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ホメロスの食事場面の話〜古代ギリシャとイタリア料理の関係〜

このところ、古代ギリシャの食にはまっている。
私が愛してやまないのはイタリア郷土料理だが、知れば知るほどその奥深さに驚き、とても郷土を見るだけでは説明しきれないものがあるのだ。それならいっそ、歴史から見てみようと思いたち、そのトップバッターが、紀元前8世紀から、南イタリアに移住してきた古代ギリシャ人だったわけだ。

しかし当時のレシピが残っているわけではなく、知られているのはワイン、オリーヴ油、パン、アーモンドなどを持ってきたという事。もちろんこれらが無ければ、今のイタリア料理は成立しないので、それだけで大変な事なのだが、それでも料理の中にどのような影響を与えたのか知りたい。

そこで、まず調べてみたのが当時の食習慣。読んだのは西欧社会の最古の食事場面が出ているというホメロスの「イリアス」。

「・・・神に祈りを捧げ、大麦をまいてから、犠牲の動物の頭を引いて、のどをかき切り、皮をはぎ、腿の骨を取り出してからそれを脂で包で・・・」と儀式の様子が描かれ、その後肉を細かく切って串焼きにし、ワインと共に食す様子が描かれている。

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ここで目を引いたのは大麦をまいているという事。穀類は食の根本を成すものだから、聖なるものになる。それが当時のギリシャでは大麦だったのだ―ほら日本でも神事の時に米をまくでしょう―ここで、なぜ小麦ではないかという疑問が出てくるが、おそらく当時の料理にはまだパスタはなく、ポレンタが主流だったからだろう。コロンブスがトウモロコシを持ってくる前のポレンタは粗挽き小麦や乾燥ソラマメなどを煮て作られていたのだ。

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