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今、MBTIがなぜ人気なのか

それは「人の内面が見えにくい社会になりつつあるから」です。

プライバシーや個人の権利が尊重されていく中で、昔のように気軽に人にプライベートな質問をしたり、飲みに誘ったりということがしづらくなりました。また、オンラインでのコミュニケーションが増え、人と顔を突き合わせてじっくり話す機会も減ってきているように思います。

その結果、他の人が何に価値を感じたり、何を楽しいと思うのか、どういう内面の持ち主なのか、ということが分かりにくくなってきていると思います。

また現代では、格差社会という言葉があるように、人々の価値が様々な指標において偏差値的なもので画一化されてしまいました。例えば昔だったら、そういう偏差値的なものを知らずにすんだので、「自分は自分」とある種開き直れていました。しかし今は、「世の中、上には上がいるから、俺(私)なんか…」と自虐的になってしまい、自信が持ちにくく、それゆえに他人と積極的に関わるモチベーションが生まれにくくなった、という側面もあるのではないかと思っています。偏差値とはある一面をはかる指標にすぎないのに、それが人間の絶対的価値であるかのような視野狭窄な判断をする人が増えてしまったとも言えるのではないでしょうか。

そんな中で、「私はINFJなんだけど、あの人はISTPっぽいから気が合いそうかな?」という風に、自分と相手のタイプを推測し、そこから関係性をはかるための手軽なコミュニケーションツールとして出てきたのがMBTIだと思うのです。

つまり、MBTIは人とのコミュニケーションが難しくなった社会構造を補完するために出てきた、というのが私の意見です。

こういったお手軽な使われ方には賛否両論あるかもしれません。しかし、私はよいことだと思っています。なぜなら、人と人の会話のキッカケなんて何でもいいからです。様々な会話をしていく中で、より相手の価値観を知る可能性が増えるわけで。そういったお役立ちツールの一種にMBTIがなれれば、それで十分じゃないでしょうか。(私はあくまでエンタメとして楽しむものだと思っています)

また、MBTIは人の普段の行いや言動、雰囲気などの総合的な面から「この人はESFPっぽい」などと判断することで、相手の持つ内面や価値観を推測できるので、もしそれが当たっていれば、相手のことをよく知れるし、また相手も「自分のことを理解してくれた」と自己充足感が得られます。(その人を総合的に判断してタイプを推測するので、完全に的外れになることも少ない)

いちいちプライベートなことを質問せずにでも、相手のコアな価値観に触れることができるツールだと言えるかもしれません。通常、プライベートなことを聞いたり、相手の深いところに踏み込むような質問をするのはそれなりにコミュニケーションコストが高い行為です。それをせずに、相手の価値観の核となる部分に触れられるだけなく、相手の内面に共感することもできる。それが現代社会においてMBTIが人気が出てきた理由なんじゃないでしょうか。


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