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営業部ではどの部署・会社に行っても必須のスキルや能力を身につけることができる

「営業は長く続けられないしキャリアにならない」という内容のコメントがXで目に入ったので、ついXでピックアップしコメントしてしまった。

このコメントは示唆に富む。「営業」という言葉の捉え方次第では同意できる部分もある一方、全く同意できない部分もあるからだ。

「高い営業目標を背負いながらお客さんに商品を買ってもらう」ことが営業だと捉えれば、「キャリアにならない」という感想は一理あり、同意できる。「お客さんに買ってもらう」と言っている時点で押し売り感が満載であり、お客さんの役にも立っておらず長続きがしなそうな印象が醸し出されるからだ。

一方で営業を「お客さんのニーズを汲み取った上で、本社から予算を確保の上で最適な商品を提案し、お客さんに満足してもらう」一連のプロセスとらえれば、ここにはビジネスマンとして必須のスキルが凝縮されている。

「キャリアにならない」どころか長期的にみてキャリアで必須のスキルばかりである。具体的には以下の通りである。

・お客さんのニーズを汲み取る力:ニーズを汲みとるためにはお客さんの業界動向、ビジネスモデル、そして競合動向等も(ある程度は)事前に勉強し、理解しておかなければならない。一つの業界を深く知っておけば、そこからある程度横展開が可能な業界知識やビジネスモデルを身につけることができる。また、お客さんのニーズをきちんと汲み取る力が身につけば、それはマーケティングやシステム開発部門、経営企画分門等に行ってもきっと役に立つ。これらの部署は基本的に他部からの要望に基づき行動を行うことが多々あり、そこでには他部のニーズを的確に理解する能力が必須となる。
・折衝力、調整力、段取り力:お客さんからニーズを聞き出せたとしても、そこから社内リソースを確保し、提案を期日までに具体化することが必要になる。社内では予算を握っている人も偉いが、予算を取ってこれる人はもって偉い(と自分は思う)。そしてこの予算や人員を確保し提案を具体化させるプロセスは、営業のみならずマーケティング、システム開発等の部署でも必須スキルである。
・交渉力:交渉は押してダメなら引くことが有効になる場合もある。接待をどこで使うか、どこで上司に訪問してもらうか、といったカードの切り方も身につく。営業ではこうした先方の機微を察しつつ、案件成約に向かうための交渉力も身につけることができる。そして、当然のことながらこうした交渉力はマーケティング等の部署でも、さらには経営企画や人事等の部署でも必須である

以上、営業で身につくスキルはどれも当たり前すぎるため、転職ではアピールにならない。だからこそ、冒頭で引用したX内のコメント主は「キャリアにならない」と考えてしまったのだろう。

例えばあなたが法務部門で弁護士と仕事をするとき、財務部門で会計士と仕事をするとき、戦略部門で戦略コンサルと仕事をするとき。あなたは「金を出す側が偉い」という考えに固執し、上から目線で彼ら外部のプロフェッショナルに接したとしよう。すると相手もいくらプロフェッショナルとはいえ、最終的には人間なので、自ずとアウトプットクオリティが低くなりがち、もしくは彼らの中での案件着手の優先順位を下げられがちだ。それよりも、「如何に外部専門家に最大限のパフォーマンスを発揮してもらい、最良のアウトプットを出してもらうか」という点にフォーカスをすれば、きちんと人対人の観点では彼らに敬意をしめしつつも、言うべき要望はきちんと伝え、双方の信頼関係を築きながら仕事を進めていく方が、よっぽどアウトプットのクオリティは上がる。こうした人の感情の機微を察しつつ、目標の達成に向け案件を進めるスキルは営業だけでなくどこでも必須である。

長い目で見れば、営業はビジネスマンの礎となるスキルを身につけることが出来るだろう。


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