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『アンベードカル博士生誕祭2021』

 去る4月17日、日本在住インド人仏教徒の団体:アンベードカル博士国際教育協会 (BAIAE) 主催による『第130回アンベードカル博士生誕祭』が開かれました。
感染防止のためZOOMを活用し、直接参加は配信スタッフのみに限定。マスク着用と手指の消毒を徹底し、ソーシャルディスタンスを保ちつつ開催致しました。今回、日本とインド、そしてアメリカを同時に繋いでの試みは、結果的にですが、コロナ禍がもたらした〝新しい仏教のかたち〟に成り得るかも知れません。そもそも、一度滅ぼされた経験を持つインドの仏教は所謂〝伝統〟に拘る必要が無く、さらに加えるなら、インド社会において伝統/Tradition/परंपरा(パランパラー)とは圧倒的多数派たるヒンドゥー教の規範…例えばカースト制度…を指す概念でもあるからです。

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《まずはवंदना(ワンダナー/パーリ語の勤行)から》
貸し会議室の机とホワイトボードで作った祭壇でお勤めする私とインド人仏教徒。

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《仏教聖歌(マラーティ語)の奉唱》

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《インド・マハーラーシュトラ州ナーグプールからリモート参加の青年》
日頃より佐々井秀嶺師の薫陶を受けている彼。熱血漢です。

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《在日インド人仏教徒の子供たち》
この子らの「ジャイ・ビーム!」こそ未来を照らす希望の光だと思います。

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《ブッダのコスプレを披露してくれた子》
螺髪(らほつ)はウィッグをのせてるらしい。…けど、まさかお父さんの?

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《アメリカからリモート参加のアヌラーダ・ベレ博士》
ソーシャルワーカーとしても活動するダリット出身の宗教社会学者。アンベードカル博士の思想を実践していくに当たっての質疑応答は今回の白眉となりました。「コロナ禍は差別問題ともつながっています」

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《配信スタッフを勤めてくれた仏教徒と、私》
メンバーの中にはNHK Eテレ『佐々井秀嶺特集』でマラーティ語の和訳を担当した者もいます。

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 ──終了後の反省会で私はこのように語りました。
 みんな、今日は幸せな気持ちで一杯だよ。なぜなら、またみんなと会えたからね。これはひとえに、ブッダの大悲とアンベードカル博士のお導き、そしてみんなの純一な信仰心のおかげです。ありがとうございました。
この二年間というもの、全世界はコロナ禍にみまわれています。加えて、今や世界中に差別主義が蔓延し、その脅威は日に日に強まっています。
インド首相モーディー氏はヒンドゥー神話『ラーマーヤナ』に記す先住民迫害の伝説「ラクシュマン・レカー(結界)」を政策に掲げ、アメリカ合衆国のトランプ氏は大統領時代に「チャイナ・ウイルス」などとアジア人への偏見をあからさまにしました。つまり、強大な権力を持った者が差別主義を扇動したのです。これは不正義です。抑圧です。不平等です。そして、敵対を煽ることです。しかし、仏教復興の先達アンベードカル博士が起草したインド憲法は、正義・自由・平等・友愛を四本柱にしているのです。
 ウイルスは、弱った体の中で暴れ始めます。
では、差別主義という病魔はなぜ発生するのでしょう?どこから来るのでしょう?
それは弱い心の中で、怯えた心の中で、生まれるのです。
かりそめの権威を持った者は、真実と正義に怯えています。なぜなら真実と正義は、薄っぺらな仮面を引き剥がすからです。
ブッダは、真実を示しました。アンベードカル博士は、正義への道を切り開きました。私たち仏教徒は、迷うことなくその道を歩んで行きましょう。
 今日は本当にありがとね。ジャイビーム!

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