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ボコボコの足。下肢静脈瘤手術。

心身ともにみっちりコンプレックスで固められた私だけど、下肢静脈瘤には長年悩まされてきました。

「下肢静脈瘤」とは足の血管の弁が壊れて逆流した結果、ボコっとコブができる病です。ほおっておくと大小のコブがボコボコできて非常に醜い。

あなたも注意して膝の周辺やふくらはぎをよく見てみてくださいな。
謎のコブみたいな膨らみがあったらもしかしたら下肢動脈瘤。結構多いんだそうですよ。

一般的には悪性の病気ではないので、生命に関わったり痛くなったりしないそうなんだけど、私のはだいぶ酷くてやんなっちゃう。

で、私のただでさえ短くてずんぐりした左のふくらはぎは、ある日気がつくと、ボコっボコッとコブが出来はじめて、数年経つと膝の下からくるぶし近くまで大小のコブがぐるっとボコボコボコボコボコっと巻いたようになってしまったのでした。

本当に気色悪い。
一番大きいコブは直径センチくらいのドーム状で触ると固い。しかもコブが密集したあたりは色も少し紫色になっています。

なんか昔「北斗の拳」で見た、身体中ボコボコして破裂する寸前の悪党みたいだなあとか思います。

このままだと本当に「たわば」とかいって破裂してしまうかも。まじでちょっと心配になる日もありました。

もっとも最初の頃は、そんなでもないよね、とか思いつつ気にしていなかったのですが、足に力が入るとハルクっぽくさらにボコボコボコっと浮き上がってくるんですね。

女性の多い場所でたまたま短パンだったとき、周囲が軽く悲鳴を上げるに至って完全に私、閉じてしまいました。

長年ショートパンツは履けず、泳ぐこともなんとなく避けてきました。
他にも隠したい場所はいっぱいあるんだけど、なんだかこのボコボコは本当に見せたくなかったんです。

気がつけばどんどん増えていく感じも含めて、ちょっと自分がモンスターに変容する気が。まあしないですけど、なんとなく恐怖もあったのかもしれません。

しかもよせばいいのに、近所でかかりつけの内科のおじいちゃん先生に相談すると、かなり酷いので手術を進められ「入院10日くらいで、ひとつひとつ血管を切ってつなぐ」なんて言われて国立病院の血管外科の紹介状まで書かれてしまいました。ええ、後に嘘と判明するのですが。

仕事もあるしそんなに休めないよ。
紹介状はそのままにして痛くもないのでさらにほっておくと、コブはさらにひどくなってしまいには歩くたびに痺れるくらい痛くなってきました。

ちょうどその頃、幸か不幸か仕事もなくなり(不幸だわ)いよいよ入院かなあと思い始めます。

こわいのは「下肢静脈瘤」は決して痛みは出ない。
はずなのですが、すごい痛くなってきたのが謎の恐怖。

今となっては自分自身がよく理解できないんですけど、ここにいたるまでこのボコボコについて、一切自分で調べたりしたことがなかったんですね。

しょうもないことまで、なんでもかんでも検索して一人で悦に入るタイプなのに、このコブについてはちゃんと調べたことが一度もなかったのですね。おじいちゃん先生の言うことを鵜呑みにして「入院はなあ」とかひとり悩んでいたわけです。

でも切羽詰まって、ついに自分で検索して調べてみたわけです。

すると、なんと!国立病院でなくともあちこちに専門医が居て、日帰り手術でいけるではないですか。

おじいちゃん先生、まるっきりデマじゃないか。なんなんだ。

と、ハラワタが煮えくり返りましたけど、知識が古いだけなのかも知れませんし。実際、以前は「スリッピング手術」といって入院して詰まった血管を引っこ抜く手術が主流だったとか。こわ。

日々、新しい治療法が開発されているようで、現在はレーザーファイバー、細い管状のレーザーを足の付根から血管に通して患部のあたりまでグイグイ入れてって、焼いて潰す「血管内レーザー焼灼術」や、手術用の瞬間接着剤を血管に入れて閉じてしまう「グルー治療」など。いずれも日帰り手術もできると。

いったい何年も引き伸ばし続けたのはなんだったのかしら。
というか、調べればすぐわかることを何年もほったらかしていた自分に少し呆れました。

と、同時にほおっておくと完全に変色したりただれたようになるって話も見つかって、いよいよ待ったなし!と、下肢静脈瘤の治療で比較的評判の良い病院を予約しました。

大きくはないけれど清潔できれいな病院。
外科/形成外科と看板を上げていますが痔の手術も得意だそう。今回は関係ないけど一応、心のフォルダにキープしておこう。

受付の方も看護師さんも先生も丁寧でおだやか。
最近、あちこち病院にお世話になってつくづく思うんですけど、病院選びって本当に大切。

こんなに違うのかって思います。
びっくりするくらい説明して丁寧に対応する先生、丁寧だけどちっとも治療が適切でない先生、愛想は劇悪なのに治療に関してはめちゃくちゃ細かくて患者思いだったり。

ちなみに下肢静脈瘤でお世話になった先生は、愛想は良いけど心なく、だけどひとつひとつについて全部確認してくれて、検査のひとつひとつを丁寧に案内して目で見せてくれるタイプ。

足の局部に外から器具を押し当てるエコー検査をしながら「あーここね。ひどいね。見えます?この血管」なんてにぎやかに確認。

ちなみに痛くないはずの下肢静脈瘤が、すっごい痛いのはどうやら「血栓性静脈炎」という血栓ができた結果、周囲が炎症を起こしているということらしいです。これも静脈瘤を治療すれば収まるはず。

そんなこんなで検査は終わりいよいよ手術のお話。
この病院ではレーザー手術とグルー手術があって、レーザーで3万円、グルーで5万円。

どうやらグルー手術の方が今のボコボコがキレイに消える可能性が高くて、術後にいろいろしなくてもいいよう。

しかし、ここはレーザーで。

安いほうがいいですから。それだけじゃなくてそれぞれリスクがあるようで、いろいろ質問してやっぱレーザーですね。と。

「どっちでもまあ、あんま結果は変わらないから大丈夫」
という、最後はざっくりした言葉で閉められました。

それから4日後、朝8時半に病院に向かって(当日だけ飲み食い禁止)手術室に入って、全身麻酔でコテって眠って目が覚めたら終わっていました。

手術は30分弱。だったとか。
左足は付け根まで包帯でぐるぐる巻かれて、その上からキツキツの黒いヒザ下のストッキングが履かされていました。

それから、普通に歩いて完全に麻酔が抜けるまで、別室で30分くらいぼんやりして終わりです。

あっという間。

キツキツのストッキングは「弾圧ストッキング」といって、術後の合併症予防や血流がまた悪化するのを防ぐものだそう。これから一ヶ月は履き続けないといけないのです。

これが「グルー手術」の方だとストッキング履かなくていいんですね。別に不自由はないけど2万円の差は意外と大きいです。

で、最後は先生に励まされて(なんで励ましてくれるのかわからなかった)午前中のうちに歩いて帰りました。

ちなみに支払ったのは38000円。
なんとストッキング、洗濯して替えもいるので2足で8000円。いい値段だな。グルーとの差は12000円となりました。

費用は痛いけども、長年コンプレックスの種だったボコボコがあっという間に終わってしまって、なんだか感慨深かったです。

驚いたのは普通に歩いて帰れるのもそうだけど、早くも手術した左足が劇的に軽い!

ボコボコは弾性ストッキングを一ヶ月履いているうちに、少しづつ目立たなくなるんだそう。ただ完全には消えずに少し跡は残るかも、とのこと。

キツキツのストッキングは思ったほどつらくはないけど、やっぱムレますね。すっげえ熱いかも。

時々ストッキングをずらしてボコボコを観察してますけど、本当に少しおとなしい感じになっていて、一人でニヤニヤしたりして。別の意味で気色悪いことになっています。

人生のかなりの時間をひた隠しに隠して過ごしてきた私のボコボコ。
もし、さっさと検索して治療していたら過去10年くらいはもうちょっと明るい性格で生きてこれたんではないかしら。

多分、そうなんではないかと思います。
それくらい隠してきましたから。

でも、逆に今回治療して治ったとしてもこれから今までより明るい人生を送れるとも思いませんから、結局どっちにしても一緒だよな。とも。

なんなんだ。
一つだけ言えるのは、もしあなたが下肢静脈瘤があるんだったらさっさと治療したほうがなんの心配もなくていいよ!ってことでしょうか。

コンプレックスがひとつなくなる、ちょっとした寂しさのようなものがあるかな?と思ったんですけど。

ひとっつもないし。



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