ストレンジャー『(6)圧勝』

 *
 友莉は心の底から靭に惚れてしまった。
 この人は不器用で、でもとても優しい人だと思っていた。でも、それだけじゃない。やるときは、とてもやる!
 変身したヤタは後ろへ炎をジェット噴射(体が炎と同化している)し、伸縮自在の腕が真っ赤に燃えて、ベアーマンへ両腕の突きを繰り返し続けている。
 ベアーマンも両腕で突きを繰り返す。パワーでは負けていない。ヤタも少しずつダメージを与えられている。
 しかし、ベアーマンの拳は焼け焦げ、何度も胴体へヤタの突きが入り、ダメージレースは完全にヤタに軍配が上がった。
「靭さんかっこいい……」
 思わず呟いた。


「わかった、俺の負けだ」
 ベアーマンのストレンジャーは座り込んだ。
「よし、まあ、こんなもんだな」
 呟いた僕に、小型化したヤタが話す。
「靭かっこいい!」
「やめろ自画自賛になる!」
 つっこみを入れる。
「がはは!本当に面白いやつだな!」
 ベアーマンのストレンジャーは笑った。
「ね、何より、強いけれどね」
 長身の女が言った。
「あの、靭さん」
 近くまで来た。
「うん、どうした、友莉」
「あの、その、私が守るとか言ってすみませんでした。靭さんがこんなにお強いだなんて」
「いや、アンの矢のお陰でしょ」
「あっ、えへへ、そうかなぁ、いや!」
「う、うん」
「そうじゃないんです、私、靭さんに守ってもらいたいです」
「……う、うーん」
「えーっ、そこ迷うんですか」
「あ、ほら、まあ、なんだ」
「はい」
「はー、しょーがねぇなぁ」


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