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就職活動について考える【新卒編】

今回は、人材マーケットについて、それぞれ思うところを書いてみたいと思います。新卒マーケットと転職マーケットは異質であることから、新卒編、転職編にわけて書いていきます。

今回は、新卒編です。

私は現在、不動産系、法律系ビジネスを展開しておりますが、サラリーマン時代には、「一部」を除き一貫して不動産ビジネスに従事して参りました。

その「一部」が面白いキャリアでありまして、関西の某私大における学生の就職支援活動(キャリアセンター)の仕事です。

その後、再度転職して不動産業界に戻ってきましたが、この短い期間における学生の就職支援活動での経験とその後の不動産業界における転職マーケットについて、これまで見てきた多くの方々の傾向をまとめることにしてみたいと思います。

単なる一個人の経験上の感想文ですので、気軽に読み流していただけますと幸いです。

新卒マーケットの特徴

【第1社目が重要】

日本では、その後サラリーマンを続けるという前提に立てば、そのまま就業しようが、その後転職しようが、新卒での「第1社目」がどこなのか?がその人の重要なキャリア肩書になるという厳然たる事実があります。

その後、新卒の会社で長く勤めようが、転職しようが超重要です。

転職の際でも履歴書の一番目に出てくる会社、つまり新卒でどの会社に採用されたのか?という「就活キャリア」も転職マーケットでは重視されることはあれ、軽視されることはないと断言します。

そういう意味で、学生さんが大手志向になるというのは意味というより意義があると考えます。

「いやいや、実際に仕事ができるかどうかが大事なので、どの会社で働いたかは重要でない。」と言う意見もあります。

それはそれでその通りなのですが、いざ、転職の際において、履歴書の冒頭に出てくる会社を大体の転職先の人事は見ているというのも厳然たる事実です。

と言う意味で、反感を恐れずに書くならば、その後の就労人生を考えた場合、難易度の高い大手を目指すという行動は合理的だと考えます。

更に言えば、昨今は、大手企業ほどホワイト化が進んでいます。消費者マーケットで目立つ企業ほど、パワハラやセクハラ事件が企業の存亡に影響してしまうなど、BtoC系の大手企業はホワイト化しないと生き残れないという経営環境に置かれているというのも時代の潮流であると言えます。

【ポテンシャル採用の最後のチャンス】

就職と言う意味で、学生はプラチナチケットを持っています。

転職マーケットとの大きな違いはこの一点です。

逆にいえば、業務経歴なしで、つまり、ハッタリで希望企業に就職できる人生最後のチャンスです。

就職氷河期と言われた時代の世代の人が、今でも非正規で働いているというのが悲しいかな、日本の現実です。

いい意味で、背伸びできるチャンスなので、新卒の就職活動は真面目にやるべきというのが私の考え方です。

昨今は、第二新卒という転職マーケットが成熟してきましたが、やはり企業が力を注ぐ度合い、マーケットボリュームを考えると日本の新卒市場は、特殊なマーケットです。

このチャンスを逃さない手はないです。

情報収集の重要性

【有報は見るべきか?】

有価証券報告書などの企業IR資料は当然見たほうがいいです笑。

しかし、有価証券報告書の四半期決算の数値までいちいち見ていくという神経質さは不要であると考えます。

例えば、エントリー段階では、企業のIRのサマリーである直近のファクトシートをざっと眺める程度で十分だと思います。

企業IRは株主向けに書かれた資料であり、企業の綺麗な面を前面に押し出して書かれているはずなので、事実の一部でしかありません。

あと、IRで書かれている各社の事業内容は、従業員の地道な努力の結果であり、その地味な努力の過程については、IRでは触れられないのが一般的です。

例えば、ある商社が「サウジでガス油田開発PJに参画しました。」という内容について考えてみましょう。油田開発をしたいという学生にとっては意味がある情報ですが、商社という機能の一部しか知らない学生からするともっと広く浅く知っておくべき商社全体のビジネスモデルのほうが重要であることは言うまでもないでしょう。

ただ、あえて矛盾したことを言うと、超本命企業のWEBサイトやファクトシートなどは、目を皿にして読むべきということも言えます。

要は、最終面接に近づける可能性のあるものを優先するという強かな効率性も就職活動の大事なポイントであると考えます。

【親の意見を鵜呑みにするな】

親の世代が就職活動した環境と今の就職環境は全く異なります。

親の意見は大先輩一つの参考として聞くのはいいのですが、大体の親が現在の熾烈な就職環境を理解することができていません。

ひと昔前までは、第一次選考にSPIやエントリーシートなんてなくて、選考を俗人的に進めていくというスタイルが主流だったのですから。

親世代以上は、新卒での就職活動の厳しさが理解できないのです。

ただ、親が言う「人としての礼儀」などの説教系はきちんと聞いておいた方がいいです笑

何故なら、選考の最終段階に近づくにつれ、親世代の価値観と共通する世代の人が採用権限を握っているというというのもこれまた事実であるからです。

【では誰から情報収集するか?】

WEBサイトや書籍などの情報収集はもはや当たり前なので、ここの重要性については敢えて触れません。ここではリアルの「誰から」ということに焦点を当てて考えてみたいと思います。

リクルーターなどの若手社員からの情報収集は、就職活動をテクニカルに進めるには重要なファクターです。

実際の就職活動のノウハウ系はこれらの若手がオジサンたちより知っているからです。ここも超重要です。

一方で、一事業部のみしか経験していないような若手は、会社全体の業務を理解できていません。

ここで重要なのは、この若手のフィルターを通じて、会社全体の仕事を理解するには、無理があるということです。

入社数年目で少なくとも2~3部署と以上経験した人の話を聞くということが有益だと考えます。

あと、本命企業以外の同業他社に勤務する人の意見も聞いておくのが有益だと思います。

最近は、若手でZOOMなどのツールを使って情報発信している方もおられますので、是非、活用してみてはいかがでしょうか?

【企業が発信する情報の信憑性】

採用される学生も必死ですが、企業の人事も、いい学生を採用するために必死です。

そこで採用戦略において、大体次のような採用戦略を取ります。

・キラキラ学生をパンフに乗せ、デッカイ仕事を見せつける。

・概念的な文言を並べ立て、リアルの「現場仕事」はあえて並べない。

不動産で言えば、「都市開発の未来」みたいな若手トーク集ですね笑

学生が就職後にが苦しむのは、思い描いていたキラキラ像と実際の現場の仕事とのギャップです。

現場は、役職者であっても泥臭い仕事が満載です。

ましてや、入社したばかりの社員に与えられる仕事は、企業活動のうち最も泥臭い仕事である確率が高いです。

採用活動において、このようなリアル感を前面に押し出してくれる企業は皆無に等しいという現実も理解しておくべきだと考えます。

むしろ、就職活動においては、「こいつ、泥臭い仕事でも耐えられるかな?」というフィルターで学生を選別している企業のほうが多いというのも現実だと思います。

では何が重要なのか?

大学のキャリアセンターや大手の就職支援会社は、学生の就職支援それ自体が「ビジネス」なので、あれやこれやと学生を煽りまくります。

彼らはビジネスでやっているので、個々人がどの会社に就職してキャリアを形成していくかというより、「大手への就職実績」がより重要な評価指標となっています。

ということで、大学への入学早々、前のめりに学生を煽り立てます。

私がキャリアセンターで勤務しているときの大きな違和感はこの一点でした。

これらの就職支援では、最も重要なものが抜け落ちています。

それは、

その学生が企業から評価されるポテンシャルを有しているか?


就職先を知ることは重要です。

しかし、就職先に説明する自分づくりが最も重要であることは論を待たないでしょう。

私大キャリアセンターでの経験から言えば、意外にこの最も大事なことが抜け落ちている学生が多く、大学のキャリアセンターの職員も就職直前の対策にばかり強調するというのが構造でした。

学生時代に力を入れたこと、これを文章で創作するテクニックより、実際に作り上げる活動のほうが超重要です!

就職業界の大人たちは学生を「就職活動における内定」と言う結果に目を向けさせます。

結果、素直な人ほど煽られて、そもそもポテンシャルを磨くという活動を疎かにしてしまうということに陥ります。

急がば回れです。

骨太の学生生活が内定へ近道なのです。





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