見出し画像

やっぱり130万円の壁はぶっ壊したほうがいいよなと思った話

行政書士・社労士・診断士の長岡です。ひさびさに社労士っぽい話をしてみます。

はじめに

5年近く放置していたLinkedINのアカウントを先週から活用し始めまして、意識高い系の投稿はそちらに書いていこうと思っております。

本日も日経新聞の記事を紹介しつつ私見をさらっと投稿するつもりだったのですが、原案の段階で気合いを入れすぎしまいまして、やはりnoteで投稿することにしました(LinkedINは友だちゼロ人ですし)。

ちなみに、日経の記事はこちら(有料会員限定)。

記事の中では、配偶者控除の見直し(所得税の話ですよね?)について触れられています。それも重要であることは間違いないのですが、社労士的には社会保険制度の見直しも必要なんじゃないかと思ったわけです。言ってしまうと、「扶養家族の優遇は廃止したほうがいいでしょ」という意見ですね。

ここでは、健康保険の「被扶養者」と国民年金の「第3号被保険者」を一括りにして「扶養家族」と呼びます。配偶者が社会保険(健康保険・厚生年金)に入っていて、年収130万円未満の人たちのことですかね(106万円の話は置いておきます)。あと、いちいち「夫(妻)」とか書くのは面倒なので、いわゆる「専業主婦(パートタイマー等を含む)」のパターンで通します。まだまだそちらが主流派でしょうし。
(かっこ多いな……

2つの問題点

この話、大きく分けて2つの問題点があると思っています。

① 受益と負担が公平ではない

まずは受益と負担が不公平という点です。受益者が専業主婦(がいる家庭)に限定されているのに対して負担者は勤め人(役員含む)と事業主ということで、独身者や共働きの人、そして事業主は負担するだけなんですね。

ちなみに、扶養家族がいるサラリーマンは保険料が高くなると思っている人がいるかもしれませんが(私がそうでした)、保険料は家族構成に関係なく収入で決まります(家族手当とか出ていると結果的に高くなる可能性はありますが)。

② 就労意欲を削いでしまう

私はむしろ、こちらが大問題だと思っています。130万の壁と言われているように、年収130万円が見込まれると自分で社会保険に加入して保険料を負担しなければならなくなるので、月収10万円くらいに抑えようとするパートさんが一定数いるんですよね。

130万円ギリギリでやっている人が年末にシフトを減らすような話も出てきますので、事業主はもちろん、職場の仲間にも負担がかかってくるわけです。まあ、それを見越して人材を確保するのが事業主の責任なのかもしれませんが……。

ただ、これ、パートさんも単純に働きたくないわけじゃなくて、「130万円以上になったら損してしまう」仕組みになっているのですから、仕方ないといえば仕方ないですよね。でも、仕事を抑えることによって使えるお金も減ってしまいますから、経済全体で見てもマイナスになりそうです。

僕が考えた最強のかいかく

ということで、前々から「第3号とか廃止しろや」と言い続けてきた私の改革案を発表してみます(わりと浅いです)。

まず、社会的に支え合う仕組み自体は大切なものであって、病気等の理由で働けない人たちへの扶助は絶対に必要だと考えています。ただし、これは働けない理由や程度に応じて減額や免除などの制度を整備すれば対応可能でしょう。

つまり、正当な理由なく働いていない有閑マダムとか優遇する必要はないよなーと。べつに有閑マダムを否定しているわけではなくて、そういう人たちを社会で支える必要はないですよね、という話です。

ということで、病気等の理由がなく無職の人は、国民健康保険・国民年金の保険料を自分で払ってください。自分で払えなかったら、配偶者に払ってもらってください。失業中(労働の意思及び能力を有するにもかかわらず職業に就くことができない状態にある場合)の人は免除でもよいと思います。

そして、年収130万円未満の人たちは、給与所得があるなら額に関係なく社会保険に加入です。ただし、現在の等級の下にいくつかの等級を設定して、負担がそこまで大きくならないようにします。でもって、現在の1級より下の場合は事業主負担もなしで。
……みたいな案を考えていたのですが、これ、事務負担が大きすぎるので却下ですね。やっぱり「130万円未満はみんな国保・国年を自腹で」で行きます。

いずれにせよ、130万円未満でも自腹になるなら、130万円の(精神的な)壁はほぼなくなるでしょう。国民健康保険のことは正直よくわからないのですが、年金保険料だけ考えると、年収200万円くらいまではむしろ得になりますよね(事業主が半分負担してくれるので)。

おわりに

この記事を書くためにあらためて調べたのですが、第3号被保険者はおよそ800万人いるみたいですね。

https://www.mhlw.go.jp/content/koutekinenkin_hihokensha_202106.pdf

公的年金被保険者に関する分析
ー国民年金第1号被保険者を中心とした分析ー(厚生労働省年金局数理課)

国民年金の保険料が月額16,590円ですので、第3号被保険者を800万人として計算すると、事業主等が負担している額は年間1.5兆円を超えています(計算合ってます?)。

まあ、実際には免除になる人や未納になってしまう人も出てくるでしょう。ですので、収入増はあまり見込めないかもしれませんが、少なくとも負担はかなり減りますよね。あと、130万円未満に抑えていた人が解放されるのはデカいかなと。

そんなわけで、コロナ禍によって経済がガタガタになっているうえに少子化も深刻化(これは前から)していますので、ここは思い切った改革が必要なんじゃないかと思う今日この頃です。