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なぜか潰れない最弱念珠店のバックヤード⑤(グリーンベレーになれ)

このシリーズも5回目になった。

今までは、インチキくさい内容も多かったけど、いよいよスモールビジネスを継続するための基本的な経営戦略的な話を書いてみよう。

一般的なビジネス書に書いてあるようなことは期待して、またインチキかよとかいわないでね。

僕なりに、10年続けてきたことで、たぶんこのやり方は合っていると思うので、今後も続けて行く予定だ。

巷では、「再現性が高い」メソッドがもてはやされている。

しかし!!

そんなもんあるかいな。
誰でも成功する方法があるなら、誰も失敗しないはずだ。

誰でもこれで上手くいくとは思わないけど、やり方の一つとして参考にしてくれる人がいたらそれでいい。

10年は修行

どういうわけか、開業を決意したときに、とにかく「10年は修行」って、漠然と思った。

10年は、目先の利益よりも、自分磨きと環境整備を優先しようと思っていたのだ。

何を根拠に10年?ってことはないんだけど、本当になんとなく。

目先の利益に振り回されるなということは、よく言われる話。
でも、実際に生活があるから、焦るでしょ。
月々の支払に追われて、いつもひやひやしながら、無理な営業をしてしまうのだ。

だから、売れないうちは、前の投稿で書いたように、ダブルワークで生活の基礎を作ること。

焦るな危険

仕事がとりたい。喉から手がでるほど受注が欲しい。
そして、相見積もりで、無理な値段で受けて利益でないとか、本当にありすぎる話。

足下見てるお客さんは、それがわかってて、相見積もりとって意図的に値段ぶつけてくる人もいる。

だから、大前提として、「飯を食うには別に困ってない」という心身共に余裕があった方が良い。これは、うわべのやせ我慢では難しいと思う。

僕は、肉体労働の掛け持ちで、それを実現していた。

買ってくれないなら別なことで稼ぐので、無理に勧めませんというスタイルだ。

それでも、やはり値段は自信の表れ。僕も開業当初は、とんでもない安値で仕事を受けていた。

でも、人間関係が出来た上で安く受けた仕事は、ただの買い叩きとは訳が違う。

よく、値引きすることを「勉強する」何て言い方をするけど、僕は安く引き受けることで本当に勉強させてもらっていた。

利益がない分で、試行錯誤したり、実績を作ったり。
研究材料をタダで提供してもらっていると考えた。

そんな風に、作業に熱中していたので、割に合わないという発想はあまりなかったな。

たまに、儲からない割にしんどいなと思うことはあったけど、それも修行の内だと、納得していた。

ランチェスター戦略

念珠屋としての、知識や技術を磨きながら、それなりにビジネスの勉強も続けた。

ビジネス書というのは、どれも似たり寄ったりで、きれい事ばかりだし、これで行けそうだというアイディアはなかなか湧いてこない。

そんな時に、たまたま目に留まったのが「ランチェスター戦略」という戦い方だ。

これは、もともとビジネス用語ではなくて、ランチェスター作戦という戦争用語。興味がある人は、検索したらすぐに概要はわかるし、本もたくさんでているので、読んでみると良い。

弱者のための戦略だ。
戦争は基本戦闘力が同じであれば、兵数が多い方が勝つ。兵器が近代化されると、その差は指数的に顕著になる。だから敵全体と戦わずに、兵力を集中させて局所集中で奇襲をかけ続けるという戦い方だ。

これをビジネスに応用するのだ。

たとえ自分の会社よりも規模の大きな同業社がいても、特定のエリアだけは絶対に負けないとか、特定の客層には強いとか、局所的には勝てる部分を見つけていく。

この考え方は、僕に勇気を与えた。

念珠店で同業社といえば、並の老舗ではない。
江戸時代から続いているような会社いくつもあり、歴史だけで無く、規模も資金も従業員数も比べる対象にならない。立地だって各宗派の本山近くを陣取っており、北海道の田舎の住宅街でなにができようか。
何もかも敵う気がしない。

しかし、すぐに走れるご近所だけでも、誠心誠意、手の込んだサービスが提供できれば、そこに勝機はないだろうか?と考えた。

「すぐに走れる」というのがなかなかの曲者で、北海道は広い。
当時30代前半だった僕は、とにかくフットワークの軽さをアピールした。毎日300kmだろうが、500kmだろうが平気で走って見せて、可愛がってもらえるところには足繁く通った。

北海道では、念珠の現物を手に取って選べるような地域はほとんどなく、地元の仏壇店にや葬儀屋さんが在庫してある物を強制的に買うくらいしかできない。

最初の数年は、「京都に行った時にちゃんとしたの買うわ!」と言われ続けたのは悔しかったが、僕は単に北海道でも買えるという利便性を売っていたわけではない。

相手の心情や家庭事情まで考慮したヒヤリングを重視した。
「私のためにそこまで考えてくれたの!」っていう感動を届けたかったのだ。

10年経った今でも、リーフレットの表紙には、はなす・つくる・てわたすと書いてある。

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この行程は、ずっと大事にしてきたことだ。

全国にカタログを送るような大きな企業が、これを真似出来るとすれば、一部の上客相手のときだけだ。北海道の田舎で5千円の念珠を買う人に、そんな対応はできっこないでしょ。

ここに一局集中。ランチェスター戦略だ。

今は、ネットの恩恵もあって、僕のほうも負けじとお客さんの対象地域は全国規模になったけど、その精神は変わらない。
変わったのは、無理な長距離運転よりも、メールやSNS等、ネット活用へと、コミュニケーション方法が変わっただけだ。

グリーンベレーになれ

シルベスター・スタローンの映画ランボーを知っているだろうか。
ランボーは、グリーンベレーという特殊部隊で戦う兵士だ。

永遠の筋肉俳優と言えば、シュワちゃんかスタローンだというのに、ひょっとして20代くらいになると、知らなのでは・・!(まあ、いいか。)

そのランボーだけど、映画の中では大抵チームからはぐれたり、特殊にしても特殊すぎる危険な任務を受けて、死にかける。そこから奇跡の生還をして一人で敵を打ち負かすという、昭和らしい、わかりやすい安定のアクション映画だ。

映画の中で、ランボーの身体能力と生命力は異常なまでに高く、筋トレしまくてっも、ああはならない。ま、映画なんだけど。

それにしても、アメリカ軍にグリーンベレーという部隊は実在するのだ。

本物のグリーンベレー隊員が、どれくらいの大胸筋なのかは知らないけど、世界最強のエリート部隊とも称されている。

厳しい選抜試験や訓練もあって、体力はもちろん、精神力や知性も飛び抜けている。

僕は、ランチェスター戦略をベースに、さらに意識を発展させた。

「ランボーに!おれはなる!!」(ルフィーっぽく読んでね。)

念珠界のランボーだ。営業マンがいるような会社とは人数で勝負ができない。しかし、念珠のことで困っている人がいたら、ランボーのように潜入して、どんな特殊任務でも一人で成し遂げる。

本で読んだランチェスター戦略ではなく、僕は自分のビジネスをグリーンベレーの様な精鋭部隊に、そして自分自信はランボーになろうと思った。

おわりに

それで、おまえ、筋トレはじめたのか!!(とか、言わないの。)

でも、あながち冗談でもない。並の筋トレをした程度で、現役のころのスタローンみたいにはなれないけど、自分は特殊任務を遂行する人間だ。腹の出た中年ではだめだとは思った。

念珠の本だけ読んでいれば良いということではない。
世界のあらゆる情報を集めて、また、その為に自分も情報発信をし、知性、筋力、体力、忍耐力、精神力を磨いて行こうと思っている。

「10年は修行」と遠い未来を想像していたが、気付けば10年は経ってしまった。

また次の10年でやりたいことが次々に浮かんでくる。
先を見据えながら、自分磨きは怠らないように続けていきたい。

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次回は、具体的な営業法について書く予定。


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