見出し画像

d news agui物語.5 「そうじ」

掃除はブランドをつくる一つの重要な手段。

僕はいつもそう思っています。店内にゴミが落ちていたら、そのブランドの価値は500円くらいは落ちる。なんてこともよく考えます。
ホテルに泊まって、知らない髪の毛がベットの枕元なんかにあったら、「泊まりたくない」くらいに思うでしょう。そのホテルが一泊5,000円のビジネスホテルなら、1,000円くらいの損出。もし、それが10万円のホテルなら、おそらく30万くらいの損出なんじゃないかと、思うのです。

ちょっと計算式がいい加減ですが、たかがゴミ、されど、なのです。

d news aguiでは朝、1時間掃除をします。正直、1時間では足りないので、営業時間にも気がついたら雑巾拭きとか、窓拭きをします。

先日、皆川明さんのお誘いで「北のクラフトフェア」という盛岡でのフェアの出展者審査会に参加ののち、フェア当日の盛岡を訪ねました。
その際のトークショーで登壇したのですが、会場内からの質問でこんなのがありました。
自分の商品の値付けの話です。

「店頭で値段をいうと"高いね"と言われます。値下げすべきでしょうか」確か、こんな感じの質問だったと思います。僕が答えた訳ではありませんが、僕の答えはこうです。


「作ったものに自信があるならば、そのもの以外を意識高く整えるべき。今回言われたのは、そのひとがものを見て、それ以外の環境と無意識に照らし合わせて思った結果ではないか」と。その一つが「床に落ちているゴミ」であり「中途半端な什器」であり、「その時着ていた服」であり、流れていた「不釣り合いなBGM」であり、「接客」であり・・・・・・。

僕も店を運営している一人として、自分が用意している環境(売り場)と合わない価格帯の商品があることは重々承知しています。
例えば「10万円近いYチェア」をd news aguiでは取り扱っていますが、多くの人は「それは、専門店で買う」と、思うと考えます。
そんな高額なものは、「そういう気持ちにさせてくれる店」で買いたいもの。逆にいうと、そんな椅子がとても良く売れる店とは、その椅子以外の環境に納得させるものがあるのです。そこにはきっと「ゴミ」など、落ちてはいないのです。


僕はd newsは10円のものも10万円のものも等しく売れる店でありたいと思っています。それにはどうしても「そうなるための環境」が必要です。
店には必ず「得意な価格帯」があります。それはまるで20代をターゲットに編集されたフアッションカルチャー誌のようなもので、得意な価格帯のものを中心にしながら、そこに紐付けた高額品もある、という感じで無理がないのです。

しかし、d newsは子供からお年寄りまでをターゲットにしていますので、いろんな感覚、環境が必要です。それを一言で言うなれば「普遍的」でしょう。

例えば定番の「絵本」はそんな感じでしょう。赤ちゃんにも大人にも受け入れさせてしまう。そこには「独特な世界観」があり、d news はそこを意識しています。
ゴミのようなものも、10万円の椅子も等しく棚に並べて、どちらもしっかり売れるには、それ以外のことが当然重要です。それは「シャレ」であったり「粋」出会ったり「笑い」であったりする。同時に「清潔」であったり「結果としてしっかりしている」であったり・・・・。

それにはまず「掃除」をしなくてはなりません。
汚いとそこにすら行かない。「キレイにしてある」というのは、基本中の基本なのです。

掃除は人にとっては「作業」と感じる人もいるでしょう。しかし、「ブランドを作り込む行為」とも考えられる。
隅々まで掃除が行き届いていることで、その店や会社の印象の基礎が出来上がる。先ほどの人の質問に戻りましょう。

ここから先は

1,298字

¥ 350

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?