見出し画像

四つ目の話題「言葉って何?」

筆者が〝言葉〟の大切さを感じた昨日、男子高校生達が私の頭の中でこんな会話を繰り広げていました。
皆様にとって言葉とはなんですか?
高校生達と一緒に是非考えてみてください😌


「ねぇヨウちゃん、おはよう」
「なんか不思議な喋り方だね、おはよう」
「そうだよね?不思議だよね、うんうん」
今日は朝から上機嫌なシロ。
何やらメモを取りながら楽しそうに頷いている。
「おはよう、って挨拶じゃん?」
「そうだね」
「でもその前に『ねぇ』が付いただけで不思議な響きになるの。何でだろ?」
「『ねぇ』自体が、疑問とか無視されたことを不服に思う人が使う言葉だからじゃない?挨拶の前に置く言葉としては不自然なのかも」
「確かに。たった2文字なのにね、『ねぇ』ったら優秀ね」
『ねぇ』に意識を持っていかれているのか、やたら『ね』がついている。
元々話し方が可愛い方ではあると思うけど、まるで子供みたいで更に可愛い。
本人は無自覚だろうけど。
「ねぇヨウちゃん」
「うん?」
「言葉って何だと思う?」
「言葉、か」
「うん!今度は『ねぇ』を正しく使ってみました」
「そうだね」
〝言葉〟について語るなら、答えを持っているのはきっとシロの方だ。
でも今のシロが答えを求めて彷徨っているなら、俺はいつも通り俺なりの答えを返すだけ。
「凄く便利な発明品、かな」
「今回は発明品と来ましたか」
「うん」
「どんなところが便利なの?」
「視線だけでも、何かを伝えることは出来るよね」
「うん」
「ただそのものを伝えるには少し物足りないような気がするんだ」
「例えば、どんなもの?」
「そうだな。一番は感情じゃないかな」
「感情…」
「嬉しいなら見つめて微笑むだけでも良いけど『凄く嬉しかった、ありがとう』って言葉にするとどれだけ嬉しかったのかが的確に伝わるような気がするんだ」
「確かに、嬉しさの度合いも言葉になってるね」
「そう。それはどんな形でもいいんだ、ジェスチャーでも点字でも文字でも…何でもその人の心が表すことが出来る」
「なるほどね」
「うん、そんなものがこの世に出来たことって凄い発明だと思わない?」
「…なんか今日のヨウちゃん、めっちゃ俺っぽい」
こんなことを思うようになったのは、シロが生きているこの瞬間を大切にするようになったからだとは思う。
本人にどう伝えたら良いのかはわからないけど、この世にあるものの素晴らしさがもっと輝いて見えるようになった。
だから、シロの影響を受け始めていることは否定できない。
「だからかな、凄くよくわかった」
「そっか、それなら良かった」
「そんな言葉を大切にしてるヨウちゃんとだから、こんなにお喋りが楽しいんだろうね」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
「他の人とこの話しようと思わないもん」
「…クラスだと本当に喋らないよね」
「だからヨウちゃんと言葉を交わせるこの時間を、俺も大切にするよ」
あの時、俺がシロに興味を示さなかったらこの瞬間は来なかったんだろう。
だから俺は俺にも感謝しないといけない。
「でも気に入ってしまったから『ねぇ、おはよう』は他の人にも使ってみようかな」
「『ごめん真白くん、もしかして無視しちゃった?』って言われそう」
「確かに、俺なんか凄く気使われてるもんね」
「気を使われている訳ではないと思うけど」
「そうなのかな?…まぁ、俺はヨウちゃんとお話しできたらそれでいい」
「うん」
いつかは俺らにも離れ離れになる時が来る、のかもしれない。
その時の俺らがどうするのかは、今はまだ考えないでも良いだろう。
…そんな日が来ないことを、願おう。

~続く~
⇒五つ目の話題「『まぁいいか』って言えないことって何?」

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?