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「晴れの日も雨の日も」#11 <番外編>今日の小噺 娘のこと

私はありがたいことに子宝に恵まれた。5人の子の父である。私の人生は勝ち組だったのか負け組だったのかよくわからないし、そもそも、こういう言い方そのものにあまり賛成できない。が、少なくとも子供の数においては、ほとんど人後に落ちたことがない。
上は35歳から下は18歳まで。男女比率は4対1で女チームの圧勝である。彼・彼女らが中学生ぐらいの時は、運動会のシーズンになると家の中でも組体操や逆立ち大会が始まった。長じてからはみんなそろえば大宴会。オヤジの血を引いてか、総じて酒好きで(除く18歳)、酒を飲んでの武勇伝にも事欠かない。現役の教員・保育士サマたちなので、大変残念ながらここでは多くを語れないが。。

で、その兄弟の中の4番目、三女の話である。純粋に笑い話の雑談なので、お気軽に読んで頂きたい。
勤続3年目の保育士。職場では大いに将来を期待されている。かどうかは知らない。
先日園児たちを引率しての遠足があった。その日の夜、帰ってくると「今日、大失敗してん。」と笑顔で始まった。

なになに?なんかオモロそうやん?

聞くと、保育所から最寄り駅まで歩き、そこから電車で10分くらいのところまで出かけたらしい。大人二人で20人ほどを引率。駅に到着すると、娘はまず子供たちの切符を買う。次にそれを子供たち一人に一枚づつ手渡し、改札へ。子供たちが順に改札を通過するのを見届けて、最後に自分はピタパで入場。したはずだった。

が、バタバタしながらそこまできたため、電車に乗ってから、ふと不安になった。「あれ?わたし“ピッ”したっけ?」子供たちに切符を渡し、改札を無事通過させるのに夢中で、自分がちゃんとピタパで“ピッ”した明確な記憶がなかったのだ。「でも、もししてなかったら改札通れてないよね。きっと覚えてないだけでちゃんと“ピッ”したんや。」と自分を納得させることとした。

さて、目的駅に到着。子供たちが順に改札を通って外へ。
最後に娘も改札を通ろうピタパを当てると、
「ピンポ~ン」
やはり、入場の時に“ピッ”してなかったのだ!
「え~、うそー?!」


しかし事実には勝てない。駅員さんがやってきた。「どこから乗られましたか?」「えーと、子供たちを20人引率してまして、みんなは切符で入ったんですが、私はピタパで“ピッ”したはずなんですが、○○○○」言い訳が始まる。でもそんなことは駅員さんにはどうでもいい。「いや、ですから、ご乗車駅を教えてください」。
改札の外からは
「せんせー、はやくー」
と子供たちの声。
「あ、すいません。△△駅です。」めっちゃ焦りながら何とか、自分も出場。ここまでで既に相当の汗(^_^;)

それでも目的地に無事着いて、みんなで楽しく遊んで、さあ帰る時間。来た道を反対に電車に乗って帰る。娘は私に似て「おちょけもん」なので、
「今度はちゃんと“ピッ”するで~」
と自虐ネタをみんなに振りまきながら、駅に向かう。
改札に到着し、“ピッ”。一番に入場した娘は、得意げに後ろの子供たちを振り返り「ほらな~、今度はちゃんと“ピッ”できたやろ?」と。
そのとたん、娘の次にいる園児が
「せんせー、これ、どこから切符入れるん?」

そう、娘は“ピッ”することに集中しすぎるあまり、電子カードのタッチ専用機、すなわち切符の入れ口のない改札機を通ってしまったのだ。
「ごめ~ん。この改札機、切符はアカンわ~。隣の改札機から通って~。」

もちろん、みんな無事滞りなく隣の改札機を通過できた。出場も問題なく、全員事故もなく園に帰り着いた。話は略以上である。別にとんでもないことが起きたわけではない。
が、休日返上で事前に下見に行ったにもかかわらずこのザマ、ということで、そのあと、職員室でさんざんいじられたらしい。ま、そりゃそうやろ。その景色が目に浮かぶよう。

この話から強いて学ぶとすれば、
心が何かに捉われていると頭がお留守になる
ということがいえるだろう。
往きは、子供たちを全員無事に通過させることに、帰りは、自分が確実に“ピッ”することに、娘の心は捉われていた。で、そのほかのこと、周囲のことが目に入らなくなってしまった。

でも、私は思う。ええやないか、それぐらい。
別に園児の誰かが大けがした訳でもない。かわいらしい失敗話やないか。
今回はこんな小さい学びなんかいらんから、ビクビクせずにどんどん失敗しろ(但し致命的にはならない程度に)。
私はこの話を明るくおもしろおかしく話す娘をとっても魅力的だと思った。

失敗ネタは実は人付き合いをしていくうえで、トビきり上等の雑談ネタになる。失敗した時にそれを恥ずかしいと思って隠すのか、スコーンと笑って話してしまえるのか、この差は天と地ほど大きい。

ええやないか。「捉われないように」とばかり気にしてセコセコ小さくなるな、おおらかにいけ、どんどん失敗しろ~。で、こんなふうに明るく持ちネタにしろ~。なかなかステキやぞー!!失敗を隠さずに明るく笑って話せる人間であり続けてくれー!! (また失敗して笑わせてくれー。えっ、別にお父さんのために失敗するんとちゃうって?そりゃ、その通り)

さて、この娘。

  ・25歳独身
  ・身長:155㎝
  ・体重:不明(デブでもガリでもない)
  ・スリーサイズ:不明
  ・容姿:いたって端麗、ではないが、十人並み以上(親の欲目?)
  ・健康状態:良好
  ・性格:上記の通り


どうですか、どなたか嫁にもらってくれませんか。悪くないオカイモノだと思いますよ。ま、問題と言えばこのヤヤコシイ昭和オヤジである不肖わたくしを「おとうさま」と呼ばないといけないことぐらいかな。えっ?そのハードルは高いって?そんなこと言わんとお願いしますよ~。

今回も最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました♬


                          長井克之         
                      nagairb21@jcom.zaq.ne.jp

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