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【阿南町】山田百次さん 阿南探訪(5月) 1日目

5月15日、山田百次さんは二度目の阿南入りをしました。今回も一泊二日で阿南町を探訪します。

まず一行は、新野だら実行委員会の金田さん一家が所有しているログハウス『カサビエント』に集まりました。

その日は快晴で、新野高原には初夏の風が心地よく吹いていました。

せっかくのお天気ということで、新野の田園風景を一望できるウッドデッキでコーヒーを頂きました。

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新野の地を眺めながら、前回に引き続き様々なお話をしていただきました。

新野の人口は1000人くらいで、全員が顔見知りであるくらいの距離感であること。そのため、新野の中で誰かが亡くなると多くの住民が香典を持ち寄るということ。

昔から語り継がれている民話の中の登場人物も、じつは誰かのご先祖様であることも多いということ。

新野は過疎地域と言われていますが、本当はこのくらいの密度がちょうどいいのではないかと金田さんは続けました。

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ロマンにあふれたログハウス内を見学した後、薪割り体験をさせていただけることになりました。

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割りたての薪は香りが豊かで、木の種類によって香りが全く異なります。この時期の金田さん一家の「いつもの匂い」です。

ログハウスを出た一行は阿南町農民文化伝承センターへ。どうやら本格的に「新野の盆踊り」を教えて下さるようです。

到着して手渡されたのは扇。盆踊りの音頭の進行を説明された後に、とりあえずやってみようということで輪になる一行。不安が残る中、見よう見まねで踊っていると、不思議なものですぐに踊れるようになりました。

8月14日の21時から17日の明け方まで夜の間踊り明かされる「新野の盆踊り」は、極限の眠気の中で踊り続けられます。神懸かりにも近い朦朧とした意識の中で、500年以上の年月を経て洗練された振り付けは、私たちの体にすぐに馴染みました。


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次に訪れたのは瑞光院。今回は本堂の中まで見せていただけました。

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新野だらの際にはお芝居も催されるという瑞光院の本堂。寺院という場所は、お葬式の会場として利用するだけではもったいないと金田さんはおっしゃいます。お芝居は、お葬式の入る心配のない友引の土日に上演されることが多いようです。

ご厚意で位牌堂の中も見学させていただきました。位牌堂の中には真新しい位牌もあります。通常であればお盆に霊魂を送るのですが、去年の盆踊りは新型コロナウイルス感染拡大防止のために中止となりました。

その年に亡くなった方の御霊を盆踊りを踊ることで、あの世に送るという伝統が連綿と続いており、土地の人々の体に染み込んでいます。盆踊りも事前の練習といったようなものはなく、毎年会場で繋いでいくものだから、中止とか不要不急といった言葉は馴染まない。二年連続で中止といったようなことは避けたい、と金田さんは話していました。

瑞光院を出てしばらく歩くと、盆踊りの終着点、踊り神送りの場、『十王堂』(通称ジョウド)に着きました。三日三晩続いた盆踊りはここで終わりを迎えます。

17日の朝6時頃、踊り神送りの灯篭行列が、櫓のある市神様の前を横切ると櫓の上の音頭取りは降りてしまいます。しかし、盆踊りを終わらせたくない人々は、踊り神送りの行列が、『十王堂』に到達するのを阻止するために、行列の先で小さな輪を勝手につくり、『能登』を激しく踊ります。進行役に崩されると、走って先回りしてまた輪を作って踊り続けます。この攻防が、約1km、約1時間も続きます。それでも行列が『十王堂』に着くと、さすがに踊りは終わります。灯篭が竹でつぶされると、踊り神送りの儀式が始まります。そして、この1年で亡くなられた御霊と共に踊り神様が花火の音で、あの世に送られます。続いて灯篭に火が放たれ、新野の盆踊りは終了となります。

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この式が終わると、参加した人々は秋歌を歌いながら振り返らずに家々に帰ります。実際に秋歌を歌ってもらいながら道を下っていったのですが、何とも寂しい心持ちになるような歌でした。

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最後に一行はクラインガルテン新野高原に立ち寄りました。

ここは、自然に親しみたい都市部の人向けに整備された滞在型市民農園です。農園とラウベがセットになったもので、花や野菜などを自由に育てることが出来ます。内装も凝っており、囲炉裏やロフトなど、暮らしが楽しくなるような空間になっておりました。

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金田渚さんは、ふだん北信のWEB関係の会社にお勤めですが、この5月からクラインガルテンにサテライトオフィスを開設し、月の半分は新野に滞在されるそうです。

訪問の後、明日への英気を養うためにまるはち旅館へ宿泊しました。
今回、よりディープな新野を体験した山田さん。明日もリサーチは続きます。(文:「信州art walk repo」取材部 清水 康平)



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