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【マッチプレビュー】2023 J3 第13節 AC長野パルセイロvsFC琉球

2023 J3 第12節 振り返り

試合結果

福島0-1YS横浜
松本5-3相模原
北九州0-1愛媛
奈良0-0鹿児島
岩手2-1今治
琉球3-0沼津
FC大阪1-0長野
鳥取1-2岐阜
八戸0-0宮崎
富山3-0讃岐

 2023 J3 第12節各会場の結果は上記の通り。ホームチーム勝利が5試合、アウェイチーム勝利が3試合、ドロー決着が2試合となった。各チームにとって6月緒戦となった第12節。5月で思うように結果が出せなかったクラブは巻き返しを、勝点を順調に積み上げたクラブは更なる進化と加速を求めた一戦になったと言える。
 6月に入っても首位が勝てないジンクスは継続。第11節終了時点で首位に立っていた鹿児島は奈良とのアウェイゲームを戦った。お互いに緻密なビルドアップからの攻撃に特徴があり、得点の匂いを感じさせたが、0-0でスコアは動かなかった。奈良が上位直接対決で鹿児島の連勝を止める形になった。
 第11節終了時点で2位につけていた長野は、FC大阪とのアウェイゲームに臨んだ。上位を維持したかったところだが、終盤にCKから失点して2連敗を喫することになった。一方、3位につけていた富山は讃岐をホームに迎えての一戦。前半から2点のリードを奪い、後半には好調の高橋がダメ押し点を奪って3-0で讃岐を下した

順位表

 第12節を終えて昇格圏内につけたのは富山鹿児島。富山は連勝こそ1度きりだが、着実に勝点を積み上げて首位に立った。鹿児島は奈良との一戦でドローに終わったが、奈良も勝点3を積み重ねられなかったことを意味する。長野の足踏みもあり、昇格圏内に止まった。
 首位に立った富山は、第8節終了時点以来の首位返り咲き。第3節以降で首位に立つのは、これが3度目である。3度目の正直として第13節に臨み、首位としての勝点3を積み重ねることができるだろうか。それとも、これまでの今季J3のジンクスを引き継ぐ形で勝点3を逃す形で、"二度あることは三度ある"に終わってしまうのか。今週の水曜日には、天皇杯2回戦でJ1京都をPK戦の末に破るジャイアントキリングを達成。疲労蓄積は懸念点だが、カップ戦勝利の勢いをリーグ戦にも活かしたい。
 2位の鹿児島は、5連勝こそ奈良に阻まれてしまったが、第5節以降7試合連続無敗を継続。藤本ら主力メンバーの怪我からの復帰&復調、福田を代表する若手の活躍がチームの勢いを支えている。奈良戦こそ得点を逃したが、それ以前の5試合では連続して複数得点を達成している。大嶽監督体制2年目になり、攻撃の破壊力は増していると言えるだろう。1敗が6位まで転落する可能性を秘めている現在のJ3。複数得点の感覚を取り戻して勝点3を積み重ねたいところだ。

2023 J3 第13節 プレビュー

YS横浜vs愛媛
鹿児島vs八戸
富山vs鳥取
沼津vs岐阜
福島vsFC大阪
讃岐vs岩手
北九州vs奈良
相模原vs宮崎
長野vs琉球
今治vs松本

 2023 J3 第13節各会場の対戦カードは上記の通り。
 首位の富山は、ホームに鳥取を迎えての一戦。富山は天皇杯を挟んだが、リーグ戦ではホーム連戦に臨むことになる。今季J3のジンクスを打ち破って首位としての勝点3を掴むことができるかが非常に重要になる。対する鳥取は、現在16位と好調とは言い難い状況。総得点は19とリーグトップクラスだが、総失点が22でリーグワースト1位となっている。富山としては、失点を恐れずに得点を狙い続けることが勝利に近づくポイントになるだろう。
 2位の鹿児島は、ホームに八戸を迎えての一戦。アウェイ2連戦を1勝1分の無敗で乗り切り、相手も松本・奈良だったことを考えると勢いは十分と言える。対する八戸は、現在勝点17で9位につけている。総得点14はリーグ中位の数字だが、総失点11はリーグ2位タイの少なさを誇る。石崎監督の下、堅実なサッカーで勝点を積み上げている。しかし、八戸は宮本など主力に怪我人が発生しており、万全な状況とは言えない。鹿児島は第10節以来のホームゲームで勝点3を掴みたいところだ。
 個人的な注目カードは「YS横浜vs愛媛」の一戦。ホームのYS横浜は、第5節で長野に敗れて以降、7試合連続で無敗を継続している。無敗の間も簡単な試合は一度もなく、終了間際に得点が動く試合がいくつもあった。鍵を握るのはエースの頭角を表した福田だろう。現在2試合連続得点中であり、今季J3で7得点を決め得点ランキング2位タイにつけている。相手からのマークも厳しくなるが、それを上回る得点力&爆発力に期待したい。対する愛媛は、第10節・第11節と勝利がない中、第12節北九州戦で勝点3を掴んだ。伊予決戦以降、調子が落ち気味だったが、勝点3を掴んだことで復調のきっかけが生まれた。得意のビルドアップからのチャンスクリエイト回数を増やし、YS横浜を押し込みたい。エース松田の第6節以来の得点にも期待がかかる。

ホームで魅せろ、昇格への覚悟

 それでは、我らがAC長野パルセイロの第13節を深堀をしていく。前節はFC大阪とのアウェイゲームを戦い、1-0でホームチームに敗れる結果となった。"初物"に弱いと定評のある長野だが、今季昇格組との初対戦はいずれも敗戦に終わった。また、どちらの試合も得点を奪えずに試合終了を迎えた。 沼津戦に続いて無得点であり、攻撃の課題はクリアしていない状況である。
 〇〇がいないと長野のサッカーができない。そんな情けない言い訳を聞きたくないことは当然であり、チームの誰一人としてそんなことは感じていないと思う。むしろ、自分が出場機会を掴んで昇格まで引っ張っていくという気概で臨んでいることだろう。そうは言っても、進と佐藤の不在が影を落としている印象は否めない。誰が起爆剤になるのか、チーム全体でダービー以来のホームゲームに臨みたい。
 今節の対戦相手は「FC琉球」。昨季J2組の一角であり、選手個々人のクオリティはJ3レベルを遥かに上回っていると言える。野田・ケルヴィン・金崎・清武と圧巻の攻撃陣をスカッドとして保有していることが強みの一つだろう。長野にとって厄介な対戦相手だが、J2を目指す以上は避けては通れない戦いである。タレント揃いの攻撃陣の封じ方と課題の得点不足の解消を同並行していかなければならない。

マッチプレビュー

通算対戦成績

--2014--
長野1-0琉球
琉球0-2長野
琉球0-1長野
--2015--
長野2-1琉球
琉球1-1長野
長野2-1琉球
--2016--
長野2-0琉球
琉球2-1長野
--2017--
琉球1-1長野
長野1-0琉球
--2018--
琉球2-0長野
長野1-1琉球

 長野と琉球のJリーグ通算対戦結果一覧は上記の通り。長野は琉球に対して、J通算7勝3分2敗を記録している。勝率に換算すると58.3%と決して低くはない数字である。ただ、3周制だった2014シーズン・2015シーズンで長野は5勝1分を積み上げており、ホーム&アウェイの2周制に限定すると、2勝3分2敗と完全五分の成績になる。
 特筆するべき点としては、ホーム&アウェイの2周制が施行されて以降、同対戦カードではホームチームしか勝利したことがない。それぞれのホームゲームで1度ずつドロー決着があるが、それ以外は全てホームチームが勝利している。移動距離の長さも影響しているかもしれないが、非常に興味深いデータだと言える。
 しかし、長野が唯一琉球に対して勝利できなかった2018シーズンに琉球はJ3首位に輝き、J2昇格を果たした。その2018シーズン以来の顔合わせとなる今節。ホーム勝率の高さという良い意味でのジンクスを武器に、運も味方につけて"小さな奇跡"の積み重ねを再開したい。

昨季対戦振り返り

※2022シーズンは、長野がJ3、琉球がJ2のため省略。

データ比較

 上図は両クラブの今季の順位推移グラフ。序盤は琉球が順位表の上位に立ち、第5節以降両クラブの差が広がったことが見て取れる。第5節周辺の両クラブの戦績は非常に対照的なものになっている。長野は第5節〜第7節の間に、今季J3最速のタイミングで3連勝を記録した。一方、琉球は第4節〜第6節の間に3連敗を記録。また、第8節〜第10節の間にも今季2度目の3連敗を記録し、順位表のボトムハーフを抜け出すことができていない。
 しかし、直近のグラフの傾きは対照的である。長野は沼津戦・FC大阪戦と連敗を喫し、上位群に位置しているものの、グラフの傾き通り好調とは言えない状況だろう。一方、琉球は倉貫監督を解任し、喜名SD補佐を暫定監督として任命した。初陣となった相模原戦はドロー決着に終わったが、第12節の沼津戦では3-0で完勝。新体制で徐々に調子を上げてきていることがわかる。今季J3は各クラブの力が拮抗していることもあり、5位vs15位という順位表を反映した試合結果になるとは限らない。

長野 | 琉球
---1試合あたり勝点---
1.67 | 1.17
---1試合あたり得点数---
1.67 | 1.17
---1試合あたり失点数---
1.17 | 1.33
---1試合あたりシュート数---
11.33 | 10.42
---1試合あたり被シュート数---
14.67 | 11.67
---1試合あたりゴール期待値(xG)---
1.29 | 0.84
---1試合あたりボール支配率---
43.50 | 54.83
---1試合あたりパス成功数---
240.50 | 380.92

 両クラブの各データは上記の通り。それぞれのデータから推測できることがいくつかある。

1.琉球がボールを握り、長野が守備ブロックを構える
 
上記データから以上のような試合の様相が推測できる。しかし、琉球は監督交代の前後で、保持に対する姿勢が少し異なっている可能性が高い。倉貫監督体制下では、相手よりボール支配率が下回ったことは一度もないが、喜名監督が就任してから相手よりボール支配率が低い試合が続いている。ただ、対戦相手が相模原・沼津というボール保持を得意とするチームだった影響も否定できない。
2.ポジティブトランジションの鋭さ
 
前述したように琉球は、ボール保持に対する姿勢が監督交代によって変わった可能性が高い。効率よく相手ゴールを強襲するために、ボール非保持状態からいかに攻撃に出ていくかという点が、お互いにとって大きなポイントになるだろう。
 長野が対戦相手のボール支配率を上回った試合は、奈良戦の1試合のみ。他の試合は全て相手にボール支配率を上回られている。岩手戦を例に取ってみると65:35で長野が下回る数値になっている。しかし、結果は1-4で長野の大勝。良い守備から素早く相手ゴールに迫る攻撃スタイルは、長野の方が熟練度が高いかもしれない。ただ、琉球も第12節の沼津戦では39:61と対戦相手のボール支配率を下回ったが、結果は3-0の快勝。琉球もスタイルチェンジを遂げて、成熟度を増してきている可能性が高い。
 お互いにとって、効率よく相手ゴールに迫る攻撃を何回展開できるかが重要になってくるだろう。

予想スタメン

 ホーム長野の基本システムは3-5-1-1を予想。GKはキム。3バックは右から池ヶ谷・秋山・佐古。WBは右に船橋、左に森川。アンカーは宮阪。IHは近藤・三田。トップ下は山中。1トップは山本を予想した。ポイントはWB+2列目の運動量と守備強度。個人のクオリティに強みのある琉球を相手に強度と運動量で勝つことができるかは勝敗を大きく左右すると考える。
 アウェイ琉球の基本システムは4-4-2を予想。GKはカルバハル。4バックは右から高安・牟田・森・福村。ボランチは平松・武沢。SHは右に中野、左に白井。2トップはケルヴィン・野田を予想した。おそらく沼津戦と大きな変更はしてこないと思われる。1週間で喜名監督スタイルがさらにどこまで浸透しているかは不明だが、一定程度の成果を出せた沼津戦から大きなテコ入れをしてくることは考えづらい。

まとめ

 琉球は喜名監督就任以降、2戦負けなし。1勝1分でまさに監督交代ブーストがかかった状態と言える。アウェイ相模原戦でドローに終わり、ホーム沼津戦で自信を取り戻す快勝をおさめた。この波に乗って連勝&監督交代後初のアウェイ勝利を手にしたいところだろう。昨季J2組としての意地を見せ、1年でのJ2復帰を果たすためにはこれ以上勝点を取りこぼすわけにはいかない。上位につけながらも好調とは言えない長野を全力で叩きにくることが予想される。
 長野は第11節・第12節と連敗を喫し、第10節終了時点で掴んだ首位の座を明け渡してしまった。ダービー疲れや燃え尽き症候群なんてものは幻想であり、修正しなくてはならない課題は明確に目の前に存在している。攻撃をどう設計していくかというところに焦点を当てていくべきだとは思うが、今一度どう相手からボールを奪うかにも注目したい。沼津戦は相手のテンポでボールを動かされ続け、なかなか良い形で攻撃に移行できなかった。また、FC大阪戦は相手がアバウトな攻撃をしてきたこともあり、絡めとるような守備からの攻撃が機能不全に陥りかけていた。
 アウェイの悔しさをホームの大声援と共に跳ね返し、勝点3をもって昇格&J3優勝への覚悟を見せなくてはならない。

獅子よ、千尋の谷を駆け上がれ。

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