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【ながおし!⑳】地元小学生をアスリートとして育てる 森 善哉さん

長浜で推したい!長浜でこの活動を推している!そんな人々を紹介する「ながおし!」。

第20回目は、陸上競技専門のクラブチームFAAS(ファース) Track&Fieldを長浜市で設立し、自身でコーチも務める森  善哉さんにお話を伺いました。

森さんと初めてお話ししたのは6月に行われた「長浜市陸上競技大会」。
大会の取材で色々な競技を撮影して回っていたとき、会場に響き渡る「大会新記録が出ました!」というアナウンスと大きな歓声を聞き、カメラを持って駆けつけた先にいたのが走り幅跳び一般の部で出場されていた森さんでした。


長浜市陸上競技大会で力強いジャンプをする森さん

森さんは高校から陸上をはじめ、大学卒業後は保健体育の教員として高校に勤務。近年、部活動の地域移行や少子化による影響で子どものスポーツをする環境が減少している。自身も取り組んだ陸上が継続的に取り組めるような環境づくりや、小学1年生から中学3年生までの9年間を一貫指導ができるようなチームづくりをするためにクラブチームを設立されました。

選手の育成や人を応援することを通じて、地元の長浜市で陸上の普及を頑張る森さんは、令和6年4月から6月の期間、滋賀県で活躍している陸上走高跳の瀬吉優斗選手のオリンピック出場を応援するため、クラウドファンディングを行っていました。


クラウドファンディングを行っておられた時のプレスリリース

インタビュー当日は、クラウドファンディングの目標金額が達成したお礼と報告のため瀬古選手も長浜市に来られていたため、お二人にインタビューさせていただきました。


(左)瀬古選手、(右)森さん

せっかくお二人に来ていただいたので、まずはクラウドファンディングのきっかけを教えていただきました。
きっかけは、令和5年に国スポ陸上滋賀代表の選手たちをゲストに招いて開催した、「滋賀小学生陸上チャレンジフェスタ」。
森さんは高校時代の顧問の先生に声をかけられ参加したそうです。

「ちょうど彼(瀬古選手)がフリーになって1年、スポンサーが見つからず困っているという話を聞いた」「自分も陸上スクールをしていたので部活の地域移行も絡めて、陸上の普及活動がしたいと思っていた」「“普及と””強化”の両輪で、より滋賀の陸上を盛り上げられると思い、話しをしたことがクラウドファンディングのきっかけとなった。」

驚いたことに、高校時代から面識はあったが、お互い挨拶以上の会話をしたのは、このイベントがほぼ初めてとのこと。
お二人にとって陸上というものがとても大きく、初対面でお互いの話しをしてクラウドファンディングまでしてしまう勢いを生み、熱く真剣になれるものなんだと圧倒されました。

「なんで今まで喋ってこんかったんやろうという感覚でした。もっと早く話していたら、もっと面白いことがもっと早くできたのにな。」

お互い笑いあってそう話す姿に、陸上が好きな“仲間”のような印象を受けました。


クラウドファンディングで配られたうちわとチーム横断幕。
うちわ裏面と横断幕は森さんの出身校である伊吹高校の書道部が書いた
勢いのある「跳べ」「挑戦者」の文字が。

クラウドファンディングで大きく変わったことはあるかと聞くと、

「最初の準備を始めた頃、どうやってお金を集めようかとばかり考えていた。それが趣旨ではあるんですけど、途中でなんか違うなと思った。
フリーの立場となった彼に300万円という大金を集める過程で、日頃からどれだけ多くの方に支え、応援してもらって陸上競技に取り組めているかということ、フリーだけど1人じゃないぞってことを再確認させたいと思ったんですよ。」

人とのつながりや競技のことを本当に大切に思っている森さんの人柄がよく伝わると同時に、周りへの感謝や、応援している人のこと両方を考えている森さんの言葉に、人を巻き込み一緒に活動したくなるような魅力を感じました。


インタビュー中の雑談の様子。雑談ですら陸上のスパイクの話題をするほど陸上づくしの時間でした。

続いて、森さんが代表を務める陸上スクールFAASについて聞いてみました。
FAASは、毎週月・水の練習を南郷里小学校で行っているとのこと。運動公園などしっかり陸上トラックがある場所でないことが気になり聞いてみると、

「長浜市陸上スポーツ少年団さんの練習会場は主に神照運動公園、浅井陸上クラブさんの練習会場は主に浅井ふれあいグラウンド。両チームの先生方と話していると、神照運動公園や浅井ふれあいグラウンドは長浜南エリアの米原寄りに住んでいる子どもたちが通いづらいと教えてもらい、その辺りで借りられる場所を探すと、南郷里小学校が空いていると聞いて。ほんまラッキーでした。」
「走ることが好きなFAASの生徒たち、その中から今後高校大学とより高いレベルで陸上を続けた生徒たちがいつかコーチとしてFAASに帰ってきてくれたらなと思っています。良いサイクルをつくり、陸上仲間を増やしたい。」

森さんは大学の間、大津に行っておられたが、競技人口の多い大津や京都ではなく、地元の長浜市に帰って来て、子どもたちが通いやすい場所でスクールを開くことにこだわってくれていて、同じ長浜市民として嬉しくなりました。


コーチとして生徒たちに指導する森さん

FAASの生徒数は40人程度。生徒は主に小学生ということで、教える立場として大変そうと勝手ながら想像していると

「速く走れるようになりたい!他にも習い事をしていてスピードをつけてそれを生かしたい!など真剣に取り組む小学生が来ているから、話を聞く姿勢ができていない生徒には家庭でも教えてあげてくださいと保護者の方に協力をお願いすることがあります。
そこはスポーツを通してというか、ちゃんとやらせたい部分ではあるので、そこは結構ストイックに言います。」

熱く、話しやすい雰囲気から一転、厳しいコーチとしての一面に、スッとこちらの背筋も伸びました。

「僕は生徒たちを1人のアスリートとして見ています。なので競技者として、会場に着いたら「おはようございます、お願いします」、競技が終わったら「ありがとうございました」という挨拶や礼儀は当たり前のレベルでやりたい。
また、「どうやったら速く走れるんだろうとか、自分の走る、跳ぶ感覚を言葉にできるように陸上の会話は練習中たくさんしてくださいと言っています。
やる気があって来てくれた生徒たちですから、そのやる気が本気に変わる瞬間に僕はやりがいを感じます。」

これだけ真剣に向き合って大切なことを真っすぐ教えてくれるコーチだからこそ、スクールに通う生徒たちも真剣に陸上に向き合っているんだろうとスクールの様子もイメージできました。


とても真っすぐ陸上への真剣な思いや、生徒達への熱い指導について話してくれる森さんに、陸上以外の趣味はあるのか、ふと気になって聞いてみると「わかんないなー」と、この日一番の長考。
陸上の息抜きとかでもと何とか引き出そうとすると、「陸上自体が趣味か仕事かわからないくらい。僕はすべてにおいて遊び心をもっているタイプなんで、おもんねーとか言いながら、楽しく面白くないこともできる。」

すごい!本当になんでも楽しく周りを盛り上げている森さんのことを、今日一日お話を聞くだけでもイメージができてしまい、つい笑ってしまいました。


大会を直前に控える生徒に指導する森さん

インタビューをさせていただき、スクールの撮影取材にも行ったあと、7/7(日) 皇子山総合運動公園陸上競技場で開催された「日清カップ第40回滋賀県小学生陸上競技交流大会」で、FAASの生徒さんが優勝したと電話で報告をいただきました。
真剣にスクールで練習していた生徒さんを見た直後だったので、私もとても嬉しくなりました。
西村君、おめでとうございます!


大会コンバインドA(80mH・走高跳)で優勝した、西村 旺志朗 君(小学5年 男子)

また、今回インタビューに同席していただいた瀬古選手は、「クラウドファンディングのご支援ありがとうございました」「今回惜しくもパリオリンピックの出場は逃しましたが、来年の日本選手権でのリベンジ・東京世界陸上・地元滋賀で開催される国スポ優勝に向けて頑張ります!」とこれからの目標を笑顔で語ってくださいました。


瀬古選手は7月14日に彦根市の平和堂HATOスタジアムで開催された「滋賀県陸上競技選手権大会」で見事優勝を飾られ、来年以降の活躍がとても楽しみです。

今回、インタビューで地元の陸上を盛り上げるために頑張っている森さんのお話しを聞いて、今後、長浜市から陸上の有名選手がたくさん排出されるのではないかと、とても期待が高まりました。

(文責:なかむら)


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