見出し画像

映画『妖星ゴラス』の謎にせまる!



 妖星ゴラスの謎を考えていた。

 この映画の物語の時間的範囲はどうなっているのか?算数は大嫌いだが、ちょっと計算してみよう。

 結論から述べると映画の始まりから終わりまでは6年間ということになる。
 映画に出てくる新聞の日付や、登場人物のセリフを総合するとそういうことになる。

 まず、土星探検の宇宙船JX1隼号が富士宇宙港を発進したのが1976年9月、土星軌道を外れてゴラス観測を行って、ゴラスに衝突したのが1979年12月24日。これは画面に登場する新聞の記述から分かる。ここで映画冒頭から3年3ヶ月。

 ゴラス調査にJX2鳳号が発進する前に、バーで乗組員に客がゴラスが地球にぶつかるまで700日と言っているので、隼号とゴラスが衝突した位置から計算すると鳳号が発進したのは1981年の2月頃ということになる。

 ゴラスとの衝突を避けるために地球が40万キロ軌道から移動するための日数が100日間と田沢博士が述べている。

 これらの情報を合わせるとゴラスと地球の衝突が想定されるのは1983年となる。

 映画の冒頭の隼号発進からゴラス衝突までの10分間は3年3ヶ月。ゴラス衝突から南極計画決定と始動までが約1年、南極計画の建設に約1年半、始動から衝突回避まで約半年。そのうち最後の地球移動に3ヶ月。

 もちろん、矛盾もあって、鳳号からゴラス爆破計画は不可能と報告が入るタイミングが遅すぎる。これに従えば鳳号は観測地点から地球へは戻ってこられないことになる。

 地球から土星までの距離は約15億キロメートル。第二宇宙速度で飛行しても3年以上かかるが映画の中では土星まで1年で飛行できると想定しているらしい。鳳号が飛行したのは約片道1年近くとして土星を少し越えたところまで行っているようだ。

 映画はこの6年間を88分間で描いているが、全く時間列を示すテロップが出ないので僅かな時間に感じてしまう。

 6年間のうち登場人物が年齢を重ねているようには見えない。

 しかし「そして1年…」とかテロップをいれて時系列をはっきりさせればこの映画はテンポを失って面白くなくなったでろうと思う。
これはこれでいいのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?