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「晴れの日も雨の日も」#48 ルーツ

心の窓を開いてごそごそ活動していると、思わぬご縁がつながったりする。「独立後のリアル」というポッドキャストがある。敬愛する二人のプロコーチがやっておられ、私は勝手にコアファンを自称している。出演もさせて頂いた。

このご縁が発展して、「サニーデーフライデー」というポッドキャストを運営しておられる田村さんと知己になった。

このポッドキャストでは「企業と従業員の働き方を考える」というコンセプトでいろんなゲストを招いて、田村さんが対談をされている。その田村さんのインタビューの姿勢が、まさに我々がコーチングでやっている相手の原点・原風景を探るというものと同質で、こうした「ルーツ」ということについて投稿してみる気になった。

コーチングでは、相手の内面に焦点をあてて話を聞く、ということが求められるのだが、その際、相手の価値観や相手が何を大切にしているのか、を重視する。

どうしてそう思うのか
どこからその想いが生じているのか
そう思うようになったきっかけは何か
どんなことがあったのか
そこでどんなふうに心が動いたのか
そのことを今振り返ってどう感じるのか。

いわば、相手の思い・考えのルーツを探る旅のようなものだ。
コーチングは未来に向けて行動変容を起こしていく。いたずらに過去ばかりを振り返ることはコーチングの狙いではない。
だが、未来は現在とつながっており、現在は過去とつながっている。今ここにいて、こんなことを考えている、というのには、過去の出来事・体験がトリガーになっている。
ルーツは未来への発射台であり、そこを確認しておくことはとても重要だと私は思う。
そして、どんなことが起きたのか、という事実だけでなく、その事実をどう受け止めたのかという心の動きが大事だ

時に私たちのコトバは、私たち自身をあざむくことがある。決して意識的ではないにせよ、コトバが必ずしも真実を示していないことがある。
それは単に勘違いや忘却によることもあれば、本人の本音の部分ではそこを直視したくない思いがあることもある。
いくつか複合的にある理由の内のあるひとつだけを口にしていて、したがい、それはそれで間違いではないのだが、そのコトバにしがみつくだけでは正鵠を射ていないということもある。
封印しているうちに変色を遂げてしまったルーツもあるかもしれない。
そんないろんなことも含めて、本音ベースで、いわばパンツも脱いでルーツをみていくことで、本当に自分が大切にしているものに気付けるのだと思う。

また、親のこと、自分が生まれ育った土地のこと、幼少の頃のこと、あるいは親のそのまた親のこと、そんなこともルーツのひとつだ。
NHKの「ファミリーヒストリー」という番組がある。登場される有名人は自分のルーツを知り、多くの場合、涙する。自分の原点を確認することで心が揺さぶられるのだ。
人間を形成していくものには、遺伝と後天的習得があり、後者には、ルーツと環境という二つの要素があるだろう。どの要素がどのぐらい影響しているのかわからないが、ルーツのウエイトも小さくないと思う。

私の知人で親元とあまり関係がよくなく、もう何年も実家に帰っていないという人がいる。「帰りたくないし、帰らないといけない用事がないから」とその人は簡単に言う。その人は自分の価値感でしっかり生きており、自分自身が今日を幸せに生きるために自らそういう選択肢を選び取っている。私はその人のファンを自称しており、トータルとしてその人の生き方に賛同・応援している。が、この選択についてだけは、自分のルーツを大事にしていない印象があり、それがめぐりめぐって結果的に自分自身を大事にしていないということにつながらなければ良いがという懸念を少し持つ。

私もあまり自慢できるような幼少体験は無い。むしろ暗黒に近い方かもしれない。しかし、それも含めて今の私がある。私の氷山下の部分を形成している。否も応もない。それが事実だ。であれば、それを受け止めて、できればそれもいつくしんでいきたいと思う。

今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 長井 克之
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<予告>
#49 「ワタシ」と組織のあり方
#50 友人の恋バナ。未満の話。
#51 人と比べない
#52 誠意
#53 コミュニケーション・クリエイター

(続く)

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