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医療現場での発達障害の人との接し方

4月2日~8日は発達障害啓発週間です。

発達障害とは

発達障害は、広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害など、脳機能の発達に関係する障害です。
ニュートン、ダーウィン、アインシュタイン、テスラなど偉人達も発達障害でした(先の4人は自閉症スペクトラム障害だったそうです)。

発達障害があると、人との関わりを作ること、コミュニケーションが苦手。でも、とある分野において優れた能力を発揮する場面があります。周囲からみるとアンバランスな様子で、理解されにくい障害です。環境に恵まれる人はその能力を発揮し、いろいろな成果を発揮できます。しかし、環境に恵まれない人の方が多い。環境に恵まれない人の場合、‘生きにくさ’を感じて生活しています。

ASDとアスペルガー症候群とADHD

1.自閉症スペクトラム障害Autism Spectrum Disorder
言葉の発達の遅れ、コミュニケーション障害、対人関係・社会性の障害、パターン行動、こだわりなどの特徴を持ちます。言葉に関連する知能障害があるASDを自閉症と表現します(ASD全員が知的障害があるわけではない)。

2.アスペルガー症候群
コミュニケーション障害、対人関係・社会性の障害、パターン行動、興味関心の偏りがあります。言葉の障害はありません。
言葉を文字通りに受け取ってしまうため、ユーモアを理解できません。自分のことばかり話して、相手を無視して一方的に話す様子があります。

3.ADHD
集中できない、じっとできない、衝動的に動く、という特徴を持ちます。
言葉の発達は正常ですが、早口で自分中心にしゃべることがあります。ASDやアスペルガー症候群とは違い、物事へのこだわりはありません。

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スペクトラム概念

自閉症スペクトラム障害では、スペクトラム概念が基本にあります。この世の中だれでも、十分に発達している側面と発達が不十分な側面があります。発達の不十分な程度は人それぞれです。

A氏とB氏を見てみましょう。

A氏は、
対人関係やコミュニケーションは超苦手。人との付き合いができない。でも1つのことには集中できて、目覚ましい研究成果を発揮している。

B氏は、
対人関係やコミュニケーションは苦手だが、多少なりとも付き合いは可能。ファミレスで接客することはでき、決まったことを適切に行うことはできる。ただし、急な対応を求められる、いつもと違うことを求められるとフリーズしてしまう。

A氏は、対人関係の障害の程度は高いですが、生活環境が恵まれており、日常生活に大きな支障はありません。B氏は、対人関係の障害の程度はそこまで高くないですが、生活環境が本人の特性に見合っておらず、日常生活に支障がでています。

その人の置かれている生活環境によって、発達不十分な側面により、その人が感じる「生きにくさ」が変わってきます。

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医療現場で出会う発達障害の方

病気という非日常が急に発生すると、発達障害の一側面が現れることがあります。説明の1つの言葉にとらわれ話が進まなくなったり、一度決まった予定が変更になると混乱したり、一つの症状にとらわれたりすることがあります。普段の生活では、隠れている発達が不十分な側面が、非日常の「病気」や「入院」という場面で初めて分かることになります。

医療現場での対応

発達障害がある(診断はついていないがおそらくあるだろう)患者・家族とどう向き合うか。基本的な姿勢を6つにまとめました。

①落ち着いた環境を準備する
できるだけ静かな環境で、患者さんにとって安心できる場所を準備しましょう。

②注意を引き付ける
すでにある興味関心を参考に、医療側に注意を向けさせるようにします。個人的には、これはなかなか難しいように思います)

③パニックや混乱しているときは無理をしない
患者さんがパニック状態のときに、大事な話をしても伝わりません。相手が思っていることを聞こうにも聞き出せません。落ち着くまで見守ることも必要な時間です。

④適度な距離感を維持する
どのような場面でもそうですが、適度な距離を維持しましょう。本人にとって心地よい距離を維持する。これも難しいですが、付き合いが長くなれば、なんとなく理解できるでしょう。
敬語を用いましょう。距離感が近くなりすぎるときは、友達に話すような言葉になってしまっています。患者さんとは友達ではありません。敬語を使わなくなった時点で、距離感を振り返りましょう。

⑤具体的かつ簡潔に説明する
あいまいな言葉は厳禁。逆に患者さんを混乱させてしまいます。きっぱりと、「〇〇しましょう」と伝えた方が理解できます。簡単な言葉で短い文章で、しかも具体的に説明する。ちょっと練習が必要です。視覚情報を合わせると伝わりやすいです。

⑥同じ内容を繰り返して伝える
パターン化することで理解しやすくなります。パターン化は、ASDではパターン化される方が浸透しやすい。

まとめ

発達障害は、脳機能の発達に関する障害。
発達不十分な側面は誰でも持っており、生活環境が大きく影響する。
対応方法を知ると発達障害の方を支援することにつながり、発達不十分な側面があってもうまく付き合っていくことができる。

<参考>


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