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なぜか潰れない最弱念珠店のバックヤード⑧(利益の考え方)

ビジネスとは、スケールがどんなに小さくても、利益を出さないことにはビジネスではない。

資産が少ない開業初期の頃は、単純に損益計算をプラスにすることばかり考えると上手くいかないことも多い。

今回は、実際に失敗した経験談と、提案したい考え方について書くね。

見積が甘い

開業当初というのは、とにかく経験不足。

たとえば業界で会社勤めをしていて、そのまま同業で独立という場合は、そこそこ分かっている気になってしまうことも多い。

ところが、意外と見えない経費を甘く見てしまうケースがある。
意外と会社のおかげでなんとかなっていたことに失敗してから気づいたということも多々経験した。

僕の仕事で身近な例だと、念珠の修理で簡単に済むと思って安請け負いしたら、想像以上に手間がかかってしまったというパターン。

今でも、まったく無いとは言い切れない。たまにやってしまう。

商品の仕入価格に対して、利率を決めていくのは自然な考え方だけど、打合せにいく経費なんてのは、つい、うっかり抜けていることもある。

粗利はそれなりに出ているはずなのに、なぜかお金が残らないというのは、一つの仕事が終わってみないとわからない。

少なくとも、初めのうちは細かいお金にシビアになって、案件毎に経常利益(仕入や目立った経費だけでなく、その案件にかかった細かい諸経費も全て引いて利益をだしてみる)を計算してみると改善が早い。

僕はそのことに気づかずに、ずいぶん失敗を重ねてきた。

特に、時間に対する値段の付け方は難しい。

たとえば、1個につき10分かかる作業があったとする。
工賃を単価200円で考えると、時給1200円は確保できる。

48個の作業を受託すれば、8時間9600円という日当をとれることになる。

ところが、同じ内容で、毎回1個ずつしか依頼がなかったらどうなるか。

正味の作業は10分で終わるが、200円のために準備と後かたつけをしなければならない。発送業務が伴う物なら、その都度、梱包資材もかかり、梱包の手間、伝票の出力、配送業者に差し出す手間など色々かかってくる。

完全に赤字になる。

その他、打合せが予定よりも必要になったり、トラブルが発生して、一気にコストアップとなってしまうことも想定しなければならない。

必要な資材など、自分の事務所スペースで一時預かるとなると、大変な場合もある。大量の記念品の受注を取れて浮かれていたら、納品前に部屋が一つ潰れて大変だったことがある。もう、どこで寝ようか、家の中で引越し状態。笑

本当なら、そういったあらゆる手間や苦労も、事前に、見積に含めて考えることが出来ると、余裕のある商売ができる。

自信が無い

見積を高く提示するというのは勇気が要るよね。

「高く」って言っても、別にボッタクリじゃなくて、相場並でしっかりいただくということも、特に始めのうちは自信が持てないことが多い。

友達、親戚、古いお客さんなど、親しい所から仕事が始まることも多いと思う。

まったく知らない人から仕事をもらうと、真面目な人ほど、1人ずつをお客さんを大事にしなければという気持ちが裏目にでて、弱気の値段設定をしてしまう。

値決めっていうのは、そもそも難しいことで、業界の相場をリサーチすることはもちろん金融知識も必要になってくる。極端なことをいえば、パン屋さんの単価だって、アメリカFRBの政策金利を見て考えた方がいい。

僕も、色々な価格設定を試して、それほど金持ちになれていない所をみると、あまり上手じゃ無いかもしれないので、具体的にオススメできる方法は書くことができない。

少なくとも、実績を積むほどに自信も付いてくる。

それでに、一つだけ分かってることは書いておこう。

こんな2択はどうだろう。

①無理して安く請け負って、その範囲で精一杯の仕事をする
②少し高めの設定にして、とことん丁寧な対応ができる

お客さんの実際の反応を見ると、②のパターンの方が満足度が高いような気がする。

それに、こちらはギリギリ限界の安値で頑張っているのに、お客さんの期待は値段じゃなくて、親身な対応だったりする場合もある。

まずは、的確にニーズを掴むということも大事だけど、思ったよりも買い物は金額だけで判断されていない。「多少高くても・・」というところに、僕らのようなスモールビジネスに勝機がある。

僕はケチなので、自分が客の立場であれば少しでも安いところで買おうとする。しかし、冷静に考えてみれば、それなりの価格のところで、それなりのサービスを受けた時の方が、満足度が高いというのは、分かる気がする。

多少の価格の差というのは、買ってしまった後は、意外と忘れてしまう。
高く買って失敗したということよりも、期待していたよりも不親切な対応だったというほうが、悪印象は残りやすい。

あたりまえだけど、高く取って見えないところは手を抜くという業者も多いが、それはやめよう。別な記事でいつか書こうと思うが、短期決戦で売り逃げすつ仕事を続けるのは結構ツライ。長続けられる商売をするのは基本だからね。

価格設定は、自信を持って相場で頂き、精一杯の対応をしようというのが、今のところの結論だ。

営業経費にフィードバック

上の項で、案件毎の経常利益を計算してみるといいと書いたけど、ひとつ、提案したい裏技がある。

ただし、中毒性が強いので、使いすぎには注意だ。

ビジネスを継続するためには、本当は一つの仕事で割り切れない。

たとえば、いつもお世話になっているお得意さんには安く出せるというのは、当然有ることで感覚的にはわかるだろう。

ただ、損益というのは計算なので、感覚的に済ませてしまうのはよくない。

考え方としてはこういうことだ。

手間がかかって利益が切迫したとき、または赤字になってしまったとき。
これを解決する考え方がある。

「考え方」ね。赤字分のお金が返ってくるわけでは無い。

もし、その案件の利益が厳しい状況になったとしても、ベストを尽くしてお客さんが本当に喜んでくれたらどうなるだろう。

また、次も注文してくれるかもしれないし、周囲の人を紹介してくれるかもしれない。

今時だと、利用して満足したことをSNSに投稿してくれる人もいる。

インチキくさい商品レビューや口コミでも、書いてあればつい読んでしまうけど、生の声で褒めてくれたら、それは本当に強い。

こちら側主体で、「こんな仕事をさせてもらいました」という実績を作る事も出来る。実績は、次の仕事に繋げる営業ツールとして重要だ。

つまり、「この案件の利益が減った」と考えるのでは無く、「次の案件を取るための営業経費に直接投資している」と考えるのだ。

この考え方はとても大事だと思っていて、何もないところから手ぶら営業というのは、非常にコスパが悪い。

職人というのは昔からそういう考えを持っていて、良い仕事こそが最高の営業になるということは実際にある。

ただ、注意したいのは今時そればかりに拘ってしまうと、本当に良い物が意外と売れない。隣で安物粗悪品が口八丁の営業でバカスカ売れていくのを眺めることになる。それは避けたい。

「仕事→お金→仕事」の変換にはロスが生まれる。
だから、「仕事→仕事」になるように考えた方が変換ロスが少ない。

ただし、いつまでも現金が回らないようでは商売が続かないので、その都度しっかり利益を出していくというのは、基本的にはずせないことではある。

おわりに

売値ー(仕入値+経費)= 利益

たったこれだけのことがけっこう難しい。
昔、算数で習った法則で、仕入値と経費を右辺に移項すると、

売値(見積)=利益+仕入値+経費

となる。これが、見積価格だ。

本当にこれだけなのに、そこには、値段の付けづらい様々な要素が絡んでくるから難しい。

さあ、あなたの商品は、いくらで売るのか?
よーく考えてみよう。



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