「晴れの日も雨の日も」 #106 可能性を信じ切る
新しくクライアントになって頂ける会社ができた。次の部長をどうするかで経営陣は悩まれており、コーチングを活用してお手伝いをすることになった。
昔からよく知っている会社だ。その部長候補にあがっている方々のこともよく存じ上げている。それだけに、一番初めにこのお話を頂いた時点では、ちょっと難しさを感じた。
コーチングは、その人がどうなりたいかを一緒に探っていき、目標達成に向けた伴走をしていく仕事だ。部長になるための教育ではない。ちょっと筋違いかな?という気も少しした。
それから1ヶ月強。再度の打ち合わせがあった。
私の心はその間に大きく動いており、ぜひこの話を受けさせて頂こうと決めていた。
#95信じるという記事とその後の経緯が大きな契機だ。
この記事の中で私は「アリの2:6:2理論」を紹介した。
これに対し、大学時代の先輩から「先頭グループの2割にしっかり働いてもらって、全体への貢献度をより上げてもらえば、ケツの2割のことは気にならなくなる」という言葉を頂いた。
ご自分で会社を経営されており、とっても説得力のあるお言葉として受けとめた。
その後数日して、今度はラグビー元日本監督エディ・ジョーンズ氏の記事に出会った。彼は「先頭の2割はほっといても自分で伸びていく。後ろの2割に意識やフォローを重点的に向けることがチーム全体の強化に必須だ」という見解だった。
そう言えば、サラリーマン時代に「品質保証のレベルは最終ランナーの出来で決まる」と聞いたことを思い出した。
自動車の重要保安部品向けの製品だったため、一つ間違えばリコールを招き、大クレーム・大損害になりかねない。ミスが許されず、正確で感度の高い製造現場を作り維持することが求められていた。そういう場合、一番デキない人の力量が全体の品質保証力とイコールで、これをいかに引き上げるかが大事だ、という御説だ。
と、ひとつの投稿から「2:6:2理論」が私の中で広がりを見せた。そしてこの記事で書いた「相手の可能性を信じ切る」ということを改めて考えるに至った。そういうタイミングで第2回目の同社との打ち合わせを迎えた。
確かに、わたしは、この候補者たちと一緒に仕事をしたことがあり、その仕事ぶりや人となりについて知っているつもりでいた。評価や判断もしていた。
しかし、
知らないこともあるのではないのか。
その人の全体を受けとめていたのか。
自分の先入観やレッテル、色眼鏡があるのではないのか。
プロフェッショナル・コーチとなった今こそ「人の可能性を信じ切る」ということにチャレンジする絶好の機会ではないか。
そんなことに思い至った。
会社の中の現実としては、ポストも賃金も有限資産の配分だ。人を評価して順番をつけざるをえない。必ずトップもビリも生まれる。
しかし、私は今そこから離れて人の心を扱う専門家を目指している。
今回彼らと真っ白な心で向き合って、その心を問うてみたい。
考えてみれば、彼らは長い間ある評価のもとにおかれ、そういう扱いを受けてきた。それはすなわち、人から真摯に向き合ってもらっていないというのに近い。それを破ることを私がやってみたい。
その結果、彼らがその会社で部長にふさわしいような大脱皮をするのかどうかは知らない。それは、私の預かりしらない話だ。しかし、彼らの心が何らかの変化を起こすお手伝いはできるかもしれない。
その会社とは、そうした本丸に行く前に、まず手馴しから始めるが、頑張ってチャレンジに向かってみたい。少々ワクワクしている。
今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 長井 克之仕事のご連絡・その他ご相談等はこちらに→nagaib61s83@gmail.com
<予告>
#107 放下著
#108 靴
#109 モテる・ウケる・刺さる
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?