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第14回 遺言とは(種類・複数遺言の存在・記載した財産の処分)| 学校では教えてくれない相続の話

行政書士の長岡です。相続の話、14回目となる今回は、前回に続いて遺言の概要について解説していきます。

遺言の種類

遺言にはいくつかの種類があります。法律上は、乗っている船が遭難してしまった人や伝染病で隔離されてしまった人が書くような「特別の方式」という遺言もあるのですが、現実的にはほとんど活用されていないようです。

特別ではない遺言は「普通の方式」と呼ばれまして、こちらは「自筆証書」「公正証書」「秘密証書」の3種類があります。中でも自筆証書と公正証書は広く活用されているものですので、それぞれの特徴などについては、別の回で説明していく予定です。

遺言についてよくある質問

ここから先は、相続の相談員をしているときなどに聞いた話をベースに、Q&A形式で2点ほど説明してみます。

複数の遺言が見つかった場合はどうなるのか?

2つ以上の遺言が存在して、なおかつ古いものと新しいものに矛盾点があったらどうなるのか。この場合の判断はわりと単純で、「最も新しい遺言」が優先されることになります。例えば、令和3年4月1日に作成した遺言には「自宅を長男に」と書いてあるのに、令和4年9月1日に作成した遺言には「自宅を長女に」と書いてあったら、「最終的には長女にあげたかったんだな」という判断になるわけです。

ちなみに、矛盾してない部分は古い遺言も有効になるのですが、残された人が混乱しないよう、新しい遺言に「令和3年4月1日に作成した遺言を撤回して改めて遺言します」などと書いて、一から作り直すのがよいでしょう。

遺言に書いた財産は自分で使えなくなるのか?

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