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ベンチャーディールズ(36) 秘密保持契約/ Venture Deals - NDA

以下、米国VC・Foundry GroupのBrad FeldやJason Medelsonが毎年2回提供しているオンラインコース(無料)、Venture Dealsの講義内容が素晴らしかったのでまとめてみました。
今回は「Dividend」のセッションを和訳しました。なお、和訳することについてはBrad Feld氏と直接コンタクトし、許可を得ております。他のセッションも順次アップしていく予定です。是非ご一読下さい。なお、Venture Dealsはベンチャーキャピタルを理解する上でとても勉強になるシリコンバレーVCのバイブルのような本なので、是非ご一読ください。

(以下、講義和訳)

(クリント)以前、スタートアップはNDAにサインすることはほぼ考えられない、と話していたのに、なぜ今回はサインを勧めているのですか?

(ブラッド)資金調達の文脈においては、スタートアップが(ベンチャーキャピタリストとの)NDAに署名することはほぼ無いと言っていいでしょう。しかし、買収の場合、上場企業の買収者または非上場企業の買収者は、ほぼ必ず相互にNDAにサインします。NDAとは、相手から言われたことについて自分達は全て秘密を守ると約束し、自分達が言ったこと全てについて相手に秘密を守らせる、と約束させるものです。

買収者、非買収者はお互いの会社に関する非常に機密性の高い情報を開示し合うことになります。そして、実際に交換する情報は秘密にしておくことが重要であることに加えて、取引を行うことについて現在話している、という包括的な事実を秘密にしておくことが重要なのです。

(クリント)なぜ守秘義務が重要なのか、もう少し詳しく教えてください。

(ブラッド)まず、非上場企業同士の取引から考えてみましょう。このような場合、あなた方にとっては競合相手ではないかもしれませんが、あなたの企業を買収しようとしている企業にとっては、あなた方と共有する情報を知られたくない競合相手が存在するかもしれませんし、またその逆もあります。あなたにとって、買い手と共有する情報を知られたくない競合他社がいるかも知れません。

秘密保持契約を結んでおくことは、たとえそれが法的な観点から行使されることがなかったとしても、相互共有される情報が開示されないという期待を醸成することになります。

上場企業の場合、何が公開され、何が公開されないかについて多くの規則や法律があるため、NDAの締結は非常に重要である。上場企業においてはこの種の文書が遵守されなければ、重大な債務を負うことになります。

(クリント)スタートアップは、もし仮に、買収候補先から「あなたは我々の情報は秘密にしなければならないが、我々はあなたの情報を特に秘密にしなくてもいい」という片務的な義務のあるNDAが送られてきた場合、どう対処すべきでしょうか。

(ブラッド)即刻拒否すべきですね。起業家として、あなたは相互で秘密保持を遵守するNDAの締結を主張すべきです。基本的に、機密保持に関して買収企業がスタートアップ企業に署名を求めているものについては、買収企業側も喜んでサインすべきなのです。この相互NDAの締結について主張しても争いに発展することは滅多にないです。まあたまにありますが、たいていはお互いの誤解の範囲内の話であり、双方の弁護士がお互いより優れていると見せるために硬い主張をしているだけなのです。

「君たちもサインするのであれば、君たちがサインしたいものには何でもサインするよ 」と言えば解決します。

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