114：舐めるな

・30代の兄が失業中の身、ハローワークの職業訓練校でデザイナーを目指しているらしい。

・転職活動の際、デザイナーにはポートフォリオと呼ばれる実績資料のようなものが必要になる。
・自分の今の仕事が広告業のため、課題めいたものをくれと言われた。

・自分で考えろ。舐めるな、社会を。

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・今回はあくまで“企業”のグラフィックデザイナーという社会人になりたいのであれば、という文脈で綴る。
・“デザイナー”という概念全体を指すわけではない。

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・デザイナーという職種は、社会の中では誇り高くあるべきものだと思っている。
・顧客の言うことを視覚的にわかりやすく伝える制作物を作るために、デザイナーという職種は存在する。そのための知見・技術を持ち合わせている者にしか務まらない。
・かなり立派な“専門”職だ。自分が今やっている営業のような、何も持たざる者でもできるような代物とは一線を画す。

・だからまず、デザイナーを目指すなら、ポートフォリオなどは自分で考えろよ、と思った。
・自分でいまの世の中求められているものを調べ・考え・仮説検証するような力がなければ到底食っていける職種ではない。
・そのようなポートフォリオ以外であれば、作る価値は無い。

・学生ならまだしも、お前は30代だ。若くもないし、今までそのような経験がある人材でもない。
・立ち位置がわかっているか？ただ“デザインソフトをいじることができる”人間なんて、世の中ありふれているんだよ。
・なんなら自分は週5で全く別の業務をしながら、夜や休日に独学でその程度のレベルは身につけた。

・SEでは「IT土方」という言葉が流行っているが、企業デザイナーにおいてもDTPオペレーターのような形で、似た概念は存在する。

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・とは言え同じ血を分け合っている者だ。なるべく寄り添うか、と思った。

・実際に存在する仕事を題材としたポートフォリオを作れば、少しは転職活動ウケの良いものが作れるはずだろう。
・自分の携わったことのある案件を、ぼかした上で、こういう課題はどうだと伝えた。

・そんなガチなものはいらない、と言われた。

・お前、自分が何言ってるかわかってるか？
・30代で一旦会社を辞めて(失業も何回目だよボケ)次の転職活動を即始めるわけでもなく、“スキルを身につけるため”に無料で入れる職業訓練校(国民の税金により成り立っている)に行き、いざ転職活動する材料を作る時にはガチなものは必要ない？

・デザイナーをやっている親しい友人は、わざわざお金を払って2年間専門学校でデザインの本質を学び、また彼自身の弛まぬ努力もあり、やっとの思いで企業のグラフィックデザイナーになって、それでもなお悪戦苦闘してるらしいけどな。

・30代実務未経験のデザイナー(笑)がお遊びで作ったポートフォリオを見て、どこの企業がお前を欲しがるんだよ。
・せっかく通用する(かもしれない)ポートフォリオ作れる材料渡してやってんのに、最初に出てくる言葉がそれか？

・それらもグッと飲み込んで、しょうがないからもう少し身近に感じやすい題材をわざわざいくつか考えて、伝えた。
・労働終わりの23時過ぎに帰宅して、疲れた頭を無理やり使いながら考えてあげた。

・ガン無視された。

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・自分は赤緑色弱であるので、兄も同じように色弱だ。
・デザイナーという職種において、ただでさえディスアドバンテージを背負っている。
・その上、もういろいろなことに挑戦できるような年では無い。

・別に挑戦に遅いということはないだろうが、目指す先が社会なのであれば、社会において必要とされるレベルは残念ながら存在する。

・なぜ同じ血が流れているのにお前はそんなにもアホなんだ。

・自分は社会という概念に嫌気が差し、それでも今は何も持たざる者なので社会人をやらざるを得ないという葛藤を抱えながら、抜け出すためにもがいている。
・それに対しお前は、社会人になるためのことを社会人を辞めた上で目指し、そこで求められることからも逃げようとする。

・自分がどんな思いで仕事をやっていると思っているのだ。
・心の底では社会に迎合したくないと思いながら、それでもまずは生きていくために迎合せねばならず、その過程で躁鬱やADHDと戦いながら、健常者として扱ってもらえるよう周りに隠しながら、どれだけの努力をしたと思っているのだ。
・なんで、お前はいつもアホなんだ。なんで、なんでだよ。

・もう一度書く。なんで僕とお前に通っている血は同じなんだ。

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・自慢したいわけではないので普段は書かないが、自分は全国的に名の通っている大学を卒業した。
・塾など一切行かず、友人に参考書を借りながら自分で勉強し、合格した。
・大学は奨学金で通った。

・兄は小さな頃から塾に通い・通信講座を受け・私立高校に行き・浪人し大手予備校に行き、地方の名前を書けば入れる大学に行った。
・お前が家の金を使い切ったから、自分は自分だけで頑張った。

・親と社会が、4,000万円と20年程度をかけて出来上がったのがコミュ障ゲーオタチー牛。聞く限りでは恋愛経験もあまりなく、ゲームばかりやっていて、口を開けば愚痴ばかり。

・話してて楽しくないから帰らないんだよ、実家に。