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2023/02/14 毎日食べたい崎陽軒

日曜日に横浜駅の地下にある崎陽軒食堂に入った。シンプルで飾り気のない店内。食べることに集中できる。とにかくお腹を見たせればいい、年甲斐のない満腹感が欲しい、そんな気持ちで席についた。横浜にきた実感もほしかった。
ただ、お腹を満たしたい。その気持ちはすぐに浅はかだったと、この後気づく。

頼んだのは、サンマーメンとミニチャーハン。そして例のシウマイだ。ここまで直球に横浜を、崎陽軒を食すことはかえって難しいのではないかと思う組み合わせである。
サンマーメンがくる。シウマイがきた。追って、チャーハンが目の前に置かれた。はやる気持ちに素直に箸を動かした。なんだこれ、相当美味しい。誰もが知るシウマイ弁当のあのイメージを、食堂に、出来立ての温かいご飯にのせるとこんな味になるのか。ここからは思いのままに味を語る。貪るように文字を置く。

サンマーメンは肉野菜あんかけを醤油ラーメンにのせたものと理解してよいだろう。これが、あんもスープも素晴らしい。野菜が非常にシャキシャキしており、歯応えが心地よい。よく、火が通り過ぎていないタマネギの脳に響く感覚があるが、それはない。また、醤油ラーメンが本当に素晴らしい。というのも、お出汁がちゃんと感じられる。物凄い安定した地盤に慎ましい家を建てたような安定感、全てが手に届くこじんまりとした過ごしやすさを想起させる。そして、麺の風味が昨今見かけないものであった。縮れた麺といかにも中華麺のような卵のコクを感じさせる強い味で、麺とスープの組み合わせとはこのことかと言わんばかりの味であった。

ミニチャーハンもついてくる。これもやさしい。正直、町中華でこの味が出たら。物足りなさを感じるだろうが、このラーメンとの組み合わせを考えると丁度いい。塩気は程々にこちらも卵がちゃんとたっている。そして、薬味の野菜が見かけだましではなく、ちゃんと味がする。何より、チャーシューがすごい。賽の目状に切っても分かる、脂のコクと、タレのほのかな甘み。これが本当に美味しいのですよ。そして、これを舌にのせると塩気が控えめな理由に納得がいった。組み合わせって本当に大切。

最後にシウマイ。知っている味。これだよ、これの権化。しっかり肉を食べているはずなのに謎に魚介の風味がする気がするあの味です。ただ、僕はこれを温かい状態で食べたことは実は初めてであった。
お弁当で冷めた状態で食べても、温かく食べてもどちらも美味しい。間違いない。しかし、正直冷めた状態で食べた方が、塩気がしっかりと立っているような気がして、意外な感想を抱いた。

改めて思うが、ご飯というのは本当にやさしさが大切だと思う。毎日することなので、少しでも体の負担がないことが肝要。毎日濃い味を食べたり、脂っこいものを食べたり、あんまいものを食べ続けたら、そのツケは必ず回ってくる。また、毎日毎日、高級なものを食べるのも危険だ。高級なご飯は脂肪と糖質を凝縮したものなので。(偏見)あと、お財布が持ちません・・・

日々口にするものは、少し物足りないくらいで丁度いいのかもしれません。もう少し濃く、もう少し甘く、もう少しコクが・・・と思えるものが丁度いい。毎回、最大限に満足し慣れたら、感覚が鈍り、さらに濃く、と続く。人間は際限を知らない生き物なのは、資本主義の仕組みの教科書レベルでもさらっている人なら分かるはず。だから、このもう少し欲しいという状態を楽しめる人になろう。無論、今はできていない。

飲食店はまたお客さんに来てほしい。毎回、しっかりと満足してほしい。だから、どうしてもインパクトのある味を提供するお店が多くなるのだろう。
そんな中で、とても美味しいのにあと少し味があってもいいと、毎日食べたいと思う味を提供し続けている崎陽軒は異彩を放っていよう。それが戦略なのか、それとも自然とやってのけているのかは分からないが、どちらにしても異なるお店であることは間違いない。

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