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浄夜ライブを終えて


なんども書いていますが、僕は沖縄にアパートを借りるほどに、沖縄を好きになってしまいました。それは文句なしの魅力というよりは、魅惑。わかりやすさと、わかりにくさと、わかるけれど、理解できないことや、いわゆる不条理なことが入り混じって、一言で沖縄を言い表せ、と、僕が聞かれたら、こう答えると思う。「仕方ないけど、前を向こう」

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東京にいると聞こえてこない沖縄は、当然のように沖縄にはあって、沖縄の新聞を見ていても、こんなこと起こっているんだということばかり。不思議ですね。こんなに通信が発達し、新聞にさえ書かれていることなのに、全国の人は知らない。ま、普通のことか。笑 
石垣島でこのアルバムに出会い、それからAmazonで買っては人にあげ、買ってはあげ、多分、僕は40枚は買っては人に渡している。何故に、と、聞かれたら、答えられないけれど、このアルバムの力が、今という雑然として毎日を生きることすら必死にならないと続けられない世の中に、この歌詞やメロディ、歌声やピアノや三線が、救ってくれるように感じています。

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そんな様子を見ていたのか、d沖縄店の比嘉オーナーが「新良さんに会いますか?」と、ある日、紹介してくれました。僕は自分の店であるd&departmentのフランチャイズをしたいという株式会社ミックスと、d沖縄を立ち上げ、やがて、自分もアパートを借りて住むようになり、イメージの沖縄が徐々にリアルになっていくにつれ、本土にいた時とはなんとも言えない圧倒的な時差のようなものがあることを感じ、ここは、とても今の日本には大切な場所であると感じると同時に、琉球王国のままでいて欲しかった、日本になんてならなかったらよかったのに、とも思うようになっていきました。

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石垣島の住人にとって「飛行機が1便」増えることは、喜ぶ人よりも、どちらかというと困惑する人の方が多いと僕は感じました。沖縄本土も同じでしょう。外から僕のような人間が来ることは、歓迎できる部分だけではない。本土にいるとそんなこと、考えたこともありませんでした。
沖縄に通って約8年。来るたびによく感じることの一つに、自動車の種類とスピードが増していること。沖縄のおばあは、30キロくらいでゆっくり走りますが、その後ろに島外からきた人が乗るレンタカー。せかせかと走り、やがて追い抜いていく。僕にはなんだか、沖縄の人が本土の人に追いかけられているようにも見えて、なんだか気の毒に思えたり・・・・。そんなこんなを感じながら、それらが入り混じり、諦めのように受け入れ、それでも外の人がいるからこそできた進化もあり、また、失っていくものもあり・・・・。

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沖縄の人にとって「神様」よりも「先祖」が大切。そして、太陽や月に関してもとても大切に思っている。いろんなことをよそ者の僕は毎日遭遇し、この「浄夜」というアルバムと出会い、ご本人と出会うことになり、このアルバムが10年も前に発表されたことに驚き、いま、このアルバムをみんなに聞かせたいと思い、Amazonで買い、プレゼントし続けました。ダメもとで「このアルバム”浄夜”の再現ライブをしてほしい」と伝えました。一言でいうと、10年前にも、震災など今でいうコロナのような自然災害が起こり、人類は自然さえも制御できると威張っていたところに、その強さを見せられ、何もできなくなった私たちは、じっとしながら、人類の驕(おご)りきった気持ち、行動に気づく。もう少し、自然と共存した方がいい。もう少し、経済優先じゃない、地球優先にした方が、結果として私たち人間が暮らせる。人間の都合で木を切ったり、海を埋め立てるのではなく、もっと謙虚になって、生かされていることを感じることが大切なのではないか・・・・・。

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僕は30年以上「デザイナー」という仕事をやっているので、それでも途中、35歳くらいの頃に、「結局、消費を加速させ、無駄にものを買わせ、消費させ、ゴミを大量につくりだすことに加担している仕事」だと気づき、デザイナーはそんな時、何をすべきかを考え、今のように活動しているわけですが、その答えの一つが「ロングライフデザイン」ですが、これは「なるべくものを長く大切に使い続けよう」「そういう道具なら、作って販売してもいいのでは」というもので、その根底には「祈り」「願い」「想い」というものがなくてはならないと感じています。話が逸れましたね。

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浄夜を作った二人、新良幸人さんとサトウユウ子さんと打ち合わせを繰り返し、彼らがこのアルバムをとても大切にしていることを感じ、これは商業としての興行、ライブというよりも、みんなでこれを聴きながら、何か願うような、祈るような気持ちになったらいいと思うようになりました。不思議です。

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そして、コロナが収束しつつある2年後の今、ライブは感染防止の体制で行われました。僕はもしかしたら、これを読んだ人が「きみ悪い」と思うかもしれませんが(笑)、このアルバムやこのライブが、一つ、大きな何か、平和の種になったと確信しています。やがて、このライブは広がり、「浄夜」は広がっていく。そう思えて仕方ありません。音楽の力の凄さ。太古の昔、火の周りで踊ったような音、メロディに通じる何か。

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ただの観光客の一人だった僕が、アルバムに出会い、なぜか、その本人に出会えて、なぜか、ライブが実現し、今やテイチクレコードにも在庫のないアルバムCD「浄夜」をd&dとして再プレスすることになるなんて、想像できたでしょうか。本当に不思議なことです。しかし不思議とばかり言っていては、もったいない。この意味をかみしめたいのです。みんなと。

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ロングセラー「ナガオカケンメイの考え」の続編として、未だ、怒り続けているデザイナー、ナガオカケンメイの日記です。

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