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【DX企業紹介14】智翔館vol.2 ~遠隔地の教育格差の解消に向けた挑戦~ 

人口減少、高齢化、気候変動、パンデミック、AIの台頭など人々を取り巻く環境が大きくかつ急激に変化する現代において、どの企業もDX(デジタル・トランスフォーメーション)は喫緊の課題となっています。
そんな中長崎県では、2021年度から「サービス産業経営体質強化事業」を実施しています。これはDXに挑戦する県内企業に外部専門家を派遣して伴走支援する事業で、事業2年目となる今年度は株式会社日本総合研究所の協力の元、県内企業14社のDXを推進しています。
2023年3月23日には代表企業に登壇いただき、2年間にわたるDX挑戦の成果を長崎県DXフォーラム(zoom)の中で発表することとなりました。

▼▽▼長崎県DXフォーラム応募フォームはこちら▼▽▼

フォーラム開催までに、昨年度に引き続き各企業がどのような「DXへの挑戦」をしているかご紹介していきます!


企業紹介14社目は、教育格差解決に向けたオンライン授業を展開する学習塾智翔館です。

智翔館は、佐世保を中心に県内10教室で集団・個別指導の教室を展開する学習塾で、新型コロナウイルス発生直後の2020年4月からいち早くzoomを使ったオンライン授業を導入しました。
「どんな地域、状況の子どもでも質の高い教育を受けられる世界」を目指して、2021年度からオンライン授業の質を高める取組に挑戦しています。

2021年度の取組についてはこちらの記事で紹介しているので、まずはこちらから読んでみてください!

オンライン授業の取組の結果、県立中学対策受講生の合格率は約7割!

智翔館では、長崎県立中学校(佐世保北中、長崎東中、諫早高校附属中の3校)を受検予定の小学6年生を対象としたオンライン講座を開設しており、家の近くに塾が無いためこれまで塾に通えなかった子や、中学受検に対応していない塾しか近くにない子などが受講してくれています。

2022年度は、12名がオンライン講座を受講し、県立中学校を受検しました。
そして先日の合格発表の結果なんと、、、、、
8名合格(合格率67%)!!!!!!

県中受検者全体では合格率41%だったので、全体よりも2割以上高い合格率と非常に良い結果だったことがよくわかります。また、通塾生(塾の教室に通っている生徒)と比較してもオンライン生の合格率の方が高く、「オンライン授業はリアルの授業以上の学習効果をあげられる」ことが数値としても明らかになりました。

なぜオンライン講座の合格率が高かったのか?要因を分析してみた

今回非常に高い合格率だったオンライン講座について、学習効果が高かった要因を整理してみました。その結果、オンラインの特性を活かした学習機会を提供できていることがわかってきました。

要因その1:授業中も授業の後もオンラインを活かした生徒個別フォローを実施
オンライン授業では、生徒の画面上に大きく講師の顔が表示されるため、講師との距離が「常に近い」状態が生まれました。講師側は、全生徒の状況を一画面で把握できるため、「ちょっとこの子が困っていそうだな」とすぐに気づき、学習をサポートするためブレイクアウトルームなどの機能を活用した声掛けを行うことができました。

要因その2:授業中生徒が周囲の状況を気にせず質問・発言をできるよう工夫
オンライン授業では生徒は自宅で受講するため、リアルの教室に生徒が集まることはありません。リアルの教室に集まって授業を受ける場合、周りの生徒の顔色を気にするなど空気を読みながら発言せざるを得ない状況ですが、オンライン授業の場合は全員画面越しのため、いい意味で空気を読むことができません。
このオンラインの特徴を活かして、生徒が空気を読まず、率直に発言できるような場づくりを心掛けています。その結果、どの生徒も平等に「発言したいときに発言する」環境ができました。

当初は、オンライン授業の場合生徒同士のやりとりが減るためモチベーション向上が得られないことを懸念していましたが、逆にそれぞれが別の環境にいるからこそ自分を出せる、というオンラインの大きなメリットがあることがわかった大きな成果です。

要因その3:生徒がその日の学習の反省や、反復学習の取組を頻度高く実践できた
オンライン講座では、生徒が授業終わりにその日の学習のに関する振り返り内容を講師に提出する「振り返りシート」と、日々の反復学習を促すために生徒と講師がやり取りする「やり直しノート」を、プリンターを活用して導入しています。
前回受けた授業から次の授業までの間に出てきた疑問もやり直しノートを使ってすぐ講師に質問し、次の授業を待たずに解決できることで、学習サイクルを高速化することに成功しました。

LINEアプリを使って授業の振り返りを提出

オンラインの特性を活かすことで、リアルの学習以上の効果が得ることができたことは、今回の実証実験の大きな成果です!

オンライン授業の確立により、遠隔地の教育格差の解消の取組が大きく前進

今年度の実証実験により、リアル授業以上の成果が出たオンライン授業。
長崎県の離島など、遠隔地の教育格差の解消に向けた取組として、大きな手ごたえを感じることができました。オンライン授業の取組を今後さらに広く展開していくことで、どこに住んでいても意欲さえあれば平等に授業を受けられる世界が実現できると考えています。

▼▽▼2023年度小学6年生オンライン受講生募集中!詳しくはこちら!▼▽▼

また、これまでは智翔館の教室に通える範囲のみが商圏となっていましたが、オンライン授業の展開によって商圏が長崎県全域に広がっていくため、事業としてもますます広がっていくと捉えています。

中長期的には学習塾の授業に留まらず、オンライン授業のノウハウを活用して学校教育と連携し、地域の教育力向上に貢献することが可能ではないかと考えています。
学校教育の現場では、学習指導要領の改訂に伴い、アクティブ・ラーニング、外国語学習、プログラミング教育など、取り組まなければいけないことが山積しています。
まずは少人数のクラスからオンライン授業やオンライン模試を活用したり、指導力向上のための研修などを取り入れることができれば、生徒側の学習の質も担保できるだけでなく、現場の先生の業務量の軽減にもつながります。
自治体を巻き込みながら、学び方改革・働き方改革を目指した学習DXの渦を拡げていきたいと考えています!

智翔館はDX推進事業者の代表として、DXフォーラムにご登壇いただく予定です!
智翔館の取組にご興味がある方はぜひフォーラムにご参加いただき、長崎県発のオンライン学習モデル構築への挑戦を間近でご覧ください!


長崎県DXフォーラム(zoom)開催!

日時:2023年3月23日(木)18:30~19:30
参加費:無料
参加方法:オンライン(zoom)
登壇者:長崎県内のDX推進事業者3社程度
ご参加対象者:DXに興味がある方、
中小企業のデジタル活用に興味がある方、
長崎の未来を盛り上げていきたい方

▼▽▼長崎県DXフォーラム応募フォームはこちら▼▽▼
▼▽▼イベント詳細はこちら▼▽▼

文責:株式会社日本総合研究所 コンサルタント 湯浅夢奈

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