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【マッチプレビュー】2023 J3 第1節 テゲバジャーロ宮崎vsAC長野パルセイロ

2023年≠2023シーズン

 2023年に入り、早くも2ヶ月が過ぎ去った。2023年には突入したわけだが、私にとっての2023シーズンはまだ始まっていなかった。
 2023年2月17日、昨季J1王者横浜FMと2021シーズン王者川崎の一戦で、今季のJリーグは幕を開けた。前評判通りの選手層の厚さを誇る横浜FMと新スタイルに挑戦した川崎の一戦は、熱戦となり、2023シーズンの開幕にふさわしい試合だったのではないだろうか。
 2023シーズンJリーグは開幕したが、私にとってはまだ足音の段階に過ぎなかった。私の本番はまだ少し先だと認識していたからだ。
 そして、待ちに待った瞬間が今週末に訪れる。

本当の開幕

 2023年3月4日、ついに2023シーズンJ3リーグが開幕する。今季のJ3オープニングマッチは、SC相模原vsガイナーレ鳥取。解説者として活躍した戸田和幸氏のプロ指揮初陣となる相模原と、着実な補強を行い金体制3シーズン目でJ2復帰を目指す鳥取の注目マッチだ。
 しかし、この日も私にとっての2023シーズン開幕ではない。私にとっての2023シーズン開幕は、2023年3月5日14:00である。テゲバジャーロ宮崎vsAC長野パルセイロの対戦をもって、ようやく私にとっての2023シーズンは完全開幕となる。
 この記事では、この"開幕"の一戦をプレビューとして記載していく。

マッチプレビュー

通算対戦成績

 長野は、宮崎に対してJ3通算2勝1分1敗を記録している。初対戦が2021シーズンということもあり、データ量が少なく、相性という観点で語ることは難しい。
 初対戦となった2021シーズンの成績は、長野の1勝1分。J参入間もない宮崎をホームUスタに迎えて行われた一戦では、宮崎のボール保持に苦しんだ一方で、幸先よく先制に成功した。しかし、宮崎にとって、J初得点となる同点弾を決められドロー決着。
 同シーズンの後半戦では、巻き返しを図った長野が、アウェイゲームで2-0の勝利。スコアほどの完勝ではなかったが、まだ"川崎ブースト"がかかっていたため、辛くも勝利した。
 昨季の成績は、長野の1勝1敗。前半戦の対戦では、後半アディショナルタイムにCKから決勝弾を決められ、勝点が手からこぼれ落ちた。悪天候によるピッチ状況や疑惑の判定によって、ストレスの溜まる試合だったかもしれない。ただ、当時の長野は終了間際の失点癖があり、無得点の時点で負けるべくして…というのもあっただろう。
 迎えた後半戦のホームゲームでは、直近6連敗の宮崎に2点を先行される苦しい展開。しかし、後半からギアチェンジした長野が、後半開始早々に1点を返すと怒涛の反撃が始まる。60分までに2点を返し、試合を振り出しに戻すと、終了間際に藤森が逆転弾を決め、3-2で勝利。J加盟以降初の2点ビハインドを逆転勝利する試合となった。
 宮崎のホームゲームでの成績は、1勝1敗。直近の昨季対戦では敗北しているため、苦手意識が染みつかないよう、勝利することが求められる。

オフシーズンの動向

テゲバジャーロ宮崎

〈OUT〉
・綿引康:→相模原
・神野亮太:→ヴェロスクロノス都農
新保海鈴:→盛岡
・奥田雄大:→讃岐
・瀧澤修平:契約満了
徳永裕大:→藤枝
岡田優希:→北九州
千布一輝:→鹿児島
・三村真:→福山シティ
・西田恵:→奈良
・小野寺達也:現役引退
園田卓馬:→ジェイリース

EL GOLAZO『2023 Jリーグ 選手名鑑』

〈IN〉
・青木心:順天堂大
・眞鍋旭輝:山口
・北村椋太:福島
・西岡大志:愛媛
・井原伸太郎:鹿児島
・東出壮太:熊本
・新城暖基:宮崎U-18
・金川羅彌:日章学園高
・山崎亮平:長崎
・石津大介:岐阜
・青戸翔:讃岐
・南野遥海:G大阪(期限付)
・松本幹太:山形(期限付)
・杉浦力斗:金沢(期限付)
・永田一真:福岡大

EL GOLAZO『2023 Jリーグ 選手名鑑』

 宮崎のオフシーズンの動向で目立つ点は、昨季主力の流出だろう。DFラインの柱である代の残留には成功したものの、左サイドで躍動した新保・岡田、中盤の要である千布、2022 J3アシストトップの徳永を残留させられず。新保や徳永は上位カテゴリーへの流出だったが、千布や岡田は同カテゴリーのライバルへ移籍となった。
 加入メンバーで注目したい選手は、石津と青戸。2人とも昨季J3の経験があり、攻撃のピースとしてハマると驚異になるであろうポテンシャルを持ち合わせている。
 今季から新監督として松田浩氏が就任。直近では、G大阪を率いた実績もあり、松田色がどれだけ浸透しているかに注目したい。規律を重視する固い守備スタイルが松田色と言える一方で、新加入選手の約半数はFW登録メンバー。攻守にアグレッシブなサッカーを展開してくることが予想される。

AC長野パルセイロ

〈OUT〉
・大内一生:→鹿児島
・川田拳登:→VONDS市原
・敷田唯:→東京23(期限付)
・乾大知:→Tonan前橋
・水谷拓磨:→秋田
・坪川潤之:→富山
・山口和樹:→ラインメール青森
・住永翔:→ラインメール青森
・デュークカルロス:→相模原
・牧野寛太:現役引退
・東浩史:契約満了
・佐野翼:→クリアソン新宿
・宮本拓弥:→八戸

EL GOLAZO『2023 Jリーグ 選手名鑑』

〈IN〉
・濵田太郎:大分(期限付)
・大野佑哉:松本
・砂森和也:鹿児島
・西田勇祐:横浜FM(期限付)
・佐古真礼:東京V(期限付)
・鈴木悠太:長野U-18
・近藤貴司:愛媛
・安東輝:栃木シティ
・音泉翔眞:水戸(期限付)
・西村恭史:清水(期限付)
・丹羽匠:早稲田大
・青木安里磨:松本大
・進昂平:群馬
・木原励:浦和(期限付)
・高窪健人:FC徳島(期限付から復帰)

EL GOLAZO『2023 Jリーグ 選手名鑑』

 長野のオフシーズンの動向で目立つ点は、シュタルフイズムを進化させるIN&OUTになったというところ。大内や水谷といった、昨季シュタルフスタイルの中核を担った選手が、流出したことは長野にとっては痛手だろう。しかし、大内・水谷・デューク以外のメンバーは、シーズンを通して活躍場面が限られており、放出となったことに違和感はない。
 一方、加入メンバーでも今シーズンに向けてシュタルフ色を強めていく姿勢が見える。水戸から期限付きで加入した音泉と群馬(昨季は愛媛へレンタル)から加入した進は、YS横浜時代にシュタルフ監督との共闘経験がある。既に監督の色を知る選手が加わったことは、既存戦力との融合という点でメリットだと言える。
 昨季順位は8位と振るわなかったかもしれないが、昨シーズンを通して監督の色が出てきたことは確実。浸透具合やシュタルフスタイルを考慮した移籍市場の動きなど、今季こそ本領発揮のシーズンになるのではないだろうか。

予想スタメン

 宮崎については詳しく追うことができていないため、「EL GOLAZO『2023 Jリーグ 選手名鑑』」を参考に反映した。松田監督カラーを出していくことを前提とすると、4-4-2のベーシックなシステムで入ることが予想される。昨季も活躍した代・江口・橋本の出場は確実かと推測する。
 長野の予想システムは3-5-2(3-3-2-2)。実績十分なCB陣を活かせる3バックで入るだろう。中盤は、昨季も中核となった宮阪を底に据えて、運動量のある佐藤・山中をIHとして予想。IHとしては、三田や近藤も候補に入ってくるだろう。FWは2トップで山本&進のコンビを予想。高さ&スピードというコンビで言えば、木原・高窪も十分に考えられる。

注目ポイント

◎それぞれの今季志向スタイルの把握
◎後半のギアチェンジ

 1点目は、開幕戦ならではの注目ポイント。試合の前にいくら予想や考察をしたとしても、始まってみなければ正解はわからない。宮崎のスタイルは、本当に松田スタイルを押し出した戦い方なのだろうか。長野のスタイルは、本当に昨季をベースにした戦い方なのだろうか。予想は予想でしかない。どのようなスタイルを志向し、誰がスタイルのキーマンになるのかを試合を通じて見極めてみてほしい。
 2点目は、指揮官の修正力に焦点を当てた。試合前に相手のスタイルがわからないのは、選手や監督も同じ。ある程度予想できても頭の中の考えでしかない。試合前に考えたプランAが成功したのか、プランBに切り替えるのか。チーム全体に浸透させる場としては、ハーフタイムが絶好の機会だ。うまくいかないのであれば、改善の一手を。うまくいっていても、現状維持に加えた突き放しの一手を。経験豊富な松田監督とアイデアに溢れるシュタルフ監督の手腕の一片に注目してほしい。

まとめ

 いよいよ始まる2023シーズンJ3リーグ。昨季同様にJ初参入組が、昇格争いを牽引するシーズンになるのか。J2復帰を目指すJ2経験クラブが、上位を席巻するシーズンになるのか。始まってみなければ分からず、終わってみないと何が起こるか分からない。これこそ、J3リーグの醍醐味であり、恐ろしいところだ。
 昇降格制度という面では、今季から「J退会」の可能性が出てきたのがJ3リーグ。これまでの「降格」とは比較にならない変化が生じうる事象である。下位に沈んでも「来季の土台作り」に専念できるリーグではなくなった。最初から最後まで目が離せない最高のリーグなのではないだろうか。
 各チームの指揮官の色の豊富さもJ1・J2にないJ3の注目ポイントだ。
・昇格請負人の呼び声高い石崎監督(八戸)
・解説業からカムバックした松原監督(盛岡)
・福島スタイルを構築した服部監督(福島)
・WEリーグで優勝を知る星川監督(YS横浜)
・解説業から新境地への挑戦となる戸田監督(相模原)
・攻撃的スタイルの求道者である霜田監督(松本)
・情熱と知略のハイブリッド指揮官であるシュタルフ監督(長野)
・石崎監督からの引き継ぎという昇格ルートに乗る小田切監督(富山)
・世界を知るキャリアを背景に監督業に挑戦する中山監督(沼津)
・カタールW杯日本代表の躍進を支えた上野監督(岐阜)
・スタイルチェンジの第一人者である志垣監督(FC大阪)
・Jリーグ最年少監督として参戦するバサロ監督(奈良)
・クラブ史上初のJ2昇格を知る金監督(鳥取)
・Jクラブ指揮経験初年度となる米山監督(讃岐)
・スタイル浸透で勝負の2年目に挑む石丸監督(愛媛)
・今治を知りJ3を知る高木監督(今治)
・昇格と残留の厳しさを知る田坂監督(北九州)
・J1/J2での指導経験豊富な松田監督(宮崎)
・J初采配でJ2昇格まであと一歩に迫った大嶽監督(鹿児島)
・降格の悔しさをNo.2として経験した倉貫監督(琉球)
 厳しいJ3の波を乗り越え、J2昇格を掴むのはどの監督か。一戦も見逃せない熱いシーズンが始まる。

 さあ、長野に関わる全ての人よ。1シーズン通して、ORANGEの魂を燃やし、ORANGEの志を胸に闘い抜く覚悟はあるか。後悔なく全力で戦い、後押しをして、まだ見ぬ景色を見に行こう。選手はクラブをあるべき場所に牽引し、サポーターはクラブの押し上げを担う。今こそ、One TeamでJ3優勝&J2昇格を達成しよう。

獅子よ、千尋の谷を駆け上がれ。

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