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旅の話.46 ポート・サイド①

エジプトに着いて2日目

カイロのCIAO HOTELにて、朝6時につながり眉毛のオーサマからモーニングコールがきた。
「アスワンに行くなら7時30分に列車が出るから、切符を買いに行け」との事だった。そう言えば昨日、ピラミッドツアーに行く前に、そんな予定だという話をした。でもピラミッドで懲りたので、アスワン行きはやめた。予定を変更し、次は北東の港町ポート・サイドへ行く事にした。
もともとこの時間に起きるつもりでアラームをセットしていたから、別にいいけど、親切なのかおせっかいなのか。この時は少し迷惑に感じた。

駅へ行くのに、ホテルのボーイが一人ついて来てくれた。
切符売場へ行くと、「ここじゃない、あっちだ」と言われ、そこへ行くとまた「違う、あっちだ」と言われる。そして結局「10時にならないとダメだ」と言う。なんなんだ?これは。

ホテルに戻り、まだ7時。
悪いなぁと思いつつ、平井さんの部屋をノックしてみた。
そして、一緒に朝食を食べた。
昨日借りてしまった20£Eを返そうとしたら、どーしても受取ってくれなかった。彼は彼で、僕の旅の予定を聞いて感銘を受け、応援してくれている。
そんなお気持ちを、ありがたく受取らせていただいた。

つながり眉毛のオーサマが、
「10時じゃなくて9時で大丈夫だよ」と言うので、一応駅へ行ってみた。
すんなりと切符を買えた。何だか考えるのが嫌になる。
平井さんも一緒に来てくれたので、出発までいろいろと話をした。
もう何日か一緒にいて、いろいろ教えてもらいたい気持ちもあった。
でも、早くカイロから出たい気持ちもあった。
お世話になった恩人に、何かお礼がしたくて、持ち歩いていたスケッチブックから絵を1枚プレゼントした。

列車は11時30分に出発した。
5時間半くらいでポート・サイドに到着した。
ここはエジプトで最も重要な港のある街だ。
ゴミと埃と人だらけのカイロと比べ、自然の光に満ちた静かで綺麗な街だ。
ごちゃごちゃ無秩序なカイロと比べ、区画整理された分かりやすい道だ。
しかし駅からYH(ユースホステル)まで結構距離があった。

旅行者が珍しいのか、東洋人が珍しいのか、歩いていると好奇の眼差しを向けられる。そして、結構話しかけられるが、あまり英語が解らないみたいで、こちらから何か聞いても黙ってしまう。大体「ハロー、ホワッツ ユア ネーム、ホワッツ ユア ナショナリティ、ウェルカム エジプト(またはポート・サイド)、グッバイ」の定形文で終わる。
それでも笑顔で話しができて、手を振ってくれるのが嬉しい。

YHのシングル1泊の料金は17.5£E(500円位)だった。
2泊する事にした。
海岸へ行ってみた。初めて見る地中海だ。意外と波があり、水は濁っていて、ビーチは人でごった返していた。そして、やはり注目を浴びる。
小さな女の子が近寄って来た。
僕が歩くとついて来て、止まるとその子も止まる。近付こうとすると逃げる。そして一定の距離をキープしつつ僕について来る。だんだん距離が縮まって、ついに話す事ができた。とても恥かしそうなしぐさがかわいかった。

アイマンと3人の友達

そして、アイマン達と出会った。
彼も普通に「ハロー」と声をかけてきたので、僕も「ハロー」と返した。
大体はそれで終わるが、彼はさらにいろいろ話しかけきた。
英語が話せるみたいだ。
しかし、カイロでエジプト人に不信感を持ってしまった僕は、いつか「バクシーシ」と言い出すんじゃないかと気を抜けなかった。
結果的に、彼らは純粋にいいやつだった。
英語が話せるのはアイマンだけで、他の3人は少し恥かしそうにニコニコと見ているだけだった。僕とアイマンが話した内容を、アイマンが彼らに通訳していた。
話しながら海沿いの街をぶらぶらと歩いた。
豆菓子やジュースを買ってきてくれたので、自分の分を払おうとすると、絶対に受取らない。それどころか、バクシーシをねだる子供や何か変な事を言って絡んできたやつを追い払ってくれた。

アイマンの英語は、もしかすると独学なのかも知れないと思った。
会話をしていて、今の意味伝わっていないかもって思う事が何度かあったが、友達にはわかったように振舞っていた。なぜか「面白い」って言う意味で「コメディ」と言う。すごく面白いと「コメディ!コメディ!」と言って笑う。その状況が「コメディ」だと思って、面白かった。

22時頃、そろそろYHに帰る事にした。
彼らはYHがどこにあるのかを知らないようだったが、送ると言ってついて来た。途中で、意外と遠いな……って雰囲気も感じたが、絶対に送り届けるんだ、という強い意志も感じた。YHを見つけると、ホッとしたように笑って、
「明日も会おうよ」と言ってきた。
「もちろん」と僕は言って、15時にビーチで会う約束をした。

つづく



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