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【栄村】締め括りの滞在成果展

8月、11月と栄村に訪れ、2月の後半から前回のnoteでご紹介したワークショップも行いながらの最終滞在をしていた行橋智彦さんが、3月4日、5日で滞在の成果展を行いました。
まずは2日前に、展示会場となるかまくらを地域の人たちの力を借りて作りました。そして前日からは内部の設営を開始。この日のために作られた、たくさんのきのこが用意されていました。ワークショップで地域の皆さんが作ったきのこたちも一緒です。絵本に出てくるような可愛いきのこや、食卓で見かけるような美味しそうなきのこもいます。どんな風に展示されていくのでしょうか。

溢れんばかりのきのこたち!

行橋さんは「きのこが生えている森の中のような空間を作りたい」と、たくさん残してあった、染める時に使われる植物や落ち葉などを生け花のようにかまくらの中に施していきます。かまくらの中央にこんもりそびえる雪のブロックの山の上や、かまくらの壁、床、天井にも… 森に化けていくかまくらの中で、きのこたちは居場所を与えられていきます。真っ白の空間だったかまくらは、なんだか不思議な様子に変わって来ました。夕方を過ぎたあとも、行橋さんは作業を進めていきました。

きのこの森を作っていきます

3月4日、展示初日になりました。開場前に最後の追加設営をすることに。行橋さんは何だか艶のあるリアルなきのこを用意していました。海藻のパウダーと染料の煮汁を混ぜて、カルシウムを足すとツヤある膜が出来るとのことで、その化学反応を活かして、きのこの表面が瑞々しく仕上げられていました。また、ぷるんとした宝石のような、ジェリーのようなきのこも。

きのこは可愛いけれど、毒があったりもするし、どこか怖いと感じさせるものがある。異なる質感や、森のような空間演出で、きのこの持つ気持ち悪さも表現したいと思われたそう。

粘菌みたいなものが這い出てきている…!

かまくらから道一本隔てたところにある、行橋さんの滞在場所でもある「となり」では、きのこの材料となった栄村の温泉や植物で染めた羊毛と、染料となった植物を色別に展示。温泉と植物から、温かくて優しい様々なバリエーションの色を生み出せるということが一目瞭然でわかります。それぞれ、どの植物とどの温泉で出た色か、説明も書かれています。染めに使われた温泉は栄村の5カ所、植物は16種類にも及びます。

温泉染見本
物知りな地域の方も訪ねてくださいました

「自然学校」の朝の活動をしてきた子どもたちが、行橋さんのかまくらにやって来ました。学校で授業をしたり、ワークショップをしたり、地域の人たちと活動してきたので、行橋さんは皆にお顔をばっちり覚えてもらえている様子。先生が紹介する間もなく子どもたちは「きのこの人〜!」と声を上げてくれていました。

この日の朝、活動の一環でかまくらまで来てくれた子どもたちにはミッションがありました。それは、夜まで続く展示のライトアップのために、雪できのこ型の灯籠を作る、というものです。限られた時間の中、みんなで協力してたくさん灯篭を作ってくれました。

バケツとボウルに雪をぱんぱんに入れて作ります
雪で出来たきのこ、名付けて「ゆきのこ」

昼過ぎから少しずつ地域の人たちが訪ねてくるようになりました。ワークショップで自分が作ったきのこがどこにあるか、一生懸命探す子どもたちも。かまくらの中は明かりが灯されて、さらに不思議な雰囲気が醸し出されています。

夜に備えて、合間を見ながら行橋さん、ホストの公民館の皆さん、子どもたち、NOAスタッフで灯篭「ゆきのこ」を増殖させていきます。かまくらの周り、「となり」の玄関前、駐車場からかまくらまで続く道の両端に「ゆきのこ」がたくさん生えて、暗くなってから来るお客さんをお迎えする体制が整いました。17:00、「ゆきのこ」点灯。日の入り後はかまくらの外も幻想的な様子になりました。

日没後の様子

遠い別府から、栄村を何度も訪れ、地域の人たちと関わっていく中で「きのこ」のモチーフに辿り着いたという行橋さん。栄村にあるものを活用して、素敵なワークショップや制作を行っていただきありがとうございました!お疲れ様でした🍄

(文:鈴木彩華)

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