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アコースティクギターの限界突破、Marcin Patrzalek.

ひと目見て度肝抜かれること間違いなしのギタリスト、Marcin Patrzalek(マーシン)ポーランド出身の20歳。とにかく斬新すぎるアコースティックギター界の革命児。なにが斬新かというと大きく分けて2点、その演奏法と編曲センスにある。

かの有名なアメリカのオーディション番組『America's Got Talent 2019』でのパフォーマンスは本当に衝撃的。凄過ぎて審査員が徐々に引いてるのが面白い。


ギターってそんな使い方出来るんですか...!な演奏法

ピックを使わず爪で弾くスタイルなのだが、ギターを弾きつつボディーを叩いてパーカッションも同時にやっている。音声だけ聴くと、ベースとドラムとギターの重奏に聴こえる。でも実際は1人で同時にギター1本のみで演奏しているので、映像を見て度肝を抜かれる。

しかも、アコースティックギターにもかかわらず右手と左手の両方でタッピングを多用しているのが凄まじい(エレキではタッピングをよく使うけどアコギでは普通はあまりタッピングしません。音を出すのが難しいからです。)

特に凄まじいのが、パガニーニ『24の奇想曲』のアコースティックカバーバージョン。パガニーニのアコースティックギターカバーという字面だけでもう度肝を抜かれるのだが、このカバーが凄まじい。リストがこの曲をピアノバージョンでカバーしたが、それに匹敵するほどのレベルでギターにアダプテーションしているように感じる。いや本人以外に誰が弾けるねん!なレベル。


『Paganini's Caprice no. 24 on One Guitar』
(念のため言いますが本当にギター1本で一発撮りです)

アコースティックギターを始める前はクラシックギターやフラメンコギターを習っていたようで、その頃の映像も残っている。なんとすでにパガニーニのカバーを弾いている。(しかもフラメンコギターで....周りの生徒の目.....)



クラシックとロックを並列に扱う卓越した編曲センス

演奏スキルの他に特筆すべきなのが編曲センス。基本的にカバーを発表することが多いのだが、なんと言っても曲のチョイスが面白い。
代表的なカバー曲でいうと以下の通り。

ベートーヴェン『運命』『月光』
パガニーニ『24の奇想曲』
エド・シーラン『Shape Of You』
メタリカ『Master Of Puppets』
レッドツェッペリン『Kashmir』

基本的にはクラシックかロック。編曲のテンションの高さは、チェロユニット2CELLOSなどにに近いものがあるが、マーシンの場合はクラシックもロックも同列のテンションでアレンジしているのが面白い。その曲が持っているカッコよさのポテンシャルを最大限に活かす編曲のセンス。ギタリストとしての才能はもちろんだが、作曲家としてのセンスが素晴らしい。(オリジナル曲も出してます)

『Moonlight Sonata』(ベートーヴェン)
ペグを緩めて音を低くするところシビれます
(音がズレるので普通はやらないテクニックです)


『Master Of Puppets』(メタリカ)
噛めば噛むほど美味しいアレンジ。正直原曲より好きかもしれない。


マーシンが先日発表した新曲はなんとショパンの『ノクターン』
今までとは少し趣向を変えて、弦楽との重奏スタイル。ショパンの原曲同様テンションは抑えめでかなりしっとりしている。ハーモニクスとタッピングが効いてま
す。

 『Nocturne Op. 9 No. 2』(ショパン)

Marcin YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCZiGGE0e0DctISlShAILbjQ

インスタではショートバージョンのカバーを投稿しててこれも面白い
https://www.instagram.com/marcin.music/

文・イラスト:長野

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