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栄養学界隈の研究で一周回ってわかったこと

こんにちは、えいよう未来のながいです。

わたしは栄養学の専門家ではあるけれど、栄養だけでは、人を健康に、幸せにするには足りないと思っている。そんな管理栄養士です。

栄養って土台だけど、それだけで本当にいいの?を書いた記事です。よかったらお付き合いください。



今、オンラインでスタンフォード大学の講義を受けています。

今の時代はすごいですね。

世界中の論文も、大学の講義もパソコンやスマートフォンからアクセスできるようになった時代。

学びも、学校に行って一律でみんなと同じことを勉強するのではなく、自分の好きな時間に、好きな場所で、好きな講義を受けることができる。

だからこそ、自分から学びに行くぞという姿勢がなければ、つまらない(失礼)情報に流されてしまうのだとも強く感じます。


さて、そんなスタンフォード大学の講義『food and health』で、冒頭から興味深い内容でした。

今日本でも、様々な健康法、食事術、ダイエット論があふれている中で結局何が人々を健康に幸せにできるのでしょう?


〇〇ではなく、〇〇を見ましょう
もっとも健康的なのは短期的に見ても長期的に見ても〇〇食である

ということでした。詳しく見ていきましょう。

〇〇ではなく、〇〇を見ましょう

みなさんに質問です。健康のためにはどんな食事がいいと思いますか?

糖質制限?

悪い油を摂りすぎないようにする?

カロリーを抑える?


栄養学の研究が発展していく中で、脂質を摂りすぎることで動脈硬化と関連がある、とか糖質の摂りすぎで肥満が増えているとか、いわゆる”栄養素”に注目してどの栄養素をどれくらい摂ったらいいか。という議論が中心です。

わたしたち管理栄養士も、そういった栄養学を基本として学んできました。

だけど、どこかで違和感があるのです。

そんなに栄養学について詳細にわかっているのに、なぜ、健康な人は増えないんだろう?肥満や健康を害している人はますます増えていく一方ではないか。

それに対する答えがここにありました。

栄養はなく食品を見ましょう。

わたしたちが食べるのは栄養ではありません。食べ物です。

これに関しては、わたしも個人的な経験があります。

最近は”完全栄養食品”という商品が出てきています。ここではこれらを食品と言わず、商品と言います。

2~3年ほど前でしょうか。職業柄、興味で、この商品を購入してみました。

たんぱく質やビタミン、ミネラルなど、1日の必要量の3分の1、つまり1食分がそれ一つで摂れる。

というものです。

夢のようですよね。それを食べるだけで必要な栄養が全部摂れるのですから。

1食分600円前後だったと思います。いわゆるインスタントラーメンの類いです。(これ言うとほぼ特定されるかもしれませんが・・・)

・味・・・まずくはないけど間食する頃に飽きる

・満足感・・・物足りない感じがある

・リピート・・・せず


でした。

そして、驚いたのはそれを食べた数時間後でした。


おしっこが・・・緑色?!


そうなんです、明らかにいつもの尿の色ではありません。濃い色とかそういうものではなく、完全に緑色です。

なぜか?

これは、ビタミンB群によるものと推測しました。

何かの病気か?!というくらいびっくりしたのですが、でもこの時ふと思ったのです。

「完全栄養の商品を食べても、吸収されずに外に出ることだってあるよね。」

特にわたしたちは給食などで、栄養価から献立を立てたりしますが、こういった商品は、ビタミンやミネラルを添加していることが多いかと思います。


それは、いわゆる、小麦粉にサプリメントを混ぜて練りこんで商品を作っているのと同じことなのでは。

そして吸収されないかもしれないことに加え、満足感がなかったということにも課題が。

これ食べた後にデザート食べたらどうなるの??

です。

この商品は、エネルギーも1食分で設定されているので、ここにデザートが加わるとカロリーオーバー必至。ということに。

このような商品で、日本の糖尿病罹患率が改善されるのは夢のまた夢。のような。


もっとも健康的なのは短期的に見ても長期的に見ても〇〇食である

その上で。この○○に当てはまるのは何だと思いますか?

「糖質制限食」とか「塩分制限」と答えた人は一回休み、スタートに戻るですよ。

→一回休み。スタートに戻る


正解中で、人々が健康になるための栄養学を研究して、1周回ってわかったこと。それは

もっとも健康的なのは、短期的に見ても長期的に見ても”家庭食”である。ということでした。



言われてみれば、当たり前、ですよね。

だけど、現代ではそれが本当に難しくなっているということ。みんな忙しい。便利な商品やサービスもどんどん増えている。

今の忙しい人たちのニーズにマッチしたレトルトやインスタントやスナックといった加工品。

お弁当もおかずも24時間買える時代。

だけど、加工度が高くなればなるほど、ビタミンやミネラルは失われ、おいしく感じさせる糖分や塩分、油分がどんどん添加される。


わたしも一度、仕事で様々な商品の食べ比べをしたことがありました。

どれもよくできています。栄養価もほとんどの商品が「管理栄養士監修」と謳っています。栄養成分表示を見るととても理想的な数値が並んでいます。


だけど、やっぱりこちらも満足感がないんです。満腹にはなります。その点ではインスタントよりはいいかもしれない。

それでもやっぱり満足感がない食事というのは日々の何気ない喜びさえも得られなくなってしまうのです。



料理が苦手、であってもスーパーに行って野菜や果物、魚売り場で旬の食材を見ることだけでも楽しみができるものです。

時間がなくても今は食材そのものがおいしいから焼くだけ、煮るだけでおいしい食事が食べられたりするものです。


栄養ではなく食品を見ましょう。

健康にいいのは家庭食です。

作ってみる楽しみ。それを味わう楽しみ。それが心の健康にもつながると思うのです。




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