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【DX企業紹介12】石丸文行堂vol.2 ~次の140年も愛され続ける企業になるために~

人口減少、高齢化、気候変動、パンデミック、AIの台頭など人々を取り巻く環境が大きくかつ急激に変化する現代において、どの企業もDX(デジタル・トランスフォーメーション)は喫緊の課題となっています。
そんな中長崎県では、2021年度から「サービス産業経営体質強化事業」を実施しています。これはDXに挑戦する県内企業に外部専門家を派遣して伴走支援する事業で、事業2年目となる今年度は株式会社日本総合研究所の協力の元、県内企業14社のDXを推進しています。
2023年3月23日には代表企業に登壇いただき、2年間にわたるDX挑戦の成果を長崎県DXフォーラム(zoom)の中で発表することとなりました。

▼▽▼長崎県DXフォーラム応募フォームはこちら▼▽▼

フォーラム開催までに、昨年度に引き続き各企業がどのような「DXへの挑戦」をしているかご紹介していきます!


企業紹介12社目は、ステーショナリー、事務用品等の企画・販売業を営む、石丸文行堂です。

(2021年度の取組についてはこちらの記事で紹介しているので、まずはこちらから読んでみてください!)

縮小していく文房具市場

 株式会社石丸文行堂は、明治16年に筆、墨、紙等を扱う筆墨製造販売業として創業しました。現在は、長崎エリアを中心に5店舗展開し、「ステーショナリーのご提案を通じて、お客様の人生に豊かさと楽しさをご提供します」との理念のもと、地域の人々に寄り添う文房具店として、愛され親しまれてきました。しかし、九州、とりわけ長崎県内の急速な人口減少とともに、石丸文行堂の店舗利用者も減少傾向にありました。
 少子高齢化・デジタル化の影響により、文房具市場は総じて縮小傾向にあり、コロナ禍によりその傾向はより顕著になりました。また、文房具は、非計画購買パターンが多く見られ、文房具専門店での購入よりも、100円ショップや雑貨店等での購入が増加傾向にあります。さらに、スーパー、100円ショップ、量販店、雑貨店、ネット通販といった競合が増加し、大半の文房具がどこでも買える状況の中で、店舗の差別性は少なくなっており、価格競争も激化しています。
 こうした厳しい市場環境の中、石丸文行堂は、オンライン店舗による全国のお客様の取り込みを強化していきます。趣味としての手書きニーズや、嗜好品としての高機能文具に対するニーズにも対応し、全国のお客様に文房具の楽しさを伝えていくべく、インスタライブを定期的に開催するなど、SNSによる情報発信を積極的に行っています。

地域の学生を応援する学割サービスの導入

 一方、石丸文行堂が創業から140年根差し続けてきた長崎の地域において、今後、どのようにすればお客様に選び続けてもらえるのか、模索の日々が続いていました。特に、地域の高齢化に伴い、石丸文行堂のお客様もシニア層が多くなる中、いかに、若年層の人たちに石丸文行堂を利用していただくかが課題となっていました。
 ある日、地域の学生から「石丸文行堂の商品は定価で高い」との率直な声を頂きました。そこで、石丸忠直社長は、地域の学生の学びに寄り添う石丸文行堂を目指し、常設サービスとして学割サービスを導入することを決意します。この学割サービスは、学生が石丸文行堂のアプリ登録をすると、全店で文房具を20%割引で購入できるというものです。
 石丸文行堂は、昨年、自社アプリに会員証機能を追加することで、取得したお客様情報を基に、属性別に情報を発信できる仕組みを整備するなど、アプリ機能の強化に取り組んできました。今回の学割サービスの導入によって、学生のアプリ利用者数を増やし、地域の学生の方たちへ積極的にアプローチしていきたいという狙いもありました。昨年10月に学割サービスを開始して以来、順調に新規アプリ登録者数が増加しています。

石丸文行堂の学割サービス広告

地域の高校生・大学生と共に創る「文具のマナビ場」

 さらに、石丸社長は、学生の学びに寄り添いたいという強い想いのもと、地域の学生の方たちと直接コミュニケーションを取れる場として、「文具のマナビ場」を企画しました。この文具のマナビ場を通して、地域の高校生・大学生の方たちが、どのような学校生活を送り、文具に対してどのようなニーズを持っているのか、そして、石丸文行堂に何を期待しているか等、率直な意見を多数頂くことができました。石丸社長は、「文具のマナビ場から得られた情報を基に、地域の学生のニーズに合った商品・サービスを展開していきたい」と話しています。さらに、今後は、学生の方から意見を頂くだけではなく、文具のマナビ場が、学生の方たちにとっても貴重な学びの場になるように、文具にまつわる様々なワークショップ講座を企画していく予定です。
 石丸文行堂は、オンラインでの情報発信に加え、地域の方々との対面での情報交換を積極的に行っていく中で、お客様との関係性構築を目指しています。「学生の頃から利用していただいたお客様が大人になって、そのお子様たちにも、また石丸文行堂を利用していただく、世代を超えて愛される石丸文行堂を目指したい」と石丸社長は話します。

文具のマナビ場のチラシ
文具のマナビ場の実際の様子

次の140年に向けて

 そして、石丸文行堂は、次の140年を見据えて動き始めています。創業から140年間の歴史の中で大切に守り抜いてきた理念体系を踏まえ、次の140年を生き抜いていく石丸文行堂になるには何が必要か、石丸社長と広報、店長らがメンバーとなって、140周年記念プロジェクトを発足させました。これからの持続可能な社会において、石丸文行堂の存在意義(パーパス)は何か、そして、その存在意義を果たすためにどのような価値を発揮すべきか、熱い議論が展開されています。
 それぞれのメンバーの想いはただ一つ。石丸文行堂が、これからもずっとお客様に愛され、社会にとって必要不可欠な存在であり続けること。石丸文行堂の創業から続く社是「日に新た」では、社員が日々挑戦・前進していく姿勢の重要性が示されてきました。今までも、そして、これからも、石丸文行堂の挑戦は続いていきます。

代表取締役社長 石丸忠直氏

長崎県DXフォーラム(zoom)開催!

日時:2023年3月23日(木)18:30~19:30
参加費:無料
参加方法:オンライン(zoom)
登壇者:長崎県内のDX推進事業者3社程度
ご参加対象者:DXに興味がある方、
中小企業のデジタル活用に興味がある方、
長崎の未来を盛り上げていきたい方

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文責:株式会社日本総合研究所 中村美穂


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