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ボクの映画批評 第2回「アデルの恋の物語」(1975)

映画を見る際、出演する俳優で選ぶ場合もある。この作品は、フランソワ・トリュフォー監督が撮ったからという理由の他に、イザベル・アジャーニの美しさに惹かれて見たという方も多いのではないだろうか。撮影時18歳。トリュフォー監督がTVで見つけて、大抜擢したそうだ。

アデル役のイザベル・アジャーニ

文豪ヴィクトル・ユーゴーを父に持つ女性が、愛する男性を追いかける物語である。
「なぜ、こんな男が好きなのか?」男から見て必ずしも魅力的ではない男性が女性から好かれるケースはよく見かける(笑)。アデルが追いかけるのも、そんな男だ。おそらく初めての相手だったのであろう。

イザベル・アジャーニありきの企画である。彼女の出演を否定してしまうことは、批評としてはダメかもしれない。ただ、やはりこれほどの絶世の美女に言い寄ってくる男も少なく(身元を隠しているとはいえ、父は大富豪である)、一人のダメ男を追わせるというのは無理がある。アデルが夢中になるピンソン中尉は徹底的に拒絶するが、いくらアデルが激情家であっても無理が生じる。

この作品、プロットがこれだけなので、展開が少ない。そのため、さまざまなエピソードが時折苦し紛れに感じる。催眠術を利用しようとするシーンは、作品全体をチープにさせた。本屋の男性とのドラマを作り、アデルに逆に自分が興味がない異性を断る気持ちを味わわせても面白かった。

不世出の美人女優イザベル・アジャーニを堪能する映画であり、初々しい彼女の演技を目にするだけでも価値のある98分である。カット!

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