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食から読むギリシャ神話〜ハチミツとアリスタイオス 後編〜

前編はでは、古代ローマに起源を持つハチミツを使ったお菓子をご紹介しました。後編ではハチミツを神話から探ります。

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・・・こんなに歴史の古いハチミツを使った料理があるということは、もしかすると神話の世界にも登場するのではないかしら・・・と探したら、いました、いました。

名前はアリスタイオス、アポロとニンフのキュレネの息子で養蜂を人間に教えた神。

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ストーリーは、アリスタイオスが不運続きの結果蜂も失い、母に訴える所から始まる。
母は預言者の所に行き、戦いの後に神託を得よと教え、そこで彼はこの不運がオルフェウスの怒りから来るものだと知ることになる。
横恋慕か冗談か、アリスタイオスはオルフェウスの新婚の妻エウリュディケを追いかけまし、彼女は逃げ惑う最中に水蛇に噛まれ死んでしまう・・・ここからオルフェウスの黄泉の国へ妻を迎えに行く物語が始まるのだが、私たちが興味のあるのは養蜂がいかに根付いたかという事。

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エウリュディケを追いかけるアリスタイオス。
エウリュディケの足元に毒蛇がいる。

神託によりアリステアウスはまず、オルフェウスとエウリュディケの友達のニンフに許しを請い、犠牲の牡牛を差し出さなければいけない。そして9日目に暁の女神の訪れと共に森に行くと、牛の内臓から数限りないミツバチの群れが飛び立ったと、この物語が書かれたウェルギリウスの「農耕詩」の物語は終わるのだが、実はその前にアリスタイオスが教えた養蜂技術が延々と描かれているのだ。

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