日記的なもの 37「裏紙をメモ帳にするという悪習慣的な話」
誰がやり始めたのか知らないが、組織としてはやめた方が良いものの一つに「裏紙メモ」がある。
そりゃ確かに裏に何も書かれていない紙は何かに利用しないと勿体無いと感じるわな。
だが大抵の組織では教育が行き届いていないせいで、個人情報を失敗印刷した紙や社外秘の裏紙を利用してしまう社員が大量にいるのだ。
裏紙メモとは言ってもメモ書きなので、当然その用途は使用者によって変化する。電話がかかってきたときのメモとか、Todo代わりに書いているとか、不在者への通知用とか。
中には、不忘の為にメモ書きしたことで、その紙を自分の手帳に挟み込んで外に持ち出す人もいる。
その裏に印刷されていたものが個人情報だったり社外秘資料だったりして、何かの拍子でメモを落としてしまったら。
または裏紙メモに書かれた内容が本当に単なるメモ程度で、終わったらゴミ箱に捨てられるだけのモノであり、たまたま無関係の第三者がそのゴミ箱の中身から裏紙メモを拾い出したら。
そんなことはありえない、と断言する人は、危機管理能力が著しく欠如している。
実際に、そのあり得ないと思っていることは発生している。
これはほんの一例に過ぎない。
とある病院では、看護師が裏紙を利用してそれを患者に渡したことで、他患者十数人分の住所や電話番号が書かれた個人情報が漏洩したこともある。
裏紙メモは昭和のころから続けられている文化で、「もったいない」精神の表現ではあるのだが、もったいないというのは会社という組織の感覚にすぎないものだ。
環境から言えば、シュレッダーにかけて専門業者に出したゴミは環境利用されるが、メモ帳として消費されたごみは焼却処分されるだけだ。環境を考えるのならば、メモ帳などにせずに断裁処理してリサイクルに回したほうが環境にやさしい。
そもそも裏紙メモは用件が済めば捨てられてしまうことがほとんどである。記録がどこにも残らない。
たとえば、とある取引先からの電話から上司が出張などで不在の時にメモ用紙に記入して、それを連絡用として上司の机の上に置いたとしよう。たまたまそのそばを早歩きの人が通り過ぎた際に、ちょっとした風が吹き、置いておいたメモが飛ばされる。落ちていた紙は清掃員によってゴミとして捨てられる。結果、上司は自分が不在時にかかってきた電話に気づかずに、会社に不利益をもたらすことになる。
たとえば、会議の中で様々な意見が出されて、それをメモに箇条書きにしていたが、答えを見ないまま議論の内容が保留されたままになり結果の出なかったものを記録に残しても仕方ないと考えて捨ててしまう。一年後に同じ議題で会議が行われた際に、一年前の会議と似たような話しか出てこないがためにまた結果は保留されるという無駄が生まれる。
のように、裏紙メモは物理上ではない部分で「無駄」を生み出してしまう。
とどのつまり、メリットよりもデメリットの方が大きいのが裏紙メモなのだ。
インターネット上で「裏紙を効率よくメモ帳化する方法」みたいな記事をよく見かけるが、あれは家庭で行うべきことであり会社で行うべきことではない。
それじゃメモ書きなんかはどうしたらいいんだよ、という意見に対し、俺は「手帳かノートを使え」と伝えている。
今までメモ帳に記入していたすべてを、手帳に記入するだけの話だ。
システム手帳を使っている人の大半が、カレンダー部分が埋まっていてノート部分が半分も使われていない。それなら今までメモ帳に書いていたものを手帳の空白部分に書いたところで問題ないはずだ。
もし手帳がびっしりと埋まっているようならば、別にノートを準備しておけばいいだけだ。
そして手帳やノートの良いところは、「記録に残る」ことにある。
メモ帳だと書いておしまいだったものが、手帳・ノートであれば「後で見返せる」のだ。
たとえ些細なことでも、記録に残しておくことで後で見返し、思い出すことができるようになる。
これは仕事で裏紙メモを使っている人たちにホント言いたい。
「裏紙メモをすぐにやめて、全部ノートに移行しろ」と。