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いよいよ「浄夜」チケット発売前夜に思うこと.1

沖縄を代表する三線奏者でアーティストの新良幸人さん。彼がこれまでの作風とは違う、八重山民謡を基調としたアルバム制作を意識して、知人らを辿り、探し出したピアニストのサトウユウ子さん。

この二人により、アルバム「浄夜」は今から10年前の2011年に生まれ、僕はその7年後の2018年6月に、このアルバムに出会います。

長く暮らす東京の毎日にストレスを感じ始める。のんびりとしてもいい時代が過ぎ去って、アメリカから「クール」という価値観が輸入されてくる。集団や家族、仲間という日本人が大好きなはずの結束も、メディアの焚きつけるそんな価値観に、一人一人、個の価値観が「多様性」みたいな言葉と共に、SNSによって細かく分断されるかのようになり、その様子も個によって配信されていく。

なんとなく、そんな雑音の中で、それでもみんなが心の拠り所を求めて、祈るようなものづくりが広がっていく。ヨガが流行したのは、流行ではなく強くそうした精神と自然の融合を求めていたから。そして、デザイン界にも民藝運動が再び注目される。

民藝運動とは思想家の柳宗悦による「宗教美学」。美しい心や雑念を取り払ってものと向き合う「直観」が代表的な思想。「直観」とは、自分とものの間に、情報や他人の価値観を挟まず、直に、直視してすぐさま感じること。それができてこそ、美しいものに感動したり、美しいものを作り出せる。

柳は自著の中で、こんな内容のことを書いている。
「もう、現代の雑然とした環境の中では、美しいものは生み出せない」

僕はいつの間にか沖縄に通い始め、いつの間にか滞在時間が長くなり、ついにはアパートの一部屋を借りて一年のうち100日ほどを暮らす場所になっていきました。

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そして、少しづつ、心が浄化されていくことを感じ始め、ますます沖縄に興味が湧き始めた頃、気がつくと東京でも出張先でも、新良さんとサトウさんの「浄夜」を毎日のように聴くようになりました。

そして、思ったのです。

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もし、この2人に会うことがあったら、昔に作られた作品の再現はもしかしたら、アーティストとして拒否されるかもしれないけれど、そして、一人のファンとしての頼み、願いとしては大掛かりすぎるかもしれないけれど、「このアルバムをもう一度、今の時代に再現するライブをして欲しい」と。言ってみようと思い始めました。

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沖縄に来ると必ずいく場所があります。「JET」「インタリュード」。
どちらもアメリカンロックやジャズのライブハウス。

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戦争、そして琉球王国から日本になった沖縄。戦後の雑然とした日々のことは想像できませんが、敵国の文化を取り入れて、なんとか日々を乗り越えていった過去の気配を、僕なりに少し感じて、最初は素敵な様子に感動しながら、少しづつ、心が苦しくなっていきます。それでも通いたくなる何かがあるとしたら、それは「情熱」。音楽や歌にある深いメッセージを伝えられるものへの。

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もう一つは「共同売店」という相互扶助の仕組み。「ユンタク」という「買わなくても集まって雑談して寄り添い合うスタイルが好きで、のちの自分の店への考え方に大きく影響を頂きました。

そして、そうした文化を楽しく、そして、深く伝えようとする歴史家の賀数さんの存在に出会い、何度かツアーを組んでみんなで沖縄の歴史を巡ったりもしました。

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余談ですが、このツアーの一週間後、なんとあの火事が歴史を襲います。参加した私たち、主に東京からの参加者全員も、大きなショックを受け、同時に大切なものの儚い一面を強く感じたと思います。
毎日当たり前にあるものも、一瞬で消え去ってしまう・・・・・・。
だとしたら、私たちは何を心の支えにする必要があるのか。それはお金でも地位や名誉でもなく、形のない何か。ずっと何が起こっても、心の中で自分を支えてくれる何か。

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沖縄で、一番「沖縄を感じる」のは、「人」です。
そこにずっと、じっと暮らしているから出来上がっていく人の様子があります。
都会と違う時間の流れ方、物事を決める時に大切にするものの順序・・・・。


ある日、お店のバイトの子が卒業する記念に「踊りを披露したい」とのことで、そこに参加させてもらったことがあります。大好きな「かいのわ」というアクセサリー作品を作る川初夫妻のお店の話です。

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長い間、人生を生きていますが、「お世話になったみなさんに踊りを見て欲しい」と、目の前でそうしてみた経験はありませんでした。最初は戸惑い、やがて、これはなんだろう、と考え、その表現された動きに、心が落ち着きはじめ、そして、自分の中にそれがメッセージとして入ってきて、その感動はどう抑えることもできませんでした。
何か、有名なとか、有料の、とかではない、無の想い。


そんなある日、「新良さんに会えるよ」と、d沖縄店オーナーの比嘉さんが、おそらく、ずっと「浄夜」を聴き続けている僕の様子を見ていて、人を伝って探してくれたのでした。

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この日は、あまりにも緊張して、このアルバムが大好きだということを伝えるだけで精一杯でした。

つづく


2011年10月23日(土)
場所は沖縄桜坂劇場 18時開場で18時30分開演
チケット申し込みは8月14日より。200席は作れませんでしたので、
チケットはお早めに。配信も用意しています。
以下は配信の申し込みです。
https://peatix.com/event/2610913

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ロングセラー「ナガオカケンメイの考え」の続編として、未だ、怒り続けているデザイナー、ナガオカケンメイの日記です。

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