
 タイミングも遅いし量も多い。

 これをすると、今が「いつ」なのか、そして「あの日」「あの時」が「いつ」(どのシーンのどのエピソード)なのか、読者が混乱します。(国語の問題で出たらこんなん分かるか、と思われるやつ)

 例えば、シーン①デート初回 シーン②デート二回目 の場合
 シーン①
~彼女と手を振って別れる。一人乗り込んだ電車の窓には、緩みきった顔が映っていた。
 シーン②
 カラフルなゲートの周辺には、親子連れや数人のグループが集まっている。それを見通せるベンチに腰かけて、僕は心を落ち着けようと深呼吸をした。あのあと家に帰ってすぐに彼女へ連絡をした。予定はスムーズに決まり~

 みたいな。遡りナレーションが三文目で出てきます。(即興なので内容は薄目で見てください…)

 回想シーンはまた別でしょうし、他にもこれが当てはまらない場合もあると思いますが、そのシーンか、いつ、どこの場面なのかを分かりやすくする点はいつも同じだなと思いました。

悩み・落ち込みのシーンはしっかりと

 物語の中の一番の落ち込み=主人公が自分の問題に気づくシーンは、ある程度のボリュームがいる。
 主人公が変化する手前。
 今までこう考えて、どう行動してきた? それで今どうなった? それは本当に求めるものだった? 等など、考えるところです。
 
 もちろん無理矢理長くしなければ、ということではないです。ちゃんと書ければ主人公の人間性が読者にも分かるし、このあと変化していく過程に納得感も出る。=主人公のキャラがたってる状態、に繋がる。
 ここのボリュームが無く(あんまり反省や落ち込みをしてないのに)次のシーンに移ってあっさりハッピー、となっている小説もあるので……とのこと。
 
 もう一つ、その中で出てきたポイントは
 主人公の目的・動機(=物語の向かうところ)は、昔の出来事から生まれることが多い。
 昔ああだったから、今こうなりたい。というのがここまで繋がっているので、振り返る主人公もいるでしょうし、そういう点でも大事なシーン。書くの大変で嫌になっちゃうかもしれませんが……とのことでした。

物語で作った対立関係は回収する

 物語の中で作った対立の関係は、物語の中で回収して終わりにする。
 対立した相手全員と仲良くなるという意味ではなく、最後に、今その相手とどんな関係でいるかということを書く。
 主人公が物語の中で変化しているので、対立していた相手との関係も変わる。喧嘩をしたのなら最後は仲良くなっているかもしれないし、もう会わなくなっていて、それがナレーションで語られるかもしれない。シーンとして書くか、地の文としてナレーションで書くかはそれぞれです。
 ここは重要な対立だから一つのシーンとして回収する、三つ対立があって全てをシーンとして書いたら冗長なので一つはナレーション、とか。

 私は今回対立関係を二つ作っていたのですが、一つは回収して、一つは何も触れずにほったらかしに。微妙な関係のまま終了してしまっていました。

分かりやすさとリアリティの間

 物語全般にもいえることですが、今回は最後の章について。(確か今までのまとめにも書いた気がします)
 主人公が変化した結果、どうなかったかを書く部分。

・変化の分かりやすさ
・納得できるリアリティ

の間をとる

 物語や変化の内容にもよりますが、変化したよ! という分かりやすさを求めすぎて主人公が当初と別人のようになっていたら、読者に嘘やん、と思われてしまったり、何でそうなったのかとついてきてもらえなかったり。
 人ってそんなにすぐ変わらないね、人が変わってもそれほど目に見える変化はないよね、というリアリティを求めすぎると、主人公変わってる? 最初と同じじゃない? と思われてしまうかもしれない。
 その間を上手くとれると良い。両立ともいうかも。

 分かりやすさとリアリティは一例なので、主人公が物語の中で大きく変化することもあると思います。でもそこまでの下地があれば大きな変化も当然で本当のように思えるでしょうし、フィクションだからこそリアリティも大事だなと思います。現実でも別人みたいと思うこともありますしね。
 まとめていて、ここでいうリアリティは現実っぽさというよりも、地に足がついているか、という意味合いかなあと思ったりしました。

 
 余談。以前友達と、ある映画とアニメを見たのですが、主人公の性格の変化についていけないことがありました。
 映画の方は、おそらくこれがきっかけなのでは、という出来事がひとつ大きく描かれていましたが、感情の過程が見えず。どうしてそれで変化したの? という謎が最後まで残りました。
 アニメの方は、主人公から他の登場人物に焦点が移ってしばらく話が進み、主人公にカメラが戻ったら性格が明るくなっている。それまで徐々に変化していたのは分かっていましたが、大きく変化したきっかけの出来事が分からず。私たちの知らない間に何が? という疑問が残りました。
 どちらも読解力不足や見逃しもあるかもしれませんが……。これをまとめていて、大事なところを飛ばしてしまったり、ちゃんと書けていないと、自分の作品でもこういう感想を持たれるんだろうなと思ったのでメモしておきます。

あとがき

 さて。そんな感じの最終回でした。
 長かったような(ようなというか実際、課題の頃から含めると9か月ほど。長いですね)でもこうしてみるとあっという間だったような。
 大変! と思ったことも勿論ありましたが、とても楽しかったです。楽しかったという表現が適切かどうかは分かりませんが、身にしていくのはやっぱり楽しい。と思います。
 そして冒頭で原稿が最後まで進んだと言いましたが、最後までを見ていただくために途中の書き直しについてはお休みしていたので、まだまだやることは盛りだくさんです。講座の終わりとともにおしまい、という講座ではないですしね。引き続き頑張ります。
 ここまでお付き合いいただきありがとうございます。また感想など書きたいと思っているので、その際はちょこっと覗いていただけると幸いです。

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