見出し画像

長野市SDGsフォーラム特集③

10月16日(日)長野市芸術館で行われる「長野市SDGsフォーラム」

長野を代表して「長野市SDGsフォーラム」に出演される方々にお話を伺いましたので、1名ずつご紹介させていただきます。

画像1

■青木寛和さん(長野県立大学)
時を経て受け継がれる一着にSDGsの心が宿っていました。

私が運営に携わっている「TRIANGLE」は、3人の大学生で起業した古着の店で、タンスや押し入れの中で眠っている古着を、別のどなたかに愛着を持って着続けていただけたらという思いで始めました。

さらに、私たちが在籍する長野県立大学は「未来を切り拓くリーダーを輩出し、世界の持続的発展を可能にする研究成果を発信する」という理念が掲げられ、「リーダー輩出、地域イノベーション、グローバル発信」を使命としているため、学生が自ら考えて、主体的に行動することに対して後押ししてくれる気風があります。今、起業するならSDGsを意識したもの、新しい価値観を提供できるものでないと社会にそぐわないと思っていましたので、古着屋なら親和性が高いと感じました。

もともとファッションに興味があり、アイテムの一つとして古着がありましたが、古着の魅力に気づかせてくれたのが叔父でした。叔父は社会人としても尊敬できるおしゃれな人で、洋服をもらうことがよくありました。

人と同じ服は着たくないと思っていた私にとって、叔父からのおさがりはとても魅力的で、ビンテージもののカッコよさも次第に感じるようになり、一層、古着に目がいくようになりました。

昔の洋服は、色使いやプリント、デザインどれをとっても、今ではあまり見かけないものが多く、私たちの世代にはとても新鮮に映ります。

生地も質の良いものが使われ、縫製も丁寧で、大量生産されている現代の服とは明らかに違います。長く着るために作られていることが、そこここから感じられる。こんな楽しみ方があるのも古着の魅力だと思います。

起業に当たっては、地元の編集会社Huuuuの方にアドバイスをいただいたり、長野県の職員の方に相談に乗っていただいたり、立場を超えたさまざまな方との出会いが、私たちの夢を少しずつ現実に近づけていきました。

さらに、その繋がりは大きく広がり、地域の方から古着を回収、寄付していただくという仕組みが出来上がっていきました。

集まった洋服は、大事に扱われ、今に残っているだけあって、汚れの少ない綺麗な状態のものが多いと感じます。
こうした”ものを大切にする心”が宿っている古着を着こなすことが、“かっこいいこと”として受け入れられるようになれば、自然とSDGsに寄り添える気がします。

今、アパレル業界は「世界2位の環境汚染産業」といわれ、洋服作りに必要な幾つもの工程が環境にダメージを与えているとされています。ファストファッションも「大量生産」を行った結果、さまざまな問題を引き起こしています。

こうした背景がある中で、取り扱う商品(古着)をすべて寄付で賄うという画期的な運営をしている店として注目されることも多いのですが、一時的なブームで終わらせたくはありません。

古着の普遍的な価値をお客様に知っていただき、購入した服を愛着をもって長く着ていただくことによって、持続可能な社会に貢献できると考えています。

最近、うちの店にお客様として来てくれていた学生が、同じような仕組みの店を県の内外で始めることになったのですが、私たちの活動が誰かに影響を与え、新しいことが始まっているところにやりがいと面白さを感じます。

彼らにとって“かっこいいもの”として映っているといいなぁと思います。

同じ考えを持つ人が繋がり、広がっていくと、できることが増えていく。今後はもっと仲間を増やして、新しいことにチャレンジしていきたいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?