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期待させすぎると

半年ほど前から、博多に「エアコンのない快適を売りにしたホテルがある」という噂を聞いていて、いつか体験してみたいと思っていました。

冷風、温風など「風」で室温をコントロールするエアコンは、便利ではありますが、乾燥したり室内外機のカビなどが度々問題になっている。そして、やはりモーターの音がする。それらが全くない。大きなオイルヒーターのようなものと、室内の壁、床、天井に独自の温度を作り出す仕組みがあり、音もなく暖かかいどころか、涼しくもなるという。これからの時代にぴったりと思い、d hotelにも採用できないかと思っての体験でした。

 部屋には「7つの約束」という冊子もあり、オーガニックタオルを使用するなどの、これまでにない快適性を売りにしたホテルをアピールしていました。そして僕は大いに期待をしていました。

室料はゴールデンウィークということもあり、シングルで30,000円。もちろん安くはないと書きたいところですが、高いです。でも、期待させるものが多く、とにかく体験したかったのです。結論から書くと、その期待に反して、かなりがっかりしました。

まず、お風呂、トイレがいわゆるユニットで、価格から見ると「?」と思いました。そして、家具などに「竹を使い・・・・」的なこだわりはわかるのですが、それよりもこの価格なら、一人がけでもいいのでソファが欲しいと。要するに「くつろぐ」スペースであるはずが、かなり普通のホテルだったのです。
 この宿泊を体験し、自分もホテルを作っている立場として2つのポイントが見えました。

 一つは人って、常に「価格」からの期待と現実を照らし合わせるということ。ゴールデンウィーク中とはいえ30,000円です。それなりの設備の質などを期待します。そこはおそらく様々にクリアすることもできますが、タオルなどの質をいくら上げても、ニユットバスの質にややがっかりするものだなぁと、自分で思いました。

 そして、もう一つは冊子やWebサイトなどで自己発信するPR。「期待を持ってもらう」ことも、やりすぎると、現実と向き合った時にギャップがある分、それは「がっかり」に変幻してしまうのです。これも体験して思いました。クリーンな静寂を特殊な装置で生み出せても、壁や床が薄いことで、隣の話し声や足音が聞こえすぎる。エアコンの音がない分、隣の音がよく聞こえてしまう。

つまり、静寂をPRする前に、基本的な建築構造からの「音」へこだわらないと何もならないと思ったのです。

 時代に先駆けた取り組みは大いに評価されるべきです。注目のホテルであることは間違いありません。ただ、ほんの少し、「期待」を煽りすぎたかなぁ・・・・・・と、感じました。「期待」って難しいなぁと、次は自分の番だということを意識しながら。

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ロングセラー「ナガオカケンメイの考え」の続編として、未だ、怒り続けているデザイナー、ナガオカケンメイの日記です。

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