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093:Noisy Love…

・5人の異性と付き合ったことがある。
・最初の人と付き合って、最後の人と別れるまでは年単位で独り身になることはなかったが、いまは最後の人と別れてもうすぐで3年くらい経つ。

・人と付き合うことに疲れた、という至極ダサい理由から恋愛に目を向けないようになったが、その裏側には純愛至上主義だからという更に気持ち悪い理由がある。

***

・最後の人とは社会人になってからのお付き合いだった。
・日中は仕事、帰ってからも・休日も恋人、という形で1人になる時間や友人と遊ぶ時間がかなり制限され、苦しかったので別れた。
・時間が無限にあった学生時代と違い、時間の使い方を考えなければいけない年になると自分の気持ち含めて管理ができなかった。
・本来、そう思う人とは付き合うべきではなかっただろう。

・本気で好きになって、ずっと一緒にいたいと思う人と付き合うべきだ。
・その人だけいればほかのことは何もいらない、と思える人と付き合うべきだ。

・相手がほかの異性と話していたら嫉妬する。嫉妬し合う。
・そういうようなものが、最も正しい恋愛であると思っている。

・付き合い始めはいつもそうだった。
・お互いが、お互いの2人だけいればこの世界には他に誰もいらない、と思うような恋愛をしていた。

・2人だけのディストピアを作りたかった。

***

・いつも、途中でその状態から抜け出すのは自分が先だった。
・束縛されるのは愛情の裏返しだと思っていたので、その時の恋人の言う通りに同性異性関係なく交友関係をバッサリ切ったりしている時もあった。
・恋人が嫌がるのであれば、恋人が行動原理の最優先事項にあったので、恋人の言う通りにしていた。
・そこは今でも何も不思議に思っていない。恋人の言うことこそが絶対だ。

・でも、そうやって自分から望んで相手の望む状態になる努力をしていたはずなのに、途中からそれに疲れて別れるというのを5回繰り返した。

・いつしか「そうしなければならない」という思考回路に陥っていった。
・最初は純粋に恋人のためを思って、恋人が嫌がるならと恋人と過ごす時間を増やすために、ほかの時間を削っていたはずだった。
・年齢を重ねるにつれ、「付き合う」という行為においてそうするのは当たり前だという観念の方が、相手を思って行動したいという感情より先に来るようになった。

・本当は、恋愛経験など増やしたくなかった。最初の人と最後までいたかった。
・いままで、すべて最後まで一緒にいたいと思った人と付き合っていたはずなのに、自分から抜け出していた。
・相手からすれば意味がわからなかっただろう。

・純愛に憧れがあるのに、純愛はできない性格であった。
・すべて、自分が悪いのだ。

***

・という、異常独身男性の独り言から今回はお送りした。
・今は良い人がいれば…などとお高く止まっているが、お高く止まっていては良い人など現れてくれるはずもない。

・面倒くさくて、恋人を探す気になれない。
・そもそも結婚したいわけでも子供が欲しいわけでもないので、それでいいか、と思っている。
・1人で寂しい時も全くないとは言えないが、だからと言ってその時に頭に思い浮かぶ人も誰もいない。

***

・もはや知る由もないので自分と付き合ってくれたことをどう捉えているかわからないが、今まで付き合った人何人かの近況を風の噂で聞いていると、わりと前を向いて歩いている人が多いらしい。
・良かった。自分のことなど、忘れてくれ。

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