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伝承をデザインしたい

私はグラフィックデザインをベースにブランディングなどの仕事をしている中で、最近「伝承」ということに興味があります。

伝承とは、
① 伝え聞くこと。人づてに聞くこと。
② ある社会や集団の中でのしきたりや信仰、口碑、伝説などを受け継いで後世へ伝えてゆくこと。また、その事柄。

精選版 日本国語大辞典 https://kotobank.jp/word/伝承-578227

私の興味のある伝承は上記の②に近いイメージです。

伝承というと仰々しく聞こえるが、「人が持っている知恵や情報、技術」などその人がいなくなったら同時に無くなってしまうというのは勿体無いと思いませんか?
例えば、先代が当たり前のように行なっていた技術は後世に伝わらずそのまま先代が亡くなり同時に技術も無くなったというのは「お金の損失」よりも痛手が大きいと個人的に感じます。

見える形にしておかなければ、存在しないのと同じ

技術や精神性など目に見えません。だからこそ価値があるのですが、
そこに存在している時は「あたり前」なので疎かにされます。
しかしそれが無くなってはじめてその価値に気づき始めます。しかも大抵のものは取り返しがつきません。
だからこそ「あたり前のことが、あたり前になっている時」に見えるカタチにしておく必要があります。

レシピだけでは再現できない

それでは考えをそのまま文書などで残せば良いかというとそれも少し違う気がします。
例えばレシピは残っていても作る人によって変わってしまう料理のように、
レシピはもちろんコツや精神性、背景なども伝承には必要な要素な気がします。

見えないものをどうカタチにするか

正直ここが一番難しいですが、
・「伝承する人」と接する機会を増やす
・背景を知る

というのが今のところ私が考えていることです。(この部分は私もまだ探っているところです)

歴史や過去を知る意味

学生の頃、正直な話歴史を勉強する意味がわかりませんでした。
(今でも事実かどうかわからない歴史に意味があるかなど考えるときもあります…ひねくれてます…)しかし大人になるにつれ、歴史を知ることは過去の「過ち」や「学び」を知りその延長線上で今何をしなければいけないのかを知ることにあるのだろうと勝手に考えています。
なので伝承という行為があることで、「過ち」や「学び」からより良い未来を築けると思っています。
なぜ日本にいながら海外で作られたものに囲まれているのか?
なぜ都市化するということと自然破壊はイコールなのか?
など最近自分が思う疑問も過去を知ることで見えてくるものがあります。

現代人に必要な「立ち止まること」

今の世の中を生きていると、目まぐるしく様々なことが回っています。
目先のことを追いかけることに囚われると、目的を失ってしまいます。
正直ブランディングやデザイン、伝承など目先に見える結果が出づらいのは確かです。しかしそれを行わないがために目先のことしか対応できなくなるというのも本末転倒だと思います。

残しておくべきことは些細なこと

今些細なことだと思って、将来は大事になっている可能性があります。
そう考えると未来からしか今の大事さに気づけないのかもしれません。
なので、少し立ち止まって、もしかしたら「これ大事かも」と思うことは取り返しがつかなくなる前に伝承することが良いのではないでしょうか。


ちなみに前々から伝承ということが大事だと思っていたが、この本に出会って、さらに伝承が重要だと思わせてもらえました。取材・構成・デザインは大好きなデザイナーの梅原真さん。(これを1980年代に出版しているなんてさすがです)詳細は以下より。
「土佐の味ふるさとの台所」


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