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【マッチプレビュー】2023 J3 第12節 FC大阪vsAC長野パルセイロ

2023 J3 第11節 振り返り

試合結果

YS横浜2-1北九州
FC大阪0-1八戸
讃岐1-1奈良
愛媛0-1福島
松本2-4鹿児島
今治3-0鳥取
宮崎1-0岩手
相模原0-0琉球
沼津1-0長野
岐阜1-0富山

 2023 J3 第11節の各会場結果は上記の通り。ホームチーム勝利試合が5試合、アウェイチーム勝利試合が3試合、ドロー決着が2試合となった。第10節の各ダービーマッチを終え、それぞれが心機一転5月の良い締めくくりをするために鎬を削った。
 5月最終節でもJ3の混戦ぶりは健在。前節終了時点で首位に立っていた長野は、アウェイ沼津戦で1-0の敗戦。第10節まではJ3単独トップの得点数を誇っていただけに、ここでの無得点がどれだけ影響してくるかに注目だろう。また、前節終了時点で長野と同じく昇格圏内に位置していた富山は、アウェイ岐阜戦で1-0の敗戦。昇格圏内に位置していた2クラブが敗れ、勝点を積み重ねることができなかった。
 そして、3位愛媛、4位奈良も勝利を逃し、5位の鹿児島が上位5クラブの中で唯一の勝利を達成した。鹿児島は、第11節の勝利をもって4連勝を達成。今季J3の中で最も早く4連勝を飾った。

順位表

 第11節を終えてJ2昇格圏内につけたのは、鹿児島長野。鹿児島にとっては、4連勝の恩恵もあって今季初の首位。長野は敗れたものの、他上位クラブも勝利を逃したため、昇格圏内に残る形になった。
 首位に立った鹿児島は、4月最終節の岩手戦を皮切りにリーグ戦4連勝を達成。天皇杯1回戦で北九州にPK戦の末、敗れたがPK戦での敗北は公式記録上引き分け扱い。つまり、5月の公式戦を無敗で乗り切ったことになる。開幕前から昇格候補筆頭とされ、序盤は勝ちきれない試合も多かったが、ここにきて怪我からの合流選手や若手の台頭もあり波に乗っている。今季J3で続く首位クラブが勝利を逃すジンクスを破りたいところだ。
 2位につけた長野は、4月同様に月末の試合を敗北で終え、首位を守り抜くことはできなかった。首位こそ守り抜けなかったが、昇格圏内に残ったということは運が尽きていないとも捉えられる。シーズン途中での順位ほど意味のないものはないが、結果として1週間表示され続ける順位表から良い方向にメンタルを動かせれば御の字である。運良く昇格圏内に残ったが、実力で昇格圏内にふさわしいと証明するために今節の戦いぶりは重要になるだろう。

2023 J3 第12節 プレビュー

福島vsYS横浜
松本vs相模原
北九州vs愛媛
奈良vs鹿児島
岩手vs今治
琉球vs沼津
FC大阪vs長野
鳥取vs岐阜
八戸vs宮崎
富山vs讃岐

 首位の鹿児島はアウェイで奈良との一戦に臨む。2位の長野はアウェイでFC大阪との一戦に臨む。今節でも鍵になるのが、上位陣の勝点とりこぼし。今季のJ3クラブ間の実力拮抗具合を見る限り、"とりこぼし"という表現は相応しくないかもしれないが、上位クラブが順位表通りに勝点を積み重ねられるかが非常に重要だ。
 今節を首位で迎える鹿児島は、上位につける奈良との直接対決になる。これまでのジンクスを考えると、奈良の勝利or引き分けに落ち着きそうだが、鹿児島が打ち破るのだろうか。開幕前の評価で言えば、鹿児島が頭抜けて昇格争いを牽引すると予想されていた。そのため、後続クラブを引き離すために勝点3が欲しいところだろう。
 個人的な今節の注目カードは「岩手vs今治」である。特に着々と上位に迫る今治の戦いぶりに注目したい。鹿児島に続いて今季のJ2昇格筆頭候補とされている今治。ドロー決着が多く、勝点を伸ばしきれない印象だが、負け数はリーグ最小タイの2試合のみ。うち1試合のYS横浜戦は試合途中から11vs9人の数的不利な状況であり、敗れた原因はある程度明確になっているはず。虎視眈々とJ2昇格圏内を狙う今治が、如何に昨季J2組の岩手に挑むのか。結果とともに試合内容にも注目したい。

仕切り直し

 それでは、我らがAC長野パルセイロの今節を深掘りしていく。前節はアウェイで沼津との一戦に臨み、1-0でホームチームに敗れる結果となった。愛鷹での沼津との対戦成績は、通算2勝2分3敗と負け越し。2020シーズンの終盤で敗れた印象も強く、長野サポーターにとっては難しいスタジアムの印象がついてきたのではないだろうか。
 首位を守る立場としての試合は、沼津戦の敗戦を受けて今季2戦2敗とJ3の厳しさを突きつけられている。ダービーマッチの疲れ…山場を乗り越えた達成感…などサポーターの間では、昨季終盤同様のダービー疲れを心配する声もあがった。しかし、選手・監督コメントからは、それらの雰囲気を一蹴するかのような言葉が並んでいた。お互い勝利を目指してぶつかる以上、少しの差が勝敗という結果につながることは避けられない。今季何度も厳しい戦いが待っていると思うが、少しの差を良い方向に動かせるよう、チームとサポーターのGrow Everydayが求められる。
 今節の対戦相手はFC大阪。奈良と同様に今季J初参入となった昇格組である。奈良の躍進と比較すると順位表の位置は物足りないものかもしれない。しかし、奈良・今治といった上位陣を破る試合や岐阜・松本といった実力派クラブを苦しめる試合も見せている。今季のJ3で前節終了時点の順位は役に立たず、全試合に対して首位とぶつかるような心構えが求められるだろう。

マッチプレビュー

通算対戦成績

※Jリーグにおける初顔合わせのため省略

昨季対戦振り返り

※Jリーグにおける初顔合わせのため省略

データ比較

 両クラブの今季の戦いぶりをデータ比較で振り返る。

FC大阪 | 長野
---1試合あたり勝点---
1.09 | 1.82
---1試合あたり得点数---
0.73 | 1.82
---1試合あたり失点数---
1.09 | 1.18
---1試合あたりシュート数---
11.18 | 11.27
---1試合あたり被シュート数---
13.82 | 15.09
---1試合あたりゴール期待値(xG)---
1.10 | 1.33
---1試合あたりボール支配率---
44.82 | 43.00
---1試合あたりパス成功数---
229.36 | 243.82

 上から順に各データを見ていく。勝点は順位を反映しており、長野が昇格ボーダーラインと言われる平均勝点2.0に若干届かない数値となっている。
 1試合あたりの得点数に関しても長野が上回っている。FC大阪は長野の約半分ほどの数値であり、得点数を伸ばさないことには上位進出は望めないだろう。
 1試合あたりの失点数に関しては、長野の方が多くFC大阪が下回った。つまり、FC大阪の方が守備面に関して言えば、勝利に近いクラブとも言える。大きな差ではないが、長野に関しては1試合で複数失点を喫する試合も今季は目立っており、そのあたりが反映されての数値だろう。
 1試合あたりのシュート数と被シュート数に注目すると、どちらのチームも対戦相手よりシュートを打てていない傾向がある。また、シュート数に大きな開きはないが、被シュートに関しては長野が上回っていることが目立つ。失点の多さにも直結する側面かもしれないが、前節の沼津戦の30本が響いているとも言える。
 1試合あたりのゴール期待値に関しては、両チーム間に大きな差はない。しかし、先ほど確認した得点に反映されているのは長野の方だろう。自分たちの狙いで創出した決定機を決め切る"決定力"で、やや長野が上回っていると言える。
 1試合あたりのボール支配率に関しては、両チームともに50%を下回る数値が得られた。どちらのチームも対戦相手にボールを握らせて、自分たちの守備からリズムを作るタイプのチームだと言える。お互いに単純なカウンターの撃ち合いだけでは終わらず、相手の守備を見てボール保持も試みることができる。最高ボール支配率は、FC大阪が62%、長野は56%。決して握れないチームではないが、ボール保持を軸に据えていないとも取れる両チームのぶつかり合いがどのように変遷していくか注目したい。

予想スタメン

 FC大阪の基本システムは4-4-2を予想。GKは永井。4バックは右から美馬・松田・板倉・舘野。ボランチは町田・西矢。SHは利根・田中。2トップは古川・島田を予想した。ビルドアップ時に3バックに可変するようなスタイルをとる試合もあり、スカウティングが難しい印象を受けた。ポイントは強力な2トップ。ここに今村が入る可能性もあるが、どの選手が入ってもゴールへの嗅覚が優れている。ここまでは島田がチーム内得点数1位の5ゴールを上げているが、他の選手が得点に絡んでくると得点数も伸びていくだろう。
 長野の基本システムは3-5-1-1を予想。GKはキム。3バックは右から池ヶ谷・秋山・佐古。WBは右に音泉、左に船橋。アンカーは宮阪。IHは西村・三田。トップ下は近藤。1トップは高窪と予想した。前節の沼津とは正反対とも言える特徴を持つFC大阪が相手。鍵になるのは前節でも課題に上がった「カウンターの正確さ」。ただ、正確性を求めるあまり、時間をかけすぎると相手が帰陣してしまう。精度と速度の両立は難しいが、類似したスタイルだからこそストロングポイントでは負けてはいけないと感じる。

まとめ

 FC大阪は、第10節で奈良との生駒山ダービーを制し、勢いに乗るかに思われたが、第11節で八戸に敗戦を喫した。今季11試合を戦い、初めてボール支配率が対戦相手を上回る試合になった。ボール保持を苦手とするような姿は見られず、シュートまで完結する攻撃も何度か見せた。しかし、セットプレーなどのチャンスも活かしきれず、八戸に先制され追いつけないまま時間が過ぎてしまった。今季はすでに2度の連敗を喫しており、これ以上の連敗は上位ではなく、J残留ラインが近づいてくることになる。首位奈良を破った経験を活かし、順位表では上に立つ長野をホームで倒したいところだろう。
 長野は前節、沼津に試合内容では完敗と言える差を見せられてしまった。もちろんゲームプランの一環として、1つの方向にチームは向かっていたが、結果として敗れてしまった。沼津に対して、驚きを与えることができず、満足に攻撃ができないまま、6倍のシュートを浴びて敗戦。シュート数が下回ることはこれまでもあったが、ゴールの匂いがするような攻撃が数回のみに止まってしまったことは課題だろう。類似したスタイルで臨むであろうFC大阪にストロングポイントで上回ることができるだろうか。また、連敗と同時に連続無得点を避けたい戦いでもある。

獅子よ、千尋の谷を駆け上がれ。


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